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A 5 “Kalte Erotik / Längst Vorbei?“
A5は、1980年に独のブレーメン出身のパンク/ニューウェーブ・バンドで、メンバーは、Egon “Ego/N”, Harald Hass, Jürgen Schierholz, Rainer Kosch, Sabina Mai (本名Wolfgang Schaller)の5人から成ります。まあ、NDWの時期なので、その中に含んでも良いと思います。このバンドの詳細については、殆ど情報がなく、少なくとも1980年には、自主制作のカセット作品と、No Fun Recordsよりシングル”Erst Ausgabe”を出しているので、それ以前に結成されていたことにはなると思います。そして、1981年に、本作品でもあるセカンド・シングル”Kalte Erotik / Längst Vorbei?”を出しており、その後1995年に、セルフ・コンピレーションCD”1980-1981 - Mein Schönes Kurzes Leben”を出していますので、恐らく、1981年の後位にはバンドは解散していると想像します。ただ、これはあくまでも推測であり、実際はどうか分かりませんでした(すまん!)。それで、このシングルですが、そのシングルの後にリリースが続いていないので、実質、ラスト・シングルとなります。私は、多分、NDWモノだろうと言うことで、見つけた時に購入したのだと思いますが、暫く聴いていなかったので、今回、聴き直しました。と言う訳で、各面の曲をご紹介して行きましょう。 ★A: “Kalte Erotik” (4:03)は、リズム隊にピアノとヴァイオリンのリフで進んで行く曲で、反復するハスキーな女性Voと叫ぶように歌う男性Voの対比が面白いです。時にシンセの宇宙音も挿入されてきます。 ★B: “Längst Vorbei?” (3:21)は、性急なリズム隊に、ザクザク刻むGとピアノがカッコ良く、また男女のツインVoから成るパンキッシュな曲です。間奏のGのリフも派手すぎず良いです!また、ちょっとだけシンセも使っていますが、この一音が効果的です。 流石、No Fun Recordsのリリース物と言うか、このシングルには、パンキッシュでカッコ良いロックが詰まっています。しかも、シンセを本の少しだけしか使わないで、真っ向勝負しているところや男女のツインVoを上手く組合せて、曲の構成を考えているところなんかは得点高いですねぇ。後、リズム隊がタイトで、かつBラインもイカしている点も好感が持てますね。まだまだ知らないバンドが山ほどあるなぁ。これは、やはりセルフ・コンピレーションCD、買うしかないかなぁ! A: “Kalte Erotik” (4:03) https://youtu.be/L7ue-ossR5I?si=RdCo0yCxEYKIMh0j B: “Längst Vorbei?” (3:21) https://youtu.be/lNUaxmjTLCQ?si=PbFUvFxvbLNwGxjf #A5 #KalteErotik #LängstVorbei? #NoFunRecords #7-InchSingle #1981年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #Punk #Piano #Violin #Synthesizer #EgonEgo/N #HaraldHass #JürgenSchierholz #RainerKosch, #SabinaMai #WolfgangSchaller
Neue Deutsche Welle (German New Wave) No Fun Records 不明Dr K2
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Hajime Tachibana (立花ハジメ) “Hm”
Plasticsで、有名になった立花ハジメのセカンド・ソロアルバムが、この”Hm (エイチ・マイナー)”ですね。Plastics時代はギタリストとして活動していましたが、ソロでは、専らSaxを中心に自作楽器Alpsや自動打楽器なんかを演奏するようになっています。彼のバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品では、Hajime Tachibana (Sax)を始め、他にHiroyasu Yaguchi (Sax), Robin Thompson (Sax, Clarinet), Mitsuru Sawamura (Reeds, Sax), Tatsuo Kondo (Piano, Kbd), Donbay Nagata (B), Saeko Suzuki (Drs, Piano)がゲスト参加しています。本作品では、曲にコンセプトらしき文言が付随している場合があり、それをちょっと記載しておきます。「A2では、細分化されたPIANO PILLOWSのイメージが元に戻る一瞬前 とA4-A5では、自分の一生の映っているビデオテーブを手に入れた主人公。誕生、少年時代に見入る興奮とスリル。ふと60才の自分が見たくなり、早送りしたものの画面に何も映っていないショック! 50才、40才と戻す。まだ何も映らない。次の瞬間にも自分もしくは世の中全体がなくなってしまうのではないかという不安にかられながらタイマーを現在に戻し恐る恐る再生スイッチに手をのばす⋯。こ、こ、これは⋯⋯!!!」と付加されています。更に、B3では、副題に「月を背にして自分の影を見ながらサバクを歩く突起物 」と付いており、B4では、再創造される幼年期と加最度のついた日常生活とか、B5では、A documentary program showcasing facets of Japanese life as-is that ran from 1957 to 1964と付記されています。単なるお遊びなのかもしれませんが、当時の立花ハジメにとっては、彼の音楽を理解する為のヒントだったのかもしれませんね。と言う訳で、本作品(両面5曲ずつ収録)の各曲をご紹介していきたいと思います。 ★A1 “Theme From ‘Hm’ /「Hm」のテーマ” (3:09)は、仰々しいティンパニのマーチングリズムで始まり、前作の点描的音ではなく、それぞれの楽器が重々しいメロディを奏で、かなり「音楽的」になっています。 ★A2 “Piano Pillows Going Abstract / 細分化されたPIANO PILLOWS” (3:05)は、6拍子を刻む管楽器が上下するミニマルな曲で、ドラムレスで心地良いです。この曲の終わりは! ★A3 “Liquid / リキッド(清楚な熱帯夜)” (6:28)では、ドタドタしたDrsと柔らかいKbdのミニマルな演奏を基礎に、劇的な管楽器が多層化してメロディを奏でています。特に一定のメロディは無いようですが、非常に心地良いです。 ★A4 “This Is ...... !!! (Death Video)” (4:07)は、柔らかい管楽器のアンサンブルなのですが、中盤からやや不穏な雰囲気になってきますが、クラリネットがメインだからでしようか?悲しげな室内楽です。 ★A5 “Theme From ‘Sex Symbol Strikes Back’ / セックスシンボルの逆襲のテーマ“ (1:30)では、飛び跳ねるような管楽器のリズミックな演奏とそれに乗るSaxがメロディを奏で、フェイドアウトしていきます。 ★B1 “Sex Symbol Strikes Back / セックスシンボルの逆襲” (3:57)では、機械のように正確なティンパニとピアノのリズムとホーンによるミニマルなリフの反復に、Sax類がメロディを奏でていますが、肉感的なイメージは全く無いです。 ★B2 “Arrangement” (4:22)は、本作品では珍しく、DrsとBのロックリズムに、Sax類がメロディを奏でており、途中にピアノのコロコロしたソロ演奏を挟んで、再びロック・アンサンブルへ。 ★B3 “Yoru No Tokkibutsu / 夜の突起物” (3:35)では、足踏みオルガンの朴訥な演奏とSaxのほんわかした合奏ですが、音数が少ないので、落ち着きますね。 ★B4 “Ab1013” (4:57)は、Drsとピアノのダイナミックな演奏とSax類のせめぎ合うような曲ですが、シンプルなコード進行ですね。しかし、収録されている音自体はダイナミックです!転調してからがカッコ良いです。 ★B5 “Theme From ‘Nihon No Sugao’” / 「日本の素顔」のテーマ(2:34)も、Saxとピアノの素朴な合奏で、子供向けTV番組のエンディングみたいです。 今回は、極めて音楽的な作品になっており、言い換えれば、Saxとかを「普通」に演奏していますが、どうもPlasticsのイメージがあるからか、真っ白な無菌室のような音楽と感じてしまいます。もっと人間臭い音楽になるのかな?とも思っていたのですが、前述のような無機的で衛生的な音楽になっているところが面白い、と言うか凄いですね。B面には、立花ハジメ以外の方が書き下ろした曲やカバー曲も含まれていますが、聴いた感じには全く違和感はないですね。これも、彼の才能なのでしょう。あと、ミニマルな曲が多いのも、時代的には特徴かもしれません。Sax等によるインスト曲に興味がある方にはお勧めします!いい意味で、ファースト・アルバムの内容を裏切ってくれました❗️なお、プロデュースは高橋幸宏です。 A1 “Theme From ‘Hm’” (3:09) https://youtu.be/KH_dMTL3LV0?si=VdoQwAUnOFlK20rP A2 “Piano Pillows Going Abstract” (3:05) https://youtu.be/trMeUn5xcco?si=dv0eE_ocy5c53Jr8 A3 “Liquid” (6:28) https://youtu.be/L5YXSolGC2Y?si=we3MuUUmdNgKNTGH B1 “Sex Symbol Strikes Back” (3:57) [Garage Band version] https://youtu.be/YpyxO4Oz2Eo?si=wKiCrYwXhZb4yB4E B2 “Arrangement” (4:22) https://youtu.be/AymYA8kJBa0?si=sFjdJJvlqnv9Hqto B2 “Arrangement (Cover)” (4:22) https://youtu.be/KH8VB4o58ws?si=KwKUUB7NFBHT-qFL B5 “Theme From ‘Nihon No Sugao’” (2:34) https://youtu.be/k3kkNFriP6E?si=IVf5LlAs11PWhOoQ #HajimeTachibana #Hm #YenRecords #SecondAlbum #SoloAlbum #ExperimentalPop #Contemporary #Sax #HiroyasuYaguchi #RobinThompson #MitsuruSawamura #TatsuoKondo #DonbayNagata #SaekoSuzuki
Experimental Pop / Contemporary Yen Records (Alpha Records) 不明Dr K2
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招き猫カゲキ団 “第一歌曲集”
