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Andrew Chalk & Timo Van Luijk “Skagafjörður”
英国音響系ドローン・ミュージックの巨人Andrew Chalkとベルギー音響系ノイズ集団Noise-Maker's FifesのオリジナルメンバーTimo van Luijkのコラボ作” Skagafjörður”なんですが、元々の表題は”Night Of The Experimental Film IV”でした。これからも分かるように、2018年4月14日にGhentで行われたArt Cinema OFFの開催中で録音された作品で、Peter Huttonの映像作品”Skagafjörður”の為にライブで演奏された、その記録です。元々はベルギーのレーベルB.A.A.D.M.から”Night Of The Experimental Film IV”と言うタイトルで前年にリリースされていましたが、この作品はそれをAndrew Chalk自身のレーベルFaraway Pressからリイシューしたものです。Andrew Chalkに関しては、前回、紹介してあると思いますので、今回は、Timo van Luijkについて簡単に紹介したいと思います。先ずLuijkは、1990年に、Geert Feltonsと音響/映像プロジェクトを組み、1993年にはGreg Jacobsが加わり、更に音響エンジニアのEric Faesが、1998年まではレギュラーメンバーになりました。その後、1996年にLuijkが脱退し、Af Ursin名義でソロ活動を始めます。この頃は、新旧の楽器を用いての即興演奏と作曲をブランドした音響作品を自身のレーベルLa Scie Doréeからリリースしています。最近では、色々なアーティストとコラボ・ユニットを精力的にやっています。例えば、Raymond DijkstraとAsraを、Kris VanderstraetenとChristoph HeemannとIn Cameraを、Andrew ChalkとElodieをやっており、また最新のグループとして、Raymond DijkstraとFrédérique Bruyasと「Nivritti Marga」や、Arlette AubinとFrédérique Bruyasと「La Poupée Vivante」をやっているみたいです(私は未聴)。更には2007年に、Noise-Maker’s Fifsのメンバーだった2人とでOndeを結成し、レーベルMetaphon Organizationを運営しています。とまあ、気が多と言うか、音楽的絶倫と言うか、とにかく、活発に活動してきています。 それで今回は、Elodie名義ではなく、ユニット無しに、Andrew ChalkとTimo van Luijkの共同作品としての音楽を封じ込めています。先述のように、これはPeter Huttonの映像作品”Skagafjörður”の為にライブ録音された作品ですので、多分、Elodieとも違うものだと思います。実際には、非常にゆったりとした単音のようなドローン演奏が延々と続いており、どちらかと言うとAndrew Chalkの要素が強いと感じました。まあ、映像の方は観ていないので、断定はできませんが。静謐で純度の高い音が微細な強弱や高低の変化を起こしながら、流れていくのは、ある種気持ちの良いものですね。ここら辺の音楽のことは、若いリスナーにはちょっとハードルが高いのか、現在では、余り顧みられていないようなので、これを機会に、1990年代の音響系ノイズ作品も聴いてみて下さい。きっと何か発見がありますよ❗️ A “Untitled” B “Untitled” [trailer] https://youtu.be/ur0CpQp6r60?si=Qyso-CxaRhl2ejAD [Film “Skagafjörður”] https://youtu.be/L9cTDLi2szI?si=ROJUZ9cp84dpgNn8 #AndrewChalk #TimoVanLuijk #Skagafjörður #FarawayPress #B.A.A.D.M. #Drone #Electro-Acoustic #NightOfTheExperimentalFilmIV #Elodie #Noise-Naker’sFifs
Experimental / Drone Faraway Press (B.A.A.D.M.) 不明Dr K2
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Mars “Mars Archives volume three: N.N. End”
