鉱物標本 ジェダイト(Jadeite)

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別名:翡翠輝石、硬玉、硬玉翡翠
産地:Myanmar

深緑の半透明な宝石の一つである翡翠は紀元前の古代中国や古代中南米で既に装飾品として用いられてきた。現在では翡翠(jade)という言葉は上記の緑色半透明の玉石全般を示しており、鉱物学的にはジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)に大きく分類される。それ以外ではインド翡翠と呼ばれものはグリーンアベンチュリンであったり、アマゾナイト(*1)、蛇紋石、緑碧玉等でも~翡翠と呼称されたりする。

ジェダイトは輝石グループに属する鉱物で、他の輝石グループの鉱物と固溶体を形成する性質を有する。そのため、本来のジェダイト(NaAlSi2O6)は白色(無色透明)なのだが、Al3+がFe3+になると黒色のエジリンに、同じくAl3+がCr3+になると深緑色のコスモクロアに分類される様になる(画像7枚目)。また、ジェダイトの(NaAl)4+の組み合わせが(Ca,Mg,Fe)2 4+に置き換わると有色のその他輝石類諸々に分類される様になり、その中間状態の組成のものはオンファサイトという輝石に分類される。翡翠というと深緑色のものを想像するが、それはFe2+やCr3+に起因する発色のためジェダイトではなくオンファサイトまたはコスモクロアに分類されるのである。本標本の場合はベースが白色(無色透明)なので分類はジェダイトで問題ないと思われる。

ジェダイトは海洋プレートの沈み込み等の超高圧低圧の条件下(300℃以上、1万気圧)にて火成岩中のアルバイト(曹長石)が
・NaAlSi3O8 → NaAlSi2O6 + SiO2
の様に分化変成して生成されると考えられている。他にも熱水から直接析出する場合もあるそうであるが、いずれも条件がシビアなため産出地は世界でも限られている。

2010年代頃に科博の売店で購入。国内では糸魚川産のものが有名だが、本標本はミャンマー産の恐らくカチン高原で採れたもので、世界の翡翠シェアの9割を占めている。ここのジェダイトは白亜紀後期のオフィオライト帯(プレート沈み込みや大陸衝突などで海洋地殻の上層から深層まで丸ごと乗り上げた岩体)に由来する蛇紋岩から見つかる。

*1:アマゾナイト
→鉱物標本 アマゾナイト(Amazonite)

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