以前に、日本のインディーズ出自のバンドとして、恐らく一番成功したのが、Zeldaではないか?と言って、Zeldaのアルバムを紹介していたと思うのですが、今回は、そのZeldaのVoの高橋小夜子とBの小嶋さちほから成るスピンオフ・ユニット招き猫カゲキ団の10㌅EP”第一歌曲集”を紹介します。どこかで読んだと記憶しているのですが、レーベルのTelegraph Recordsが方向性か金銭面かで行き詰まっていた時に、このEPを出したら、何とかレーベル存続が出来て、うまくいったとのことで、正にTelegraph Recordsにとって救世主であったようです。メンバーは先述の高橋小夜子と小嶋さちほの2人ですが、このEPでは、他に、鈴木ヨーコ(G), 渡邉雅美(Drs)が参加しており、また、小山まさのり (Bell, Back-Vo), 小貫隆信 (Cymbal), 小西造次 (泣きG), 小杉均 (Hihat), 地引雄一 (オルゴール)もゲスト参加しています。曲によって演奏する楽器も代えているので、それらも含めて、各曲を紹介していきますね。 ★A1 “人形” (3:48)では、オルゴールに導かれて、やがてオムニコードの調べに乗せて、Voが静かに、そしてハキハキと歌っており、2人のコーラスワークも冴えています。 [小嶋さちほ(Vo, オムニコード), 高橋小夜子(Vo, オムニハープ)] ★A2 “砂漠のマリアンヌ” (3:42)では、民族音楽調のタムを多用したDrsとピアノに、小夜子のVoのちょい一生懸命なVoが切羽詰まって歌っていますが、サビ以降は素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。 [高橋小夜子(Vo, Drs, Piano), 小嶋さちほ(B, Vo, Piano), 鈴木ヨーコ(G), 渡邉雅美 (Drs)] ★B1 “森のおくりもの” (2:20)は、アコーディオンとDrsとClarinetによるワルツで、サビのコーラス部分は秀逸です。時にファルセット気味なVoも良い塩梅! [高橋小夜子(Vo, Clarinet), 小嶋さちほ(B, Vo, オムニコード&ハープ), 鈴木ヨーコ(G, B, Vo), 渡邉雅美(Drs, B, Vo, アコーディオン)] ★B2 “幻夜” (4:43)は、落ち着いたゆったりした曲ですが、Drsとオムニコードに合わせて歌う小夜子のVoとさちほのコーラスが心地よいです。バックの演奏も良くアレンジされています。 [高橋小夜子(Vo, オムニコード), 小嶋さちほ(B, Vo, オムニコード&ハープ), 鈴木ヨーコ(G), 渡邉雅美(Drs)] 久しぶりに聴いてみたのですが、やっぱりに「歌もの」にフォーカスしている点で、内省的で感受性豊かな音楽だなぁと感心しました。このユニットが、この1枚しか録音物を残さなかったのは残念です。Zeldaとは方向性は違いますが、こう言う「遊び心」のある音楽は、大切に聴いていきたいと、改めて思いました。10㌅、45回転、全4曲入りなので、聴き終わっても、またすぐに聴きたくなりますね。耳が疲れた時には、この作品を聴いてみて下さい!また、おまけに彼女らのライブ音源も貼っておきますので、聴いてみて下さい。 [full EP] https://youtu.be/IQcXTOh7IRw?si=UjTSAYqnfbHjn-md [おまけ: Live at Four Vally on Sep. 4, 1983] https://youtu.be/iXk3ruxoZaE?si=9LGKzPSJX4rQFA1Z #招き猫カゲキ団 #第一歌曲集 #TelegraphRecords #JapaneseUnderground #Spin-OffUnit #Zelda #WorldMusic #Folk #Acoustic #歌謡 #10inchEP #高橋小夜子 #小嶋さちほ #鈴木ヨーコ #渡邉雅美 #Guests #小山まさのり #小貫隆信 #小西造次 #小杉均 #地引雄一
Post Punk / Folk / World Telegraph Records 不明Dr K2
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The Modern Lovers “The Original Modern Lovers”
このThe Modern Loversも、1980年代に友達K 君に教えてもらい、当時は、ダビングしてくれたカセットを聴いていたものです。それで、1990年代に中古を購入した次第です。それでは、先ず、The Modern Loversのバイオグラフィーについて改めて調べてみました。The Modern Loversと言うバンドは、Jonathan Richmanを中心として、米国Bostonで結成されたバンドで、厳密には、活動は1970年〜1974年までとされており、この時期に2枚のスタジオ・アルバムを制作していますが、1976年と1981年までは未発表のままでした。それで、彼等は再編成して、1976年〜1988年では、Jonathan Richman & The Modern Loversと名乗って、活動しています。それで、最初に戻りますが、Jonathan Richmanは1969年に高校卒業後、NYCに移り住み、その頃にVelvetsに夢中になり、マネージャーのソファーで2〜3週間、寝起きし続けて、NYC生活を堪能しますが、その後、彼は、ネズミの巣窟たる安ホテルAlbertに住み始めます。しかし彼は「もう充分」と言う理由で、9ヶ月のNYCでの生活を辞めて、欧州やイスラエルを旅行し、最終的にBostonに帰郷します。そこで、幼少期の友達John Felice (G), 後にThe Carsに加入することになるDavid Robinson (Drs)やRolfe Anderson (B)を誘って、たった1ヶ月後の1970年9月に、The Modern Loversを名乗って、The Sidewindersのサポートでライブ・デビューしています。ただ、1971年初頭に、AndersonとFeliceが脱退し、代わりにHarvard大学の学生でもあったErnie Brooks (B)とJerry Harrison (Kbd)が加入し、所謂、The Modern Loversのオリジナル・ラインナップとなります。このメンツでのThe Modern LoversのBostonでの人気は凄く、メジャー・レーベルも興味を示し、1971年秋には、Warner Bros. RecordsのStuart Loveがコンタクトを取ってきており、多チャンネルでの録音によるデモテープ制作も行っています。また、直ぐにA&M Recordsも彼等に興味を持ったようです。翌年1972年4月に、彼等はLAに行き、そこで2本のデモテープを作っています。ひとつは、John Caleプロデュースのもので、Warner Bros.用の、もうひとつは、Allan MasonプロデュースのA&M用の2本です。それと、彼等はその時、CAのBerkeleyにあるLong Branch Saloonでライブもやっており、この音源は、後にライブ・アルバムにもなっています。1972年6月には、Kim Fowleyと出会い、彼はBostonまで来てくれて、何本かのデモテープを作っています。しかし、バンドは、Felice (G)が数ヶ月間復帰したこともあって、MAのCohassetに皆んなで移住しています。1973年初頭には、Warner Brothersと正式に契約しています。しかし、John Caleと一緒に作業する為に、LAのスタジオに行くまでは、Ernie Brooks (B)の家族が所有しているBermudaのInverurie Hotelで演奏する許可をもらっています。そこで過ごしている内に、Richmanは、昔の音楽スタイルを気にするようになり、バンド内に衝突が段々と増えていきます。それでも、Richmanは、違った方向性の音楽になることを心配していましたが、初期の曲を録音することに同意しています。彼自身は、よりメローでリリカルな音楽を録音したかったようです。他のメンバーも反対はしなかったのですが、今風に聴こえるようにはしたかったようです。1973年9月に、Caleの元でのセッションは、彼等の友人Gram Parsonsの死によって、もはや良質な録音などあり得ないと、The Modern Loversのメンバーは思ってしまい、その結果、レコード会社としては、新たにKim Fowleyのプロデュースで、セッションを仕切り直し、Gold Star Studiosで録音して、1981年になって、やっと本作品でもあるアルバム”The Original Modern Lovers”をリリースしています(因みに、この作品は2000年にCDで再発されています)。しかしながら、Warner Bros.側としては、彼等のデビュー・アルバムをリリースし損ねたと考えてしまい、The Modern Loversへのサポートをやめてしまいます。そして、Robinson (Drs)が脱退し、代わりにBob Turner (Drs)が加入しますが、Richman自身が、古い曲(“Roadrunner”等)を段々とやりたがらなくなってしまい、RichmanとHarrisonとの間での音楽の方向性の違いから、1974年2月にバンドは解散してしまいます。その後、メンバーはThe Real KidsやTalking Heads, The Carsへと加入したり、結成したりします。Richmanは、昔のVelvets風の曲調には二度と戻ることはなかったのですが、CaleとMasonがプロデュースした最初の2本のデモテープから、Beserkleyレーベル側が曲を選んで、その傘下のHome Of Hitsから「ファースト」アルバムとして、セルフタイトルで、1976年にリリースしています。しかしながら、Richman自身は、このアルバムを「ファースト」アルバムとは決して認めず、「自分のデビューアルバムは1976年リリースの”Jonathan Richman and the Modern Lovers”だ」と主張しています。ただ、前出の「ファースト」アルバムは、評論家の受けも良く、「本当に偉大なアートロックのアルバムである」とベタ褒めされ、パンクへの影響力もありました。まあ、そんなこともあって、アルバムの順番についてはややこしいのですが、Richmanは、1976年から新生バンドとして、Jonathan Richman and the Modern Loversを始め、1988年まで続けますが、このバンドについてはまたの機会に書くことにします。 それで、リリース順としては、3番目になる本作品”The Original Modern Lovers”について紹介していきます。この時のメンバーは、Jonathan Richman (Vo, G), Jerry Harrison (Piano, Organ, Back-Vo), Ernie Brooks (B, Back-Vo), David Robinson (Drs, Back-Vo)で、Mars Bonfire (G [B5])がゲスト参加しています。それで、この作品は、Kim Fowler がプロデュースして、1972年に録音された音源であり、The Modern Loversとしては、一番古いものです。内容的には、両面とも5曲ずつです。では、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Road Runner Part 1” (4:35)は、ご存知「ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス」で始まる曲で、Kbdが効いてますね。Voは相変わらずヘナヘナですが、それがまた良い塩梅です。 ★A2 “She Cracked” (2:40)も、ワンコードとややヘロったRichmanのVoで押し切るような曲で、カッコ良いですが、間奏はラジオ音です。 ★A3 “Astral Plain” (2:43)は、相変わらずヘロヘロのVoと跳ねるようなリズムから成る曲です。間奏のGソロもヘナチョコですが、そこがまた良いんです。 ★A4 “I'm Straight” (4:05) も、Richmanの語りから始まるスローな曲なんですが、特にバラードとかには聴こえない位、グダグダ感が強い演奏です。その中で、オルガンだけが上手くて、曲を引き締めている感じです。 ★A5 “Walk Up The Street” (3:11)は、変なGソロ(?)から始まり、RichmanのヘロヘロのVo/Gを他の3人が支えている曲ですね。 ★B1 “I Wanna Sleep In Your Arms” (2:29)は、軽快でアメリカンな曲で、RichmanのVoもそんなにヘロってはいません。コーラスもあり、良い曲で、最後には絶叫まで! ★B2 “Don't Let Our Youth Go To Waste“ (1:40)は、Richmanの鼻歌のような独唱から成る小曲で、意外な感じで、物悲しさすら漂います。 ★B3 “Dance With Me” (4:26) は、G(エレキ)の弾き語りで始まり、徐々にBやDrsが微音で入って、更にエレピも入ってくるスローな曲で、盛り上がるところは盛り上がります。RichmanのVoに涙します。 ★B4 “Girlfren” (4:00)も、Richmanの独唱がイントロで、やや明るいような悲しいような甘酸っぱい曲で、やはりRichmanのVoと間奏の下手なGが素晴らしい! ★B5 “Road Runner Part 2” (3:49)は、カウント無しで始まる名曲(A1)のヴァージョン違いで、Richmanも字余りながらしっかり歌っています。この何とも言えない疾走感は、中学生が自転車で思いっきり走っている感じですね。 と言う訳で、Richmanにとっての「ファースト」アルバムでもある本作品は、ヘロヘロのVoとしっかりしたバックの演奏で成立している訳ですが、なんかもう「青春」な感じがして、嬉し恥ずかしで、懐かしい感じですね。Kim Fowleyの「とにかくセッションの場だけは確保するから」と言ったプロデュースは良かったと思いますよ。また、そのやり方は、その後のRichard Hell 辺りには影響を与えたようです。しかし、”Roadrunner”は名曲だと思いますので、未聴の方は是非とも聴いてみて下さい❗️ クレジット曲順 A1 “Road Runner Part 1” (4:35) A2 “She Cracked” (2:40) A3 “Astral Plain” (2:43) A4 “I'm Straight” (4:05) A5 “Walk Up The Street” (3:11) B1 “I Wanna Sleep In Your Arms” (2:29) B2 “Don't Let Our Youth Go To Waste “ (1:40) B3 “Dance With Me” (4:26) B4 “Girlfren” (4:00) B5 “Road Runner Part 2” (3:49) https://youtu.be/Q3iK4JU5Q3M?si=7rV_CODMuuIHJVpw #TheModernLovers #TheOriginalModernLovers #LineRecords #MohawkRecords #ドイツ盤 #FirstAlbum #ThirdAlbum #1981年release #Producer #KimFowley #ArtRock #Garage #AmericanBand #JonathanRichman #JerryHarrison #ErnieBrooks #DavidRobinson #Guest #MarsBonfire
