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Sprung Aus Den Wolken “Pas Attendre/Que Pa”
久しぶりに出ました!独のSprung Aus Den Wolken (スプルンク・アウス・デン・ヴォルケン;以下SADWと表記)の12㌅マキシ・シングル“Pas Attendre”/“Que Pa“です。SADWは、元々ベルリン在住のKiddy Citnyのソロプロジェクトとして、1981年に活動を開始しており、メンバーの変遷を経て、現在は、CitnyとRenault Schubertのデュオになっているようです。詳細については、以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品は、Wim Wenders監督の映画”Der Himmel über Berlin (ベルリン・天使の詩)”のサントラに使われた曲で、Kiddy Citnyの他、後にEinstürzende Neubautenに入るAlexander HackeとJohann Arbeitの他、Peter PrimaとThierry Noirも参加しています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Pas Attendre” (4:34)は、淡々と続く単調なリズムに、不釣り合いな程、感傷的なアコギのカッティングと悲しげに歌い上げるVoが堪らない曲になっています。また、バックのノイズや最後のフリーキーなGソロも聴かせてくれます。 ★A2 “Pas Attendre (Minimal)” (1:48)は、A1の別ヴァージョンで、アコギの弾き語りから始まり、後からDrum Machineが入ってきます。 ★B1 “Que Pa” (3:41)も、エレ・アコの弾き語りで始まりますが、Voが渋い男性低音の語りなので、グッときます。後から入ってくるGソロやアコーディオンやシンセも結構、通好みですね。 ★B2 “Que Pa (Minimal)” (2:56)は、重低音のキックとBに合わせて、語り口なVoが入ってきますが、バックにメタル・パーカッションらしき音やノイズも入ってきて、とてもB1と同じ曲とは思えないですね。 A1やB1は、素直に、心にグッとくる曲で、SADWでもこう言う音楽、ちゃんと出来るんだと感心しますが、問題は、B2のヴァージョンで、これは明らかにAlexander Hackeとかの影響だろうなと思う位、破壊的なミックスがしてあります。特に、バックにメタル・パーカッションなんかを入れる所なんかは「モロ」ですね。いゃ〜凄い振り幅のあるシングルでした。もし、映画も観ている方は、是非、こちらのマキシ・シングルもチェックしてみて下さい! A1 “Pas Attendre” (4:34) https://youtu.be/N_YMhA-yISs?si=LNNoRgDYl5DYGilO B1 “Que Pa” (3:41) https://youtu.be/ebBtUro5z-E?si=hfpGRUc8--BSnhpF #SprungAusDenWolken #PasAttendre #QuePa #LesDisquesDuSoleilEtDeLAcier #MaxiSingle #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #Rhythm #KiddyCitny #AlexanderHacke #JohannArbeit #PeterPrima #ThierryNoir #WimWenders #DerHimmelüberBerlin #ベルリン・天使の詩 #Soundtrack
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Les Disques Du Soleil Et De L'Acier 1000円Dr K2
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Devo “Oh, No! It's Devo”
またまた、ヤフオクで競り落としました。Devoの5枚目のスタジオ・アルバム”Oh, No! It’s Devo”です。ここら辺のDevoには当時、関心が薄れていたこともあって、買っていませんでしたので、まあ、Devoが私(達)にとって何者だったのか?も知りたくて、今更ながら聴くことにした訳です。前回、次のアルバム”Shout”を聴いていた訳ですが、その時に思ったのは、「漸く、時代がDevoに追い付いた」でした。これはDevoの歩みが遅くなったのか?それとも我々の歩みが早くなったのか?は分かりませんが、漸く、普段見聞きするポップスのレベルが、1980年代前半のDevoを理解可能なレベルまでになったのではないかと思いました。では、今回はどうでしようか?楽しみですね。後、1990年代に聞いた噂ですが、ある方が「Devoを日本に呼んでくれませんか?」と、あるプロモーターに尋ねた所、「Devoねぇ、、、う〜ん」と渋ったとか。この逸話もDevoの立ち位置らしいなぁと、その時は思いました。まあ、それは別として、2023年暮れには、Super Dommuneで、Devoの特集も組まれていましたので、Devoって、時代によって、その評価が変わり易いバンドなんだと思います。 本作品の参加メンバーは、変わらず、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Synth-B, Kbd), Bob Mothersbaugh (Lead-G, Vo), Bob Casale (Rhythm-G, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)の5人で、その他にAnnerose Bücklers (Back-Vo [B6])がゲスト参加しています。