いよいよMars祭りも終盤になってきました。アーカイブの最終章第3弾は”N.N. End”です。この作品は少し遅れてリリースされましたが、Marsのメンバーで、このシリーズのキュレーションをやっているMark Cunningham の言葉を借りると、1978年6月にBrian Enoがプロデュースした”No New York”がリリースされていますが、その時には既に方向性を変えていて、同年12月リリースのMars EPに向けて、よりディープで、より実験的で、より抽象的な方にシフトしていたそうです。本作品のA面は、Max’s Kansas Cityでの7月12日でのライブ録音です。No New Yorkの曲も演っていますが、よりダークな方にアレンジし直していますし、また新曲も演奏されていまます。同年8月中旬でのIrving Plaza (既に紹介済み)でのライブではまだ新曲は披露されてはいませんでした。そして、同年12月のEPリリースの直前に行ったMax’s Kansas Cityでのラスト・ライブでは披露していましたが、録音されたテープは歪みまくって酷いものであったので、それをこのアーカイブには加えることが出来ず、その7月12日のライブ録音を使ったと言うことみたいです。その際.に”Fractions”や”Outside Africa”と言った新曲もまたその頃になると、NYCの地下音楽シーンにはダンス・ミュージックやクラブ・ミュージックが浸透してきたのも要因だったとのこと。A面もB面もラジカセで録音されてますし、それ程、違和感はないので、両方ともこのアーカイブに入れたとのことです。それでも、特にB面は聴きどころですね。 A1 “Puerto Rican Ghost”はやや粘着質な各楽器の絡みでショート・ヴァージョンになっています。A2 “RTMT”は呪術のようなVoが、縦方向に律動する楽曲の中を通り抜けるようなアレンジになっています。A3 “Cairo”は割とタイトな演奏ですが、やはり短目のアレンジ。A4 “Fractions”は新曲で、録音の為かもしれませんが、機関車の様なミニマルな曲です。やはり短目。A5 “Tunnel”はこれまでの録音の中で最も殺気立っているように聴こえます。特にSummerのVo❗️A6 “Hairwaves”はいつもよりも重た目の演奏で、不穏な曲調になっていますが、曲は短くなっています。“Outside Africa”も新曲で、意外とバックの演奏はミニマルですが、雰囲気としては、もう混沌の海の中、或いは幻覚を催すような熱帯夜で、Chinaが叫んでいるかのよう。 では、B面にいきましょう。B1 “N.N.End”は壊れた掃除機のようなギターのノイズの中で、Sumnerの引き攣るようなヴォーカリゼーションが悲鳴をあげている様です。とするとMarkがトランペットかな? B2 “Scorn”は、Nancyのドコドコしたトライバルなドラムに象などの野生動物の鳴き声のようなトランペットらしき音が主役になつています。B3 “Monopoly”淡々としたドラムにツインVoが呪文の様にも聴こえてきます。それにしてもNancyのドラムは味があるなぁ。B4 ”Immediate Stages of the Erotic”では、アンプに繋いであるシールドを指で触った時のノイズ音でリフを作り出している実験的(?)な曲。もうGもBもVoも成立させない「アンサンブル」の如しで、Drsだけで辛うじて「楽曲」になっているようです。 A面の今までもレパートリーはどれも短めにアレンジしてしてありますが、B面のリハーサル・テープではもはやバンドと言う概念を覆すかどうかの瀬戸際でせめぎ合っているかのような危ういバランスで演奏されています。バンドが解散することになるのも然もありなんと言うところでしようか? いやーこんなにMarsばっかり聴いてると、頭、おかしくなりそうです。でも、この作品は後期Marsの貴重な記録なので、Marsファン(っているのかな?)は必聴ですよ❗️ Recorded Live On Cassette At Max's Kansas City - July 12, 1978 A1 “Puerto Rican Ghost” (1:26) A2 “RTMT” (1:57) A3 “Cairo” (2:40) A4 “Fractions” (2:17) A5 “Tunnel” (3:18) A6 “Hairwaves” (3:21) A7 “Outside Africa” (2:14) Rehearsal Cassette - December 1978 B1 “N.N. End” (2:55) B2 “Scorn” (3:04) B3 “Monopoly” (3:32) B4 “Immediate Stages of the Erotic” (5:15) https://youtu.be/9dZRKya5xdY?si=Dqf12Wm0hdNTA58_ [full album + bonus tracks https://youtube.com/playlist?list=PL8dshfU__G3W-bZ1vFHb5hBnsN8TGxlAk&si=QY-BU1720jPPloMK [BandcampのURLです] https://marsnowave.bandcamp.com/album/mars-archives-volume-three-n-n-end #Mars #MarsArchivesVolumeThree:N.N.End #N.N.End #NoWave #NoNewYork #SumnerCrane #ChinaBurg #MarkCunningham #NancyArlen #Fractions #OutsideAfrica #Scorn #Monopoly #ImmediateStagesOfTheErotic
No wave Feeding Tube Records / Negative Glam 不明。Dr K2