Art Rock / Garage Line Records / Mohawk Records 不明Dr K2
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The Cramps “…Off The Bone”
The Cramps。曲は良く知ってるようで、意外とレコードで持っていないバンドの一つです。かく言う私もレコードは本作品しか持っていないのですよ。と言う訳で、先ずはThe Crampsのバイオグラフィーについて調べてみました。The Crampsとは、夫婦でもあるLux Interior (本名Erick Purkhiser)とPoison Ivy (本名Kristy Wallace)を中心に、1976年から2009年までアクティブに活動して、Psychobilly (サイコビリー)の大本になった米国のバンドで、彼等2人以外は頻繁にメンバー・チェンジをしています。1972年に、InteriorとIvyは、米国CAのサクラメントで出会い、お互いに共通の趣味・嗜好やレコード・コレクション等から、バンドThe Crampsを結成しようとします。ステージ名については、Interiorは自動車の広告から取って、Ivyは、彼女が夢で見たロールシャッハ・テストから取って、最初は、Poison Ivy Rorschachと名乗っていました。それで翌年1973年にOhio州Akronに移り、1975年にNYCに移ってきて、CBGB等のライブハウスで、The RamonesやBlondie等のNYパンク・シーンに飛び込んでいます。最初のラインナップは、Poison Ivy Rorschach (G), Lux Interior (Vo)に加えて、Bryan Gregory (G)と彼の姉妹のPam "Balam" (Drs)から構成されていました。しかしながら、短期間の内にDrsが2回代わっており、後にNervous Rexに加入するMiriam Linnaに代わり、その後1977年9月には、Electric EelsのNick Knox (Drs)に代わっています。それで、1970年代末から、彼等は、リハーサルの場をThe Fleshtonesとシェアし、CBGBやMax’s Kansas Cityに定期的に出演するようになります。1977年には、MemphisのスタジオでAlex Chiltonプロデュースで2枚のシングルを出し、その後、I.R.S.Recordsと契約しています。それで、The Policeのサポートアクトとして、初の英国ツアーも敢行。1978年6月には、カリフォルニア州立精神病院で患者の前でフリーコンサートを行い、その様子をCAのTarget Videoが撮影しており、後に”Live at Napa State Mental Hospital”としてリリースされます。その後、再び東海岸へと戻り、New Jersey の1940年代風スイング・クラブに出たりして、NYCでシングル2枚分を録音しており、これらは、1979年に出たEP”Gravest Hits”で再録されて出ています。一方、Chiltonは、Memphisに彼等を呼び寄せ、ファースト・アルバム”Songs the Lord Taught Us”を制作しています。1980年になると、彼等は西海岸LAに居を移し、そこで、The Gun ClubのKid Congo Powers (G)を誘って、セカンド・アルバム”Psychedelic Jungle”を制作しますが、レーベル側と揉めてしまい、その時にNYのペパーミント・ラウンジでのライブを録音したアルバム”Smell of Female”も含めて、1983年までは何もリリース出来なくなりました。そんなこともあってが、Kid Congo Powersは段々疎遠になっていき、代わりにKnoxの従兄弟でThe Pagansに居たMike MetoffがセカンドGとなりました。ただ、ライブ要員としてだけです。それで、The Crampsは、大々的な英国ツアーを1984年に行ない、ハマースミスでのショー4公演をソールドアウトさせています。その時に録音した "Thee Most Exalted Potentate of Love"と"You Got Good Taste"は、ラジオ番組The Midsummer Night's Tube 1984で放送され、先述のアルバム”Smell of Female”は、英国アルバムチャートも74位まで上がります。そして、1985年には、ホラー映画”The Return of the Living Dead”に、”Surfin' Dead"と言う曲を提供しますが、ここでは、Ivyは、Gと共にBもプレイしており、1986年作アルバム”A Date With Elvis”でも彼女が弾いていたのですが、どうもしっくり来ない為、アルバムのプロモーション・ツアーの時に、正式なベーシストとしてJennifer "Fur" Dixonを加入させています。そうして行った英国ツアーは、どこもソールドアウトで、大成功でしたが、米国では、録音物をちゃんと出してくれるレコード会社を見つけるのが難しかったみたいです。彼等のシングル"Can Your Pussy Do the Dog?"は、英シングルチャートに初めて入っています。その後、1986年にやっと、Satan's Cheerleadersに在籍していたCandy del Marがパーマネントなベーシストとして加入しています。彼女のプレイは、ライブアルバム”RockinnReelininAucklandNewZealandxxx”で初めて聴くことができます。その後1990年には、スタジオ・アルバム”Stay Sick”をリリースし、1990年2月の英国アルバムチャートで62位になっています。ただ、Candy del Mar (B)とKnox (Drs)は1991年に脱退してしまいます。しかし、シングル"Bikini Girls with Machine Guns"は英国トップ40に入り、ヒットしています。The Crampsは、1990年代〜2000年代に多くのシングルやアルバムを色々なレーベルから出していますが、1994年に、Warner Brothers傘下のThe Medicine Labelと契約し、初期のMax’s Kansas Cityでのライブ音源を500枚限定の12㌅EPでリリースすると告知しています。同年1月初旬には、CBGBでシークレット・ライブも行なっています。そして1994年に、Conan O'Brienが司会の米国TV番組Late NightでTVデビューしています。曲は”Ultra Twist”です。1995年には、シリーズもののTV番組Beverly Hills, 90210に出演し、ハロウィンのエピソード"Gypsies, Cramps and Fleas"を語り、"Mean Machine"と"Strange Love"の2曲を演奏しています。The Crampsはそうしてロックの殿堂入りを果たしますが、その時に、Interorはボロボロのバスドラを頭に被ったまま、ライブをしています。しかしながら、2001年1月10日に、オリジナルのセカンド・ギタリストBryan Gregoryが、心臓発作の為、49歳の若さで他界します。The Crampsは、2002年に、最後のアルバム”Fiends Of Dope Island”を自身のレーベルVengeance Recordsから出しています。2006年夏には、最後の欧州ツアーをやっており、その年の11月4日に行ったArizinaのTempeでのライブが最後となりました。そうして、2009年2月4日に、Lux Interiorは、大動脈瘤破裂で突然死を遂げてしまい、The Crampsは解散となります。 大体の流れは以上のようになります。それで、本作品は、英国のIllegal Recordsが既出の曲を集めたセルフ・コンピ・アルバムであり、参加メンバーは、Lux Interior (Vo), Poison Ivy (G), Bryan Gregory (G), Congo Powers (G), Nick Knox (Drs)となっていますが、GregoryとCongo Powersとは重なっていないです(B4-B8はCongo Powers参加)。しかも何故かベースレス(その理由は良く分かりません)。内容は、A面7曲/B面8曲となっており、彼等の初期の名曲揃いの選曲となっています。それでは、本作”…Off The Bone”の各曲を紹介していきます。 ★A1 “Human Fly”は、もう彼等の代表曲と言うか古典曲ですね。グレッチをロカビリー風に弾くIvyとファズGのGregoryの対比が面白い!ベースレスなんだよね。 ★A2 “The Way I Walk”も、有名な曲!ロッケンローな雰囲気とヴードゥーの呪文をプレスリーが歌っているようなLux InteriorのVo、もう痺れるねー! ★A3 “Domino”も、プレスリーのゾンビのようなLuxのVoとIvyのG、堪りませんね。如何にもアメコミ的な音楽です。KnoxのDrsもドコドコしていて良い。 ★A4 “Surfin' Bird”は、アップテンポな代表曲で、InteriorのVoは、今にもパンツ下ろしてそうな感じで、プレスリーに失礼だよと突っ込みたくなる!間奏での2本のGの捩れ具合、グチャグチャ具合もサイコー! ★A5 “Lonesome Town”は、静かめの曲で、2本のGが興味深いし、意外にまともに歌い上げるInterorも珍しい。ただ、不穏な瞬間は見え隠れする。 ★A6 “Garbageman”も、代表曲!IvyのグレッチとGregoryのファズGの組合せはいつもサイコーだし、間奏の激烈なGソロもカッコ良い。それにしても、このリフはカッコ良すぎる! ★A7 “Fever”は、一転、怪しげで、如何にもアメコミ的不気味さとか静けさを醸し出してますね。InteriorのVoは、まるで熱病にうなされているような感じ!? ★B1 “Drug Train”も、如何にもThe Cramps的なロッケンローですね。バックに入ってくる乱チキ騒ぎ的SEも良い具合です。 ★B2 “Love Me”は、ややアップテンポなロッケンローで、変な「間」のブレイクが何とも言えず、The Crampsっぽい!最後がまたくどい? ★B3 “I Can't Hardly Stand It”も代表曲で、Ivyのリフに、Interior のプレスリー顔負けの歌い方には中毒性がありますね。こんな罰当たりなVoは他には皆無! ★B4 “Goo Goo Muck”も、有名な曲で、何となく夏を感じることの出来る曲ですが、多分、IvyのGリフがそう感じさせるのでしょう! InteriorのSE的アジも良い! ★B5 “She Said”では、口の中に脱脂綿一杯詰めたようなInteriorの白痴的Voはいつ聴いてもサイテーでサイコー! アップテンポなパックの演奏もサイコー! ★B6 “The Crusher”もヘビーでご機嫌なロッケンローの代表曲。これを聴くと、The Crampsを教えてくれたいつも友人K君を思い出すなぁ。 ★B7 “Save It”も、Interorの馬鹿馬鹿しい程のやり過ぎなVoとIvyのGのリフとか、やっぱり一番しっくりくるなぁ。Congo Powersの変なGソロもカッコ良い!ブレイクの呼吸は何? ★B8 “New Kind Of Kick”は、似非ヴードゥーな雰囲気が最高のロッケンローな曲です。間奏のGソロが、また痺れるぅー! まあ、このレコードはThe Crampsの良いとこばっかり集めたアルバムですので、皆んな、絶対聴いたことあると思いますよ、しかもどの曲もカッコ良い!痺れまくりじゃないですか❗️1980年代初頭に初めて聴いた時は、プレスリーのモノマネか?とも思ったのですが、ステージングやライブパフォーマンスを観て、これは只者ではないな!と感じました。そう言えば、1990年代に、故)田野さんに誘われて、The Crampsの来日公演を川崎クラブチッタに観に行ったのも良い体験でした。そんな訳で、このアルバム、聴いてみますか? A1 “Human Fly” (2:12) A2 “The Way I Walk” (2:38) A3 “Domino” (3:05) A4 “Surfin' Bird” (5:03) A5 “Lonesome Town” (2:55) A6 “Garbageman” (3:32) A7 “Fever” (4:16) B1 “Drug Train” (2:33) B2 “Love Me” (1:57) B3 “I Can't Hardly Stand It” (2:39) B4 “Goo Goo Muck” (3:02) B5 “She Said” (3:11) B6 “The Crusher” (1:48) B7 “Save It” (3:01) B8 “New Kind Of Kick” (3:28) https://youtu.be/6tXtPPmggdw?si=_iw_ZN8yGF_teo_1 #TheCramps #OffTheBone #IllegalRecords #SelfCompilation #Album #Psychobilly #Garage #PunkRock #LuxInterior #PoisonIvy #BryanGregory #CongoPowers #NickKnox