内容的には、A面5曲/B面6曲となっており、前作からシンセを大々的に導入していますね。それでは、本作品収録の各曲について紹介していきます。 ★A1 “Time Out For Fun” (2:48)では、シーケンスと生Drsに合わせて、Devo流のシンセのリフとVoが乗ってきますが、コーラス部分はグーです。 ★A2 “Peek-a-boo!” (3:01)のタイトルは「いないいないばあ」は意味ですけど、そこら辺も含めて、Devoっぽいですね。やはり、シーケンスと生Drsに、ちょい変なアレンジのシンセとVoから成る曲です。 ★A3 “Out Of Sync” (3:34)でも、Bはシーケンスに取って代わられ、それに生Drsで、曲の殆どでシンセが使われていますが、コード進行がDevoっぽいですね。 ★A4 “Explosions” (3:01)では、アレンジがDevo的で、中々楽しめる曲です。GeraldはBを弾いているみたいですし、コーラスワークなんかも楽しいです。 ★A5 “That's Good” (3:23)は、如何にもDevo的なリズム隊と、簡素なシンセのリフと恐らくMarkの独特のVoで、前作との連続性を感じます。 ★B1 “Patterns” (2:57)は、曲の骨格とアレンジが中々Devo的なんですが、曲調はやや悲しげかな?ここで漸く、Gのリフを聴くこと出来て、嬉しい限りです。 ★B2 “Big Mess” (2:42)も、出だしからモロDevoの曲調で、往年のDevoの未発表曲と言っても通用しそうです。個人的には、こう言う曲を待っていた! ★B3 “Speed Racer” (2:38)でも、Voと濁声のコーラスの掛け合いは、往年のDevoを想起させる曲で、チープなシンセのリフも味わい深いです。 ★B4 “What I Must Do” (2:34)も、Devo的なアレンジをビンビンに感じる曲で、Drsとシーケンスによる同期演奏やシンセの音色及びVoのメロディラインが懐かしさすら感じます。 ★B5 “I Desire” (3:13)は、ちょっと正攻法で攻めているシンセポップのようですが、やっぱり一筋縄では行かないのがDevoで、間奏のGソロやコーラスワークなんかもそれっぽいんですよ。 ★B6 “Deep Sleep” (3:24)では、独特のシーケンスと曲調で押し切るDevo流のロックを聴かせてくれます。この曲は、このアルバム前後のMarkの不睡眠症用音楽(“Musik For Insomniaks”等)のアイデアから生まれたのかな?と深読みしてしまいます。 やはり、Devoのここら辺の曲は慣れ親しんでいないことや初期のようにロックのフォーマットでは無く、シンセバンド化している為、リスナーの方が、何だか不完全燃焼な気分になりますねぇ(私だけかもしれませんが)。やはり、初期の破天荒なシンセの使い方や曲の変態性からすると、物足りない感じは残ります。しかし、Devoらしさは、アレンジの細かい所なんかには発見出来ますので、ちょっとは安心します(特にB面)。しかし、どんどんマトモになっていくDevoにちょっと残念さを感じざるを得ません(或いは今回のユニフォームがイマイチだったのかな?)。でも、単にヒット曲が無いと言うだけで、この作品を聴かないのも勿体無いので、気になる方は一度は聴いてみてちょ❗️あと、私が「Devo的」とか言っているのは、一種の変態的アレンジなんかのことですが、ずっとDevoを聴いてきたリスナーさんには何となくわかるかな? B6 “Deep Sleep” [live version] https://youtu.be/rs1KZpFeOSs?si=pmiCKMNstYUf0kEy [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lLguIf2b4kjbqNgUZBX0rlaH6AITRZAxU&si=0XXtxSTqmcImb8Kv #Devo #OhNo!It’sDevo #WarnerBrothRecords #5ThStudioAlbum #ElectroPop #NewWave #SynthRock #Synthesizers #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #Bob1号 #BobCasale #Bob2号 #AlanMyers #AnneroseBücklers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth Records 1000円Dr K2
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Cindytalk “Wappinschaw”