Psychobilly / Garage Illegal Records 不明Dr K2
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Be-Bop Deluxe “Drastic Plastic”
またまた出ましたよ!Be-Bop Deluxeの5枚目にして最後のスタジオ・アルバム”Drastic Plastic”です。今回の参加メンバーも、Bill Nelson (Vo [A1-B3, B5, B6], G), Charles Tumahai (B [A1 to B3, B5, B6], Back-Vo [A1-A3, B3]), Andy Clark (Mini-Moog [A1; A3, A4, B1, B5], Poly-Moog [A1-B1, B5]), Simon Fox (Drs [A5-B3, B5, B6])で、プロデュースもBill NelsonとJohn Leckieです。なお、ジャケのデザインはHipgnosis(ヒプノシス)が担当しています。と言う訳で、この次に、Bill Nelsonは、Andy Clarkを誘って、Bill Nelson’s Red Noiseへとシフトしていきますが、Nelson自身が語っているように、このアルバム収録曲とRed Noiseのアルバム収録曲は、同じような時期に作られていますので、それ程の断絶は無く、一連の流れとなっています。Red Noiseへの移行のことは、以前にも書きましたので、そちらをご参照下さい。あと、Clarkは、本作品では、シンセだけを弾いており、恐らく当時のエレ・ポップの走りを意識したのではないかと思われます。それでは、本作品の各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Electrical Language” (4:48)では、エフェクトを掛けたVoやポリシンセを前面に押し出したアレンジは明らかにニューウェーブ路線ですね。間奏もMini-Moogだし。ただもう少しVoをハッキリさせて欲しかった! ★A2 “New Precision” (4:29)は、Fischer-Zにも少し似た曲調ですが、まだこちらの方が間奏のGソロなんかはプログレ的/ギターロック的ですね。しかし、ビートのパタンがモダーンですし、泡ブクブクの音も。 ★A3 “New Mysteries” (4:44)は、ややファンク調のリズムですが、それ程「黒い」訳ではなく、やはりポストパンク的なノリに近いかも知れません。またこの曲ではGのリフがやや目立ちます。 ★A4 “Surreal Estate” (5:00)は、リリカルなピアノで始まる可愛らしい曲で、Percが楽しげです。まだ、Red Noise程ではないですが、シンセ音が散りばめられています。 ★A5 “Love In Flames” (4:08)は、いきなりアップテンポのDrsで始まる疾走感のあるニューウェーブな曲で、切迫感のある曲調も含めてカッコ良く、オルガンらしき音のリフやGソロも最高です! ★B1 “Panic In The World” (5:03)は、古めかしいブギ的曲調なんですが、シーケンサーやシンセ音も加わわり、全体としては「ニュー」な印象となっています。 ★B2 “Dangerous Stranger” (3:05)は、アコギを使っていますが、パンク/ニューウェーブな曲で、少しだけブギの要素も入っていて、カッコ良いです。 ★B3 “Superenigmatix (Lethal Appliances For The Home With Everything)” (2:10)は、B2から連続しており、この曲もニューウェーブ的な曲で、ピアノと共にシンセも使われており、Voスタイルも新鮮です。 ★B4 “Japan” (2:34)は、それ程東洋趣味な曲ではありませんが、Percの音色が多少そんな感じでしようか?それっぽくしようとしているのは分かります。 ★B5 “Possession” (2:33)も、Voスタイルと歌詞及び曲調もニューウェーブ的な曲ですね。サビはややプログレ的な印象も多少あるかな?後半のシンセはグー! ★B6 “Islands Of The Dead” (3:44)は、アコギの弾き語りから始まるしっとり、まったりした曲で、この曲で締めるかあ!と思わず叫びたくなりますね。 前回、紹介したアルバム”Sunburn Finish”よりも、ずっとニューウェーブな曲調が感じられますが、後のRed Noise程ではないので、1978年当時の流行り(パンク〜ニューウェーブ)を取り込もうとしていることや、プロデューサーにJohn Leckieも加わっていることも含めて、随分モダンなアルバムに仕上がっているとおもいます。この傾向は特にB面で顕著ですね。なので、1970年初期から出てきたバンドが、1970年代後半当時の音楽からどんな影響を受けたかを知る上で、重要なアルバムです❗️皆さんも聴いてみましょう! B5 “Possession” https://youtu.be/jGPUBoVN_Wk?si=M3Hoazeljv1nEPq8 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nSvLfqKEpLrjmtlEvNUP3q7iEh1qChYQI&si=9wcisImcccUa_uH4 #Be-BopDeluxe #DrasticPlastic #HarvestRecords #5ThStudioAlbum #GlamRock #NewWave #BillNelson #CharlesTumahai #AndyClark #SimonFox #Producer #JohnLeckie #Hipgnosis #Synthesizers
Glam Rock Harvest Records 不明Dr K2
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XTC “Drums And Wires””
そう言えば、XTCの初期のアルバムは集めてたなと思って発掘しました。4枚目のスタジオ・アルバム”Drums And Wires”を今回はご紹介します。ある意味、ごく初期のテクノポップをやっていたXTCから、英国的ポップ・ミュージックの道に進路転換した作品でもありますね。と言うのも、Barry Andrews (Kbd)が脱退して、Kbdも弾けるギタリストDave Gregoryが加入したからです。つまり、Kbd奏者を代わりに入れてテクノポップを進化させるのではなく、ギタリスト兼Kbd奏者を加入させることで、よりテクノポップの文脈から逸脱しようとしたからです。そう言う背景で制作された、最初のアルバムが、この”Drums And Wires”です(アルバム・タイトルも洒落が効いてますね(要するにバンドってことかな?)。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Making Plans For Nigel” (4:13)は、シングルカットもされた名曲で、細部にまでエフェクトや音色に注意が払われており、正にポップスの極み! ★A2 “Helicopter” (3:54)も、少し奇妙な転調や譜割りもしますが、軽快なビートに乗せたPartridgeのセンスが光ります。 ★A3 “Life Begins At The Hop” (3:45)は、次のアルバム”Black Sea”に繋がることを予見させるようなメロディラインがワクワクさせてくれる曲です。コーラスも完璧! ★A4 “When You're Near Me I Have Difficulty” (3:20)は、何処かセカンド”Go2”からの作風を引っ張っていますが、それ程、専属Kbdが居ないことを意識させないです。 ★A5 “Ten Feet Tall” (3:12)は、この頃の彼等にしては珍しく、アコギを使ったソフトなポップネス全開な曲で、間奏のGやサビのコーラスも絶妙!染みるなぁ。 ★A6 “Roads Girdle The Globe” (5:11)は、結構大胆な音作りで、Drsの録り方にも一工夫施されています。ちょっとだけ使われているシンセとかがボディブローのように効果的に効いてきます。 ★B1 “Real By Reel” (3:46)でも、効果的なシンセと強力なDrsが活きているポップ・ソングです。やはり”Black Sea”への布石のような曲調。 ★B2 “Millions” (5:37)では、ややファットなBに、2本のGが上手く絡み合っている曲で、ちょっと実験的なスパイスも感じられる。最後の絡みは意外だった! ★B3 “That Is The Way” (2:56)は、ちょっと変わった構成から成る曲で、ハワイアンのようなスライドGや、はたまた間奏のトランペットが活かしています。 ★B4 “Outside World” (2:40)は、アップテンポで、元気一杯な曲で、少しだけだが、パンクっぽいけれど、ポップネスは保持しています。 ★B5 “Scissor Man” (3:59)も、ひと癖のある曲調ですが、上手くポップソングに昇華していますし、それが故に、唯一無比です。サビのDrsは彼等しか思いつかないなと思う。また、ダブ的なミックスも光る❗️ ★B6 “Complicated Game” (4:53)は、出だしからしてやや実験的だが、いざ本番の演奏が始まると、Partridge節のVo(段々とエコーが深くなっていく)が炸裂します。 個人的には、PartridgeのVoよりもMouldingのVoの方が好きなので、自ずと後者の曲の方に魅了される訳ですが、それでも、XTCのキモは、2人の作曲能力とかアレンジ能力とかが見事な化学反応を起こすことで、独自のポップネスを手に入れていることだと思います。過渡期的作品ですが、だからこそ、皆さんにも一度は聴いて頂きたいアルバムです‼️あと、”XTC節”みたいな曲調がビシビシ感じられて、その点も良いですねー! “Sleepyheads” (Outtake) https://youtu.be/HrQ7G5hPf-M?si=lLjHcA2Ea-TSIBjQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kNh7p2arge_vvDWZ0BWeG7Bn2A32t4zKQ&si=o4qXUTv1ecD_KoOH #XTC #DrumsAndWires #VirginRecords #4ThAlbum #PopMusic #NewWave #BritishRock #AndyPartridge #ColinMoulding #TerryChambers #DaveGregory #GuitarAndKeyboards #脱TechnoPop
Pop, New Wave Virgin Records 不明Dr K2
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非常階段 “Viva Angel”
今回は、最凶/最強のノイズ・バンド非常階段のセカンド・アルバム”Viva Angel”を紹介します。このアルバムは1984年に、自身のレーベルAlchemy Recordsからリリースされていますが、この頃になると、ファースト・アルバムのような「キワモノ」扱いはすっかり下火になり、ノイズを単なる騒音パフォーマンスから音楽としてのノイズへとシフトしていってます。その為か、このセカンド・アルバムは余り評価されていないようにも思えます。実際、私もこのアルバムに関しては、リリース当時は某友人から聴かせてもらったけれども、最初は琴線に触れなかった位ですから。既にパフォーマンス組は離脱しており、音楽組だけが残り、非常階段を続けていたようです。この時のメンバーは、JOJO広重 (G), Junko N. (Vo), 林直人 (B), 横山Sakevi (Others), T.美川 (Electronics, Vo)の5人でした。また、このアルバムは、ライブ録音では無く、1984年9月にAlchemy Studioでのスタジオ録音であったことも大きいようです。 それでは、ピュアにノイズ・ミュージックをやり始めた非常階段のセカンド・アルバムを紹介していきましょう。先ず、ジャケのデザインはFaustの”So Far”のオマージュでかつアルバム・タイトルはLa Düsseldorfのアルバム”Viva”から来ているようです。そんなプログレ好きな非常階段のアイデアが詰まっています。内容もA面6曲/B面1曲と言うアシンメトリーな構成になっています。それでは、各曲を紹介していきます。 ★A1 “Seeds Rock 'N Roll”では、呪文のようなVoと電子音と単調なスネアの反復打撃音から成り、一応、リズムらしき構造は聴取出来ます。 ★A2 “Hellthy Girl”は、分厚い電子音とGノイズが暴れる上に、Junkoと思われるVoiceが聴こえる曲です。フィードバック音がノイズだなあと思わせます。 ★A3 “Secret Desire”は、浮遊する電子音とGらしきノイズ音から成る曲で、引いた感じがまた良い。スタジオ録音らしい出来映えで、新境地ですね。 ★A4 “Twilight Guitar”は、空間を切り裂くGノイズが前面に、そしてバックには電子音が聴取できる曲です。JOJOさんのG、凄いですね。 ★A5 “Viva Angel”は、ビートを叩き出すDrsとBの上に、Gノイズ(と電子音?)が乗ると言った元祖ノイズ・ロック的な曲で、Voiceすら聴くことが可能で、異色なチューンで、カッコ良いです! ★A6 “Broken Young Bud”は再び、電子音とGノイズのテンションの高い絡みから成る曲で、複数のVoiceと言うか咆哮から成る曲です。これらのバックに通奏低音のような持続電子音が流れています。 ★B “Bad Character, But Great Sounds”は、A面とは異なり、Gノイズと電子音とBらしき低音等がかなりの音圧で収められており、ここら辺から、ノイズ・バンドとして自覚的に曲を録音するようになったのではないかと思われます。A5と共に、B面一杯使ったこの曲も、本アルバムのハイライトでしょう。個人的には、この曲が一番のお気に入りです。それにしても、曲名の「性格悪いが、音凄い」とは誰のことでしょう? スタジオを使っての録音と言うこともあって、各音が比較的分離して良く聴こえます。それが良い悪いは別として、「音楽」としては聴き易くなっていますし、それでも、B面一杯を使っての曲などは、強靭な音(=ノイズ)を放射しており、その後の非常階段の音楽性を示唆する出来映えだと思います。また、A5のようなロック的アプローチも興味深いですが、確か、多重録音で録ったとか(間違っていたら、ごめんなさい!)で、当時はそんな音楽を欲していたので、良く覚えていましたね。きっとJOJOさんのロックへの偏愛なのでしょう! 非常階段がプログレから始まったのを確認出来る一枚となっています。なので、そのルーツとその後の発展性を知るには重要なアルバムだと思いますので、ノイズ偏愛者のリスナーさんはマストなアルバムですよ‼️ A1 “Seeds Rock 'N Roll” A2 “Hellthy Girl” A3 “Secret Desire” A4 “Twilight Guitar” A5 “Viva Angel” A6 “Broken Young Bud” B “Bad Character, But Great Sounds” https://youtu.be/bgi_TeuhGLc?si=wU5FD2XqR6Jd3Whj #Hijokaidan #非常階段 #VivaAngel #AlchemyRecords #Noise #NoiseMusic #StudioAlbum #SecondAlbum #JOJO広重 #JOJOHiroshige #JunkoN. #NaotoHayashi #林直人 #Sakevi #横山Sakevi #美川俊治 #T.Mikawa
Noise / Noise Rock Alchemy Records 不明Dr K2
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Lizzy Mercier Descloux “Press Color”
Lizzy Mercier Descloux (リジー・メルシェー・デクルー)を覚えている方はいらっしゃるでしようか?元々、Rosa Yemenと言うバンドで1枚シングルを出して、その後、ソロ活動で、NYCのNo Wave Movementに巻き込まれて、一部のリスナーには話題になった仏人女性アーティストです。今回は、No Waveとも関係の深いレーベルZE Recordsから出たファースト・アルバム”Press Color”をご紹介します。先ずは彼女のバイオグラフィーを書いておきます。Mercier Desclouxは仏Lyonに住んでいましたが、10代の時に、恋人のMichel Estebanと共に、パンクムーブメントの活動拠点になる店Harry Coverや雑誌Rock Newsの立ち上げの手伝いをしています。そうして、彼女は、1975年にNYCを訪れた時に、Patti SmithとRichard Hellと親交を深めることになります。このことは彼女の最初の著書Desiderataに記載されています。そうして、彼女とEstebanは1977年にNYCに移住し、後にZE Recordsを立ち上げるMichael Zilkhaとも会っています。それて、Mercier Desclouxは、ギタリストのD.J. Barnes (Didier Esteban)とパフォーマンス・デュオRosa Yemenをやり始め、1978年に、ZE Recordsから、セルフタイトルのミニLPを出しています。その翌年1979年に彼女は、ソロとしてデビューアルバム”Press Color”をZE Recordsよりリリースしています。この作品では、彼女自身もギターを自己流で弾き、No Waveシーンの中で、ミニマリストとして彼女自身を表現しています。この作品では、ファンク・リズムの中で、違うハーモニーと合わせて、単一のラインを演奏することに集中していましたが、レコードの売り上げは芳しくなく、米国や欧州のツアーをしています。その時に、Island RecordsのChris Blackwellが、バハマのNassauでのセッションを提案し、Compass Point All StarsのエンジニアSteven Stanleyとkeyboard奏者Wally Badarouと一緒に曲を書いて、セルフ・プロデュースをしたセカンド・アルバム”Mambo Nassau”をリリースします。このアルバムは、アート・ロックやファンク、ソウルと同様にアフリカの音楽にも影響された内容でしたが、米国ではそれ程売れませんでしたが、彼女は仏のCBS Recordsとコンタクトを取ることをは成功します。そうして、彼女は仏に戻ると、2枚のシングルを出し、アフリカにも旅行して、Sowetoの音楽に基づいたアルバム”Mais où Sont Passées les Gazelles?" を1984年にリリース、仏ではヒットします。その後も、プロデューサーにAdam Kidronを迎えて、アルバム”Zulu Rock”をリリースします。同様にKidronのプロデュースで、1986年にもアルバム”One for the Soul “をリリース、このアルバムは、ジャズ・トランペット奏者Chet Bakerと共にブラジルで録音されています。その後も、元MarsのMark Cunninghamと一緒に、1988年に、ロンドンで録音されたアルバム”Suspense”をリリースしています。この時期には、彼女は、女優、映像作家、詩作にも取り組んでいます。1990年代中盤になると、彼女はコスタリカに移住し、自身の絵画や出版予定の無い小説を書いたりしています。しかしながら、2003年に、彼女は卵巣癌と結腸癌と診断され、それが元で翌年他界してしまいます。それで、ZE RecordsのレーベルメイトであったCristinaは、2004年のアルバム”Sleep It Off to Mercier Descloux”を再びリリースし、Mercier Desclouxに歌を捧げています。また、Estebanも、レーベルLight in the Atticを設立し、幾つかの録音物の再発をしています。 ザッと、Lizzy Mercier Desclouxのバイオグラフィーはこのようになりますが、今回は、彼女のファーストアルバム”Press Color”を紹介します。録音には、Lizzy Mercier Descloux (Vo, G, B, Perc)の他に、D.J. Banes (G, B, Perc, Back-Vo), Erik Elliasson (G, B, Kbd), Jimmy Young (Drs, Perc)が参加しています。なお、Banes, Elliasson, Mercier Desclouxの3人で、プロデュースしています。両面とも4曲が収録されています。では、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Jim On The Move” (2:29)は、タイトルを何度もリズミックに歌っている内に終わってしまうファンクな曲で、リズム隊は基本ファンキーですが、Gはややフリーキーですね。 ★A2 “Aya Mood 3.5” (2:50)も、ファンク調なのですが、2本のGが程良く絡み合うインスト曲です。GにThe Contortionsっぼさをちょっとだけ感じるのは、私だけ? ★A3 “Torso Corso” (1:48)は、無調オルガンも加わったミニマルな小曲で、上下するベースラインとG、それにMercier DesclouxのVoが良いアクセントです!終わり方がカッコ良い。 ★A4 “Wawa” (2:18)も、The Contortionsを彷彿とさせるファンク調で、バネのあるインスト曲です。ノリはよく、踊れるNo Wave!とも言えましょう。 ★B1 “Fire” (5:11)は、James Brownの曲のカバーで、Gには結構エフェクターが掛けてありますが、割とちゃんとファンクしていますし、ちょっと覚めたMercier DesclouxのVoもやんちゃな感じで良い。Saxも入っていますが、誰が吹いているの? ★B2 “Mission Impossible”もTV番組「スパイ大作戦」カバーで、ピアノとオルガンを使ったラウンジ調〜ラテン調に編曲してあります。面白い!踊れる5拍子のインスト曲! ★B3 “No Golden Throat” (2:38)は、ジャマイカンで、ゆったりした曲ですが、レゲエまでは行っていません。活き活きしたMercier DesclouxのVoが良い!そのバックで仄かに雑踏の音が流れています。 ★B4 “Tumour” (2:57)は、ウィスパーなMercier DesclouxのVoと指を鳴らしてのリズムで始まる、やや怪しい感じのジャジーな曲で、Bはフェイク・ジャズみたいですが、Gは割とフリーキーです。 全体的に、曲が短めで、収録曲もそんなに多くないので、何度も聴きたくなるアルバムです。それに、ZE色みたいなちょっとアヴァンな味付けが適度で、それがまた「食欲」を刺激します❗️カバー曲の選曲も良いです。なので、見つけたら、即ゲットですよ❗️ [full album] https://youtu.be/qIYsjvDspLk?si=fvWtZrTZz8jTm54X [オマケ: B1 “Fire” on Frech TV show] https://youtu.be/QEDDK0XLGfw?si=K__GeKsxXgVew6zG #LizzyMercierDescloux #PressColor #ZERecords #FreeFunk #FakeJazz #NoWave #CoverTune #FirstAlbum #FrenchMusician #D.J.Banes #ErikElliasson #JimmyYoung #RosaYemen
Free Funk / No Wave ZE Records 不明Dr K2
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Lene Lovich “Stateless”
皆さんは覚えていらっしゃいますか? Lene Lovich (リーナ・ラヴィチのことを❗️私、この方のことを、当時、東欧から亡命してきたと思っていたんですよ。それで、ちょっと調べてみました。Lena Lovich、本名Lili-Marlene Premilovichは、米国ミシガン州Detroitの出身で、英国人の母親とセルビア系米国人の父親との間に生まれましたが、13歳の時に、英国東ヨークシャー州Hullに移住しています。その時に、Les Chappell (G/Songwriter)と出会い、長い間、彼女の公私に渡る協力者/パートナーとなります。1968年に、彼女は、アートスクールに通う為、Londonに移ります。その時に髪の毛をドレッド(?)にして、以降、彼女のトレードマークになります。そこから、彼女は、アートスクールに通いながら、地下鉄で大道芸をしたり、キャバレーで東欧系ダンサーをしたり、また、スペインに行ってSalvador Daliに会っていたりもしています。この頃、彼女はフォーク・ロックを演奏しており、Royal Albert HallでQuintessenceと呼ばれるショーで合唱団に参加したり、Arthur Brownのショーで兵士を演奏したり、Radio One Roadshowでゴーゴー・ダンサーとして働いたりしています。また西インドのソウルバンドでイタリアにツアーしたり、Bob Flag's Balloon & Banana BandやガールズバンドThe SensationsでSax を吹いたり、ホラー映画での叫び声や仏のディスコ・スターCerroneに仏語の歌詞を書いたり、その他にも色々な劇団とも仕事をしています。1975年には、彼女はThe Diversionsに参加して、3枚のシングルと1枚のアルバムもPolydor Recordsから出しています。翌年1976年に、彼女はLene Lovichの名前で、3曲入りシングルを英国で出していますが、これはクリスマス向けの音楽でした。1977年には、彼女は、エンジニアAlain Wisniakの意見に沿って、仏人打楽器奏者/ディスコ・パフォーマーCerroneが書いた曲”Supernature”に歌詞を付けています。そして、1978年には、ラジオDJ/ 作家Charlie Gillettが、Lovichが録音した"I Think We're Alone Now"のカバー曲に注目して、Stiff RecordsのボスDave Robinsonに進言、すぐさま、シングルを出すことになり、LovichとChappellは曲を書いて、録音します。このシングルが彼女の出世作”Lucky Number”だった訳で、英国シングルチャートでトップ3になります。そうして、Robinsonの誘いを受けて、1978年のBe Stiff Route 78 Tourに参加しています。そして、直ぐに、彼女なりのパンクとかニューウェーブとかの解釈が詰め込まれた、本作品でもあるファースト・アルバム”Stateless”を作り上げます。その後数年で、彼女は、2枚のアルバム”Flex”と”No-Nan’s-Land”及びEP “New Toy”を制作しており、後者は、ツアー・メンバーでもあったThomas Dolbyによる曲です。また彼女は、The Residentsの”Picnic Boy”にVoで参加していたりもします。Lovichは、ChappellとChris Judge Smithと共に曲を書き、1982年10-11月に、LondonのLyric Hammersmithで、”Mata Hari”と言うミュージカルを行いますが、この頃に、Stiff Recordsとは離れ、米国のEpicと契約しています。その時に、Lovichは、映画”Cha Cha”でサントラを一緒に作ったNina Hagenと一緒にシングル"Don't Kill the Animals”をリリースしています。そうして、家族が出来たことで、暫く休業していましたが、1989年に、アルバム”March”をPathfinder Recordsよりリリース。このアルバムでは、Chappellと共に、エレクトロ・デュオTanz Waffenも参加して制作されており、1991年には、彼女は、オペラ”The Fall of the House of Usher”にも曲提供をしていますが、ここで、一旦、Lovichの音楽活動は、理由は不明ですが、停止しています。次にLovichが姿を現すのは2005年で、Hawkwindのアルバム”Take Me To Your Leader”と彼女の新作アルバム”Shadows And Dust”となりますが、今回は、ここまでとします。なお、彼女は今も現役で活動しているようです。 それで、ファースト・アルバム”Stateless”について紹介します。ここでは、Lene Lovich (Vo, Sax, Tuned-Perc)の他に、Les Chappell (G, EMS Synth, Synth, Perc, Vo), Ron Francois (B, Perc, Vo), Bobbi Irwin (Trap Drs, Perc, Vo), Nick Plytas (Organ, Piano), Jeff Smith (Synth, Solina), Roger Bechirian (Remix [A1-B3, B6])が参加して、A面5曲/B面6曲が収録されており、シングルカットされた”Lucky Number”や”Say When”もあります。それでは、各曲を紹介していきます。 ★A1 “Home”は、シンセやオルガンが使われたニューウェーブな曲で、正直カッコ良いです。直線的なベースラインが特にカッコ良いし、LovichのVoもキュート! ★A2 “Sleeping Beauty”は、アコギも使われた「青春」な曲です。独特のしゃくり上げるLovichの唱法がよく活かされています。 ★A3 “Lucky Number”は、ご存知のキャッチーでニューウェーブな曲ですね。やっぱりLovich独特のVoがキュート! ★A4 “Too Tender (To Touch)”は、リリカルなピアノに、切ないVoと言う悲しげなしっとりした良曲です。 ★A5 “Say When”も、LovichのVoが存分に活かされた、アップテンポな曲で、マカロニ・ウエスタン調にアレンジされています。 ★B1 “Writing On The Wall”は、一転、ジャジーな曲調で、Saxが悲しげです。語りも入っていますが、サビでは元気が出てきますね。 ★B2 “Telepathy”も、ニューウェーブっぽい曲ですが、LovichのVoも元気一杯ですね。 ★B3 “Momentary Breakdown”も、オルガンとシンセが程良いスパイスになった曲で、Lovichの個性と相性バッチリですね。 ★B4 “I Think We're Alone Now”では、イントロのGにやられますが、オルガン等のバックの演奏とLovichのVoが上手く絡んでます。ちょい「青春」っぽい。 ★B5 “One In A 1,000,000”でも、ウエスタン調のアレンジがカッコ良い曲で、こう言うアップテンポの曲にLovichのVoは映えますね。 ★B6 “Tonight”も、イントロのシンセとその後に切々と歌うLovichとが良くマッチしている、ちょい悲しげな曲です。 全体としては、Lovichの独特の唱法が良く映えるような曲作りやアレンジが為されており、彼女なりの「ニューウェーブ」を堪能出来ますね。また、ピアノやオルガンを中心としたアレンジも、1979年の当時を想起させます。いやー、今回聴き直してみて、LovichとChappellの曲の良さに改めて気が付きました❗️そんなお茶目なLovichのファースト・アルバムを一度は堪能してみて下さい‼️ A1 “Home” A2 “Sleeping Beauty” A3 “Lucky Number” A4 “Too Tender (To Touch)” A5 “Say When” B1 “Writing On The Wall” B2 “Telepathy” B3 “Momentary Breakdown” B4 “I Think We're Alone Now” B5 “One In A 1,000,000” B6 “Tonight” A5 “Say When” https://youtu.be/RqOg8fMMf8Q?si=65ubG9k-tUi18V-j [full album (曲順が違います)] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nhybTHzNx17YAzAEmkQUnms-4czGsZCJc&si=xNVGBlI-u2-_D6tC #LeneLovich #Stateless #Stiff-Epic #StiffRecords #UK #FirstAlbum #Sax #FemaleVocal #NewWave #Left-Field #LesChappell #RonFrancois #BobbiIrwin #NickPlytas #JeffSmith #RogerBechirian #LuckyNumber
Left-Field / New Wave Stiff-Epic (Stiff Records) 不明Dr K2
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Yellow Magic Orchestra “Technodelic”
正直言って、私はYellow Magic Orchestra (以下、YMO)の熱心なファンではありませんので、このアルバムも昔、何となく買いましたが、殆ど聴いていませんでした。なので、もう一度、聴いてみようと思い立って聴きました。YMOについてのバイオグラフィーは以前に書きましたので、ここでは省略させて頂きます。彼等の6枚目のアルバム”Technodelic”。正直、このアルバム・タイトルには「やられたなぁ」と思いました。当時のレビューでは、最新のテクノロジーを使って、各々の好き勝手な実験性を取り入れた音楽を、明らかにポップ・ミュージックの世界で展開した作品と言われていたように思います。そんなことも踏まえながら、各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Pure Jam (ジャム)”は、イントロでいきなりサビのコーラスから始まり、ジャストなリズム(特にDrs)で繋いでいく曲です。バックに人声が僅かに聴き取れます。 ★A2 “Neue Tanz (新舞踏)”は、一時のCabsも想起させるようなリズムと何とも不思議なメロディで構成されていますが、既にサンプラーも使われているようです。 ★A3 “Stairs (階段)”でも、サンプラーによってリズムや生ピアノのリフが作られており、ミニマルな展開になっています。途中のピアノ・ソロは手弾きかな? ★A4 “Seoul Music (京城音楽)”は、割と初期YMO的な中華風味の曲で、メインVoは歪んだ語り調ですが、サビは高橋氏の粘着質なVoになっています。ただ、合いの手がどうしても”fuck”に聴こえますが、大丈夫でしょうか? ★A5 “Light In Darkness (灯)”は、リズムに凝りまくったミニマルなインスト曲で、DrsとBがとにかく凄いです! ★B1 “Taiso (体操)”は、割とミニマルなピアノのリフと突進力のあるDrsから成る曲で、珍しく日本語歌詞で、語りと歌との上手いコンビネーションが光ってます。 ★B2 “Gradated Grey (灰色の段階)”では、リズムにリズムマシンと生Drsを組合せており、非常に分かりにくい形でバックの演奏や歌が入っているミニマルな曲です。 ★B3 “Key (手掛かり)”は、直線的で突進力のあるリズム隊がカッコ良い曲なのです。実は前作”BGM” の”Cue”と対の曲なのかな? ★B4 “Prologue (前奏)”は、シンセで雨垂れのようなリズムを作った、アンビエント・ミニマルなインスト曲で、Human Leagueの”Toyota City”っぽいですね。 ★B5 “Epilogue (後奏)”は、B4に連続して、サンプリングした物音をリズムに、淡々と時にドラマチックなシンセによるメロディが乗るインダストリアルな曲です。 今、聴き直すと、それ程、嫌な感じはしないですね。寧ろ、ミニマルだったり、サンプリングだったりを上手く使っており、これはこれでありじゃないか?と唸ってしまいました❗️しかしながら、やはり全体的な印象は脚を一歩、実験性に踏み込んでおり、それは結構、興味深かったです。まあ、今では当たり前になったテクノロジーですが、当時としては革新的であったのでしょう。それと、アルバム全体では、口ずさめる曲がないと言うで「抽象的」な印象でしたね。 [A3 “Stairs (階段)” live version] https://youtu.be/w71iOzRFrdc?si=YYma-SMCI8Og4yxm [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLmMmr1jpPlKPQ-uGqSAN9bfv04HxvI5Dl&si=39o9cdr9Gjets4Yc #YellowMagicOrchestra #Technodelic #AlfaRecords #6ThAlbum #TechnoPop #Experimental #Synthesizers #Drums #Bass #RyuichiSakamoto #坂本龍一 #YukihiroTakahashi #高橋幸宏 #HaruomiHosono #細野晴臣
Techno Pop / Experimental Alfa records 不明Dr K2
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Hermine “The World On My Plates”
今回は、ベルギーの歌姫Hermine (「エルミーネ」或いは「エルミン」と発音?)のファースト・ミニアルバム”The World On My Plates”をご紹介しましょう。これも発掘ものです。先ずは、彼女のバイオグラフィーから書いてみたいと思います。Hermineの本名はHermine Demorianeで、仏語シンガー/作家で、その前には綱渡り師でもあります。もう少し詳しく書きます。1960年代には、彼女は、ヒッピー・マガジンInternational Timesに記事を投稿しており、1970年代初頭には、サーカスとかで綱渡りをする仕事をしており、COUM Transmissionsとかとも共演していたり、演劇Copi作の演劇”Goodbye Mister Freud”では、Chaosの役で、出演し、歌ったりしています。彼女が公で初めて歌ったのは、1974年で、綱渡り中に歌ったNick Loweの"I Won't Make It Without You"らしいです。また、1978-1980年には、彼女は、3作の演劇の台本を書いています(“Lou Andréas Salomé”と“He Who Is Your Lord Is Your Child Too”及び”The Knives Beside the Plates”)。1976年には、彼女はThe Subterraneans (Nick KentとプレThe Damnedメンバー)と共に2回程、コンサートで競演して、更にNick KentとPeter Perrett (The Only Ones)と一緒に録音までして、その音源はシングル盤としてもリリースされています。このシングルに興味を持ったのが、David Cunningham (Flying Lizards)で、それが縁で、彼女のファースト・シングル”Torture”を出しています。また、1980年10月〜1981年まで、Sohoでの老舗カフェシアターThe Comic Stripで幕間の音楽を担当したりもしており、それに加えて、彼女は、パフォーミング・アートを企画したり、出演したりしています。1982年には、John Maybury作”Court of Miracles (奇跡の宮殿)”に出演、また1986年にもLondonの映像作家Anna Thew作”Hilda Was a Goodlooker”にも出演しています。その一方で、ベルギーのレーベルCrammed Discsが、彼女の6曲入りミニアルバムで本作品でもある”The World On My Plates”をリリースしていますが、ジャケには、Richard Rayner-Canhamによる有名な写真が使われています。その後2年間は、彼女はツアーをしており、1984年7月に、セカンド・アルバム”Lonely at the Top”を自身のレーベルSalomé Recordsよりリリース。これと対になるアルバム”Who'll Come Walking”は、スイスで録音をし直して、2008年にリリースされています。1984年以来、彼女は殆ど録音の時間が取れませんでしたが、TV番組French & SaundersとAbsolutely Fabulousの視聴者は、彼女が仏語アクセントで語るのを聞いたり、観たりしていたとのこと。また、2008年5月の仏のl'Oiseでの自転車レースの時や同年6月のLondonのGlassHouseでのAndrew Loganのサマーセールの時に、彼女が歌ったとのことです。 Hermineの活動歴は以上ですが、調べてみると、意外とアクティブで自由奔放な方でしたね。それでは、彼女のファースト・ミニアルバム”World On The Plates”の収録曲を紹介したいと思います。なお、この作品は、同時に日本盤もリリースされており、また、2006年に英国のLTM RecordingsによってCDとして再発された際には、大幅に未発表曲が追加されています(下記のcomplete full albumはそう言う意味です)。この作品には、Hermine (Vo)の他に、Graham Painting (Cello, B, Perc [A2,A3,B1]), Simon Brint (Piano, Organ [A2, B1]), Ian Kane (Piano, Organ, G, Perc [A1, A3]), Ellie Ling (Cello [A1]), Rod Melvin (Piano [B1, B2]), Dave Brooks (Sax [A2]), Max Paddison (Piano [B3])が参加しています。 ★A1 “Happy Holidays”は、ややエスノチックなパーカッションと繊細なピアノの調べに、Hermineの生の仏語訛りのVoが乗る心地良い曲です。 ★A2 “The Thrill Is Gone”は、シャレ乙な雰囲気のSaxとピアノから成る「大人」な曲で、シャンソン風にHermineが歌い上げています。 ★A3 “Waiting”では、教会音楽風のオルガンをバックに、Hermineがシアトリカルに歌っています。後半はピアノやチェロのバックになります。 ★B1 “I Won't Make It Without You”でも、リリカルなピアノとチェロをバックに、不安定なHermineが歌う歌が返って沁みますね。ベルギーのNico? ★B2 “Too Many Men In My Life”も、遊び心のある、やや陽気なピアノとHermineのシアトリカルな歌が堪能できます。 ★B3 “Blue Angel”は、ピアノとHermineの歌から成りますが、敢えてホワイトノイズを入れて不鮮明に録音している為、終戦直後のラジオを聴いているようです。 Hermine自身は、決して歌が上手いと言う訳ではなく、何か聴き入ってしまうようなマジックが彼女にはあるように思えます。多分、それまでに、彼女が経験したことが影響しているのでは?と思います。それと、彼女の声質がややハスキーなのも魅力だと思います。なので、偶には、こう言ったラウンジっぽい音楽も良いのではないでしようか❗️ A1 “Happy Holidays” A2 “The Thrill Is Gone” A3 “Waiting” B1 “I Won't Make It Without You” B2 “Too Many Men In My Life” B3 “Blue Angel” B2 “Too Many Men In My Life” https://youtu.be/5pRoABoA3e8?si=Bl8f_KWhlDszwC0L [complete full album from reissued CD] https://youtube.com/playlist?list=PLMc2YZl8J2147Cwei9ykF4odq4ks6L0iq&si=vCPpuU1iULBtiDpl #Hermine #TheWorldOnMyPlates #CrammedDiscs #FirstAlbum #Mini-Album #Belgium #Lounge #NewWave #FemaleVocal #Singer #Actress #Writer #TightropeWalker #LondonBohemian #GrahamPainting #SimonBrint #IanKane #EllieLing #DaveBrooks #RobMelvin #MaxPaddison #HermineDemoriane
Lounge / New Wave Crammed Discs 不明Dr K2
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Ric Ocasek “Beatitude”
皆さん、Ric Ocasekについてどんなイメージがありますか? The Carsのメンバー?それともSuicideのプロデューサー? まあ、どちらもありだとは思うのですが、個人的には、やっぱりSuicideのセカンド・アルバムのプロデュースの方が大きいですね。そんなRic Ocasekのファースト・ソロ・アルバムが、この”Beatitute”です。それで、先ず、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Richard Theodore Ocasekのチェコ系米国人で、父親はNASAで働いていました。彼はAntioch College and Bowling Green State Universityに入学しますが、音楽にのめり込んで、ドロップアウトしてしまいます。Ocasekは、1965年に、The CarsのBenjamin Orr (B)のバンドThe Grasshoppersのライブをテレビ番組Big 5 Showで観て、OrrとClevelandで出会います。その2〜3年後、Ocasekは、Ohio州ColumbusでOrrを再会し、2人は、1968年に、ID Nirvanaと言うパンドを結成し、大学とかで演奏しています。その後、2人は色々な場所に移りますが、1970年代初頭にBostonにやってきて、Crosby, Stills & Nash調のフォーク・ロック・バンドMilkwoodを結成し、1973年初頭にアルバムを出しますが、全然売れませんでした。このアルバムに参加していたGreg Hawkes (Kbd)は後のThe Carsのメンバーになります。Ocasekは、OrrとHawkesらと共に、Richard and the Rabbitsと言うバンドを結成していますが、一方でOcasekとOrrはアコースティック・デュオとしても演奏しています。この時に作った曲が、後のThe Carsの曲の原型になっているようです。その後、2人は、Elliot Easton (G)と共に、Cap’n Swingなるバンドを結成。このバンドはWBCNラジオのDJが直ぐに興味を示し、デモテープをラジオで掛けますが、レーベルは見向きもしませんでした。それで、Ocasekは、ベースとドラムを交代させ、The Modern LoversのDavid Robinson (Drs)を加入させ、更にHawkes (Kbd)を呼び戻し、1976年末にThe Carsを結成します。この時のメンバーは、Ric Ocasek (Vo, Rhythm-G), Benjamin Orr (Vo, B), Elliot Easton (Lead-G), Greg Hawkes (Kbd), David Robinson (Drs)でした。The Carsは、1978年〜1988年に、沢山のヒット曲を出し、Ocasekは大部分のVoを担当しています。その後、2010年に、OcasekはThe Carsをオリジナル・メンバーで再結成し、アルバム”Move Like This”を2011年5月にリリースしますが、長続きせず、解散。また、2018年にも一度だけ再結成して、ライブを行い、それでロックの殿堂入りを果たします。それで、Ocasekは、The Cars時代には、様々なジャンルのバンドをプロデュースしており、Suicideは元より、Bad Brains, The Weezer, Romeo Void, Black 47, Bad Religion, Johnny Bravo, D Generation, Martin Rev, Jonathan Richman等々に関わっています。その一方で、Ocasekは、1982年に、最初のソロ・アルバムである本作品をリリースしています。内容的には、The Carsよりも幾分実験的なニュー・ウェーブ・サウンドになっており、Greg Hawkes (Kbd)は勿論、Richard and The RabbitsのFuzzbee Morse (G, Kbd)も参加しています。その後、1986年には、よりシンセに比重を置いたソロ・アルバム”This Side of Paradise”をリリース。The Carsが1988年に解散後、Ocasekは公の場からは消えましたが、1990年にソロ・アルバム”Fireball Zone”を出して、再び姿を現します。その後、1993年に”Quick Change World”を、1996年にはAlan Vegaとカナダの詩人Gillian McCainとのコラボ”Getchertiktz”を、1997年には”Troublizing”を、2005年には”Nexterday”を出していますが、余りファンには人気がありませんでした(ただし、評論家には良い評価を受けていました)。そんなOcasekは、2017年に妻Paulina Porizkovaと別居していましたが、元々、高血圧と冠不全があったこともあって、2019年9月15日にNYCの自宅で亡くなっているのを、彼女に発見されています。 大体、これが、Ric Ocasekの流れになります。私は、個人的にはThe Carsはそんなに好きではなかったのですが、唯一良く聴いていたのが、セカンド・アルバム収録の”Candy-O”と”Shoo Be Doo"の2曲だけでした。また、Suicideのセカンドのプロデュースは秀逸だと思っています。そんなこともあって、このソロ・アルバムを購入したのだと思います。それでは、本作品(両面5曲ずつ)を紹介したいきます。その前に、本作品に参加したメンバーは、Ric Ocasek (G, Kbd, Vo)の他に、Roger Greenawalt (G [A3, B3, B4]), Fuzzbee Morse (G, Kbd [A2, A3, B5]), Casey Lindstrom (G [A2]), Greg Hawkes (Kbd [A4, A5, B2]), Stephen Hague (Kbd [A1-B1]), Darryl Jenifer (B [A2-A4, B4, B5]), Miss Linn (Drs [A1, B1-B3]), Stephen George (Drs [A2-A5, B4, B5]), Akio Akashi (B [B1]), Deric Dyer (Sax [A3]), Steve Cataldo (Back-Vo [A3]), Jules Shear (Back-Vo [A3]), Antonia De Portago (Back-Vo [A1])となっています。 A1 “Jimmy Jimmy”は、やっぱりThe CarsっぽいUS産ニュー・ウェーブかつダンサブルな曲ですね。ただしギターよりシンセの比重が大きいです。ヴォコーダーも使用。 A2 “Something To Grab For”では、ゴリゴリのベースが使われていますが、もしかしてMiss LinnってLinn Drumのことかな? この曲ではギターが結構効いています。 A3 “Prove”は、これまたスラッピーなベースも聴けるファンキーな曲ですが、サビがしっとりしていたり、間奏でSaxソロが入ったりと表情豊かです。 A4 “I Can't Wait”は、シンセとギターのコード進行がソフトな曲で、Ocasekの声質に合っていますね。 A5 “Connect Up To Me”では、A1と同様にベース・シーケンスが走る曲で、シンセのアレンジがニュー・ウェーブっぽいです。 B1 “A Quick One”は、1980年初頭のニュー・ウェーブなラブソングです。Ocasekが、シンセのバックで、ちょい切々と歌い上げます。 B2 “Out Of Control”のイントロのシンセは面白いです。そこから、やや重めのテンポとシンセ・ベースが良い塩梅で流れていきます。ギターのアルペジオもグー! B3 “Take A Walk”は、細いシンセのリフと太いベース・シンセがカッコ良い曲で、変調Voもピッタリです。 B4 “Sneak Attack”は、幾何学的なシーケンスに、直角的ビートが混じり合う、これまた1980年初頭のニュー・ウェーブ調の曲で、かつミニマルです。 B5 “Time Bomb”は、B4から連続して、テクノなシンセから成る曲ですが、ドラムとかが入って来ると、US産のソフト・ロックっぽくなります。Ocasekは切々と歌い上げ、最後はギター弾きまくりです。 色んな所に顔を突っ込んでいるRic Ocasekが、1982年当時に吸収した音楽が見事にこなれて、血肉になっていると思います。彼のイメージは、器用貧乏なんですが、まあ、そう言われても仕方ないかもしれませんね。しかしながら、彼の嗅覚とソング・ライティング能は非常に高いので、このアルバムが生まれたのだと思います。なので、好き嫌いは別にして、一聴の価値はあるかと思いますよ‼️ B1. “A Quick One” https://youtu.be/WDi6yzrY6Ug?si=UsvouyeS18HfzDJ0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mdQAitA8qEqd5odPr3AoJIY-KBmYpfPO8&si=Bxgr_982PwWYwrwV #RicOcasek #Beatitude #GeffenRecords #FirstSoloAlbum #NewWave #SynthPop #TheCars #AmericanBand #Vocal #Guitar #Synthesizers #Keyboards #RogerGreenawalt #FuzzbeeMorse #CaseyLindstrom #GregHawkes #StephenHague #DarrylJenifer #MissLinn #StephenGeorge #AkioAkashi #DericDyer #SteveCataldo #JulesShear #AntoniaDePortago
New Wave / Synth Pop Geffen Records 不明Dr K2
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Ex “Exhibition”
突然、思い出して、聴き直してみました。1980年にデビューした日本のニュー・ウェーブ・デュオEx (「エックス」と発音)のデビュー・アルバム”Exhibition”を今回は紹介します。1980年と言えば、あちらこちらでニュー・ウェーブでシャレ乙な音楽が日本でも流行っていた訳ですが、Exは梅林茂と羽山伸也の変則デュオと言う形態のバンドです。デビュー・アルバム”Exhibition”の後に、彼等は松田優作のバックバンドとしてもう1枚アルバムを出しているだけの短命なバンドでした。またデビュー・アルバムは加藤和彦がプロデュースしたことで、一部では話題になっていますね。少しだけ、Exのバイオグラフィーを書いておきます。Exは、梅林茂 (G, Vo)と羽山伸也 (Drs, Vo)のデュオで、1974年頃に博多で結成され、1977年にデモテープを作成し、翌年に内田裕也を経て、加藤和彦に耳に入り、加藤氏のプロデュースで、1980年に本作品であるデビュー・アルバムをリリースしています。その後、Eric Clanptonの来日ツアーのサポートなんかもやっています。その時は、奈良敏博 (Sheena& The Rokkets, Sun House)がベースで参加しています。後には、小滝満 (Cinema, Yapoos, Metrophallus)や矢口博康 (Real Fish, 東京中低域)が加入しますが、単独のセカンド・アルバムのリリースは無く、1984年に解散しています。また、活動中に出した2本溝の特殊限定12㌅シングル”Masked Ball”も当時としては画期的でした。解散後、梅林氏は、映画音楽の方で活躍し、「友よ、静かに瞑れ」のサントラや薬師丸ひろ子とのコラボ作「紳士同盟」或いは「陰陽師」等の映画音楽を手掛けており、日本や中国の映画音楽で40作以上の作品を手掛けており、多数の受賞もしています。一方、羽山氏は1987年までは音楽活動をやっていたようです。また、2000年には、Exのデモ・トラックや未発表曲やライブ・トラックなんかをコンパイルした「幻の」セカンド・アルバム”Ex 2”がCDで、Polystarよりリリースされています。Exの流れはこんな感じです。 それで、本作品でもある唯一のアルバム”Exhibition”を紹介します。この作品の録音では、梅林茂 (Vo, G, B, Kbd), 羽山伸也 (Vo, Drs, Perc, G)で、曲によっては小原礼 (B)も客演しています。先述のように、加藤和彦がプロデュースしています。彼等の持ち味は、やはりビート・ミュージックだと言うことだと思いますし、ギターのリフなんかは結構ロックンロールっぽかったりしますし、または和製パワー・ポップと言っても良いかと。歌詞は日本語と英語を使っていますが、それは好み次第ですね。個人的には、日本語の歌詞の方が好きなのですが、まあ内容にも寄りますよね? また、シンセ等のキーボードやシーケンサーも多用されていますが、これはこの時代の流れなのでしょう。元々、YMOやスネークマン・ショーとも関係があったようですから。曲調はカッコ良い疾走感のある曲から甘いバラード調の曲までありますね。また、音楽とは直接関係があるかどうか分かりませんが、2人ともくしゃくしゃの白いワイシャツに細いネクタイと言う出立ちだったので、当時のニュー・ウェーブなファッションと言う感じでしたね。そんな最先端に行こうとしたExですが、偶に聴くのにはいいんじゃないかと思います❗️ハマる人はハマりますよ❗️ A1 “Classical Modern Dance” A2 “Masked Ball” A3 “Platinum Night” A4 “Rose Garden” A5 “Going Back To Japan” B1 “Street” B2 “Dusky Town” B3 “Understand” B4 “Oh My Love” B5 “Tether” A2 “Masked Ball” https://youtu.be/Sa6U6zSGp7s?si=Sa39bBY7tX36h32Y A3 “Platinum Night” https://youtu.be/uX2RP5Mfgv0?si=ZZeMZp1wAuy5xp8F [オマケ: CD“Ex2”に収録の”Glass Horse”] https://youtu.be/hKhT2iJ9HaQ?si=eZKAFaQi3viBVAAn #Ex #Exhibition #CamelliaRecords #NewWave #PowerPop #FirstAlbum #Japanese #Duo #梅林茂(ShigeruUmebayashi) #羽山伸也(ShinyaHayama) #小原礼(ReiOhara) #加藤和彦(KazuhikoKato) #Producer
New Wave / Power Pop Camellia Records 不明Dr K2
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Contagious Orgasm “Seeking Sensation Scale Music”
今回は、名古屋を拠点に活動し、今や、数千人規模のフェスにも招聘される程、欧州、特に独逸では有名な実力派ノイズ・ユニットContagious Orgasm (以下COと表記)の単独作”Seeking Sensation Scale Music”を紹介します。現在は、首謀者の橋本浩 (Sampler, Electronics)とMarvelこと新井正光 (Perc)のデュオでライブを行うことが多いようですが、少し前にはスギウラ・シンゴ (Sampler)も加わっていました。バイオグラフィーは以前に紹介してありますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品のタイトルなんですが、これは橋本氏が運営する自身のレーベルSSSMに引っ掛けてつけたのではないかと思われます。COの音楽は、アンビエント〜インダストリアル〜テクノイズ〜ニューウェーブまでと時代により、また作品により振り幅が広いのですが、本作品は恐らく橋本氏の単独作だと思います。1990年代のいわゆるジャパノイズと言うと、大音量のハーシュ・ノイズと言うイメージがあると思いますが、名古屋と言う土地柄なのか?橋本氏の個人的な指向なのか?COは、そのジャパノイズの潮流とは一線を画して、ひたすら、サンプリングによる音の切り貼り(コラージュ)をやってきたように思います。そのことが、現在のよりリズミックになったCOの(欧州での)評価に繋がっているのだと思います。その結果、工場内或いは現場の音像の中にいる錯覚に陥るようです。かつて、橋本氏と話していた時に、「モジュラーシンセで面白い音が出来たら、それをサンプリングすれば、バッチリや!」と言っていたことから、COは単に即興的ではなく、楽曲としてノイズ・ミュージックをやっているのだなあと感心したことがあります。本作品ではまだ、パーカッションなどは使われておらず、ループ音などが通奏低音として使われている曲もあり、音(ノイズ)は適切に配置されて、最大の効力を発揮しています。それは単に即興的に組み立てるのではなく、橋本氏の頭の中で既にある程度、組み立てられているものを具現化したもが、本作品の真髄ではないかとさえ思えてきます。そんなジャパノイズの異端であるCOの一大絵巻のような本作品は、COファンは勿論、ノイズ・ミュージックの違う一面を垣間見たいリスナーさんにも是非体験してもらいたいです‼️あと既に気付いている方もいらっしゃるとは思いますが、本作品のタイトルも曲名も、そのイニシャルは、全て、橋本氏自身のレーベル名SSSMとなっています!これも彼独特のユーモアかもしれませんね。因みに、レーベルPraxis Dr. Bearmannは、1990年代の独逸で、Martin Bauer らによって運営されていた良質ノイズ専門レーベルで、お世話になった方も多いのでは? A1 “SS Slave Market” A2 “Suicide Stiffening Shaft Machine” A3 “Scandalous Stagnate Sweet Madonna” B1 “Spread Spectrum System Message” B2 “Slit Slit Slit Museum” B3 “Stainless Steel Sucking Mouth” A1 “SS Slave Market” https://youtu.be/BG5kzjuiwF0?feature=shared #ContagiousOrgasm #SeekingSensationScaleMusic #PraxisDr.Bearmann #JapaneseIndustrial #Industrial #Experimental #Noise #Sampler #Electronics #HiroshiHashimoto
Experimental / Noise / Industrial Praxis Dr. Bearmann 不明Dr K2