実は、Cindytalkについては、名前はどこかで見て知っていたのですが、聴いたことはなかったので、この際、買ってみました。オリジナルは1994年に英国TouchよりCDで出ていますが、私が買ったのは、2021年に米国レーベルDais Recordsの再発盤です。まあ、透明赤盤なので良しとしますか。それで、先ずCindytalkのバイオグラフィーについて紹介しておきます。Cindytalkは、スコットランドのパンクバンドThe FreezeのメンバーであったCinder (Vo)とDavid Clancy (G, Kbd)によって、1982年にエジンバラで結成されています。しかしながら、Cindytalkは、最初はバンドとして数年間活動していましたが、後には、CinderことGordon Sharpのソロ・プロジェクト名となり、ライブではその都度メンバーを参集して活動しています。もう少し詳しくお話しすると、CinderとClancyはLondonに居を移し、デビュー・アルバム”Camouflage Heart”を作製します。翌年、2人に、John Byrneが加わり、Cindytalkの敢えてぶっ壊れたサウンドを作り出すのに重要な立ち位置を占めます。この頃、Cinderは同郷のCocteau TwinsやThis Mortal Coilなどの作品にも客演しています。それで、アルバム・リリース後、Clancyは脱退し、代わって、Alex WrightとDebbie Wrightの兄妹が加入し、ここから3年掛けて、セカンド・アルバム”In This World”の録音に取り掛かります。その結果、同名異作の2種類のアルバムを同時にリリースします。1つはぶっ壊れたノイジーなアルバムで、もう一つはCinderのピアノの即興から成る実験的アルバムとなっています。この時期に、Cindytalkは、映像作家Ivan Unwinと断続的にコラボしています。その結果、Unwinの作品”Eclipse: An Amateur Enthusiasts Guide to Virus Deployment"の為に録音した曲をまとめて、アルバム”The Wind Is Strong...”を、1990年にMidnight Musicからリリースしており、ピアノの即興とミュージック・コンクレートの実験からなっているとのこと。この頃には、Cinderは”Ambi-dustrial”と言う概念を主張し始め、Unwinとのコラボ作業の中から、エンジニア/プロデューサーのDavid Rosが以降、バンドのメンバーとなります。また、Matt KinnisonとPaul Middleton (Drs, Perc)からのミックスのアイデアもあり、1991年のWappinschawセッションから4曲入りEP “Secrets And Falling”を同年にリリースしています。この頃から、段々と集団的になり、John Byrneもバンドに戻ってきて、Kevin RichとSoul Static SoundのDarryl Mooreの加入しています。そうして、出来たアルバム”Wappingschaw”は、当初は1992年にMidnight Musicが出そうとしたのですが、結局は、Cinder自身のレーベルTouched Recordingsから1994年に出しています(因みに、配給はNurse With WoundのレーベルWorld Surpentが行なっています)。このアルバムでは、スコットランドの小説家Alasdair Grayの作品"Lanark"を読んだことがきっかけで、実際にGrayも録音に参加しています。1993年になると、Cindytalkはライブも見据えて、大変革を行い、メンバーも、Cinder, Paul Middleton, David Rosをコアとして、他にPaul Jones, Andie Brown, Mark Stephenson, Simon Carmichaelを加えて、Touched Recordingsより7㌅シングル”Muster" c/w "Prince of Lies"を1994年に出しています。また、1996年初頭には、Cindytalkは米国ツアーをするのですが、その中で、Bostonでは2回ライブを行っており、1回目はシークレットで、Lucinderと言うバンド名で行なっており、最終日にはCindytalkとして行なっています。その後、2007年に伊のディストリビューターAbraxasと契約しますが、最初の2枚のアルバムだけであったので、2021年に米国レーベルDais Recordsが3枚目と4枚目のアルバムを再発しています。そうして、2003年以降は、Klang GalerieやEdition Megoなどからコンスタントに作品をリリースしており、また2004年からはソロや色々なプロジェクトの為に日本と英国を行き来しているとか。また、2011年春には、LataのベーシストJacob BurnsがCindytalkに加入し、より電子音響的に変化しています。2014年には、Thurston Mooreと、BBC Tectonics フェスで共演しており、2021年には日本のレーベルRemodelより、フィールド録音と電子音楽を合わせた内容のアルバム”Of Ghosts and Buildings”をリリースしたりで、現在に至ります。 ザッと、Cindytalkの流れはこのようになりますが、本作品であるアルバム”Wappinschaw”の内容について紹介していきます。今回のメンバーは、Gordon Sharp (Vo, Piano, Tape), Paul Middleton (Drs, Perc), David Ros (G, Sampler)がコアになっており、その他にKevin Rich (B), Matthew Kinnison (B, Tape), Andrew Moon (Drs ヘルプ), Darryl Moore (G), John Byrne (G, B), Lars Rudolph (Trumpet), Jean Rowena Sharp (Vo: Coulter’s Candy), Calum Williams (Bagpipes), Tracy Hankins (Vln)と言う豪華な顔触れです。A面6曲/B面7曲と言う構成です。因みに、A01 “The First Time Ever...”は、スコットランドのフォーク・シンガーEwan MacColl の曲のカバーです。それで、全体の聴き通してみると、ヴァイオリンやバグパイプなども使われていることもあって、演奏の幅は相当広く、已もすると、統一感に欠ける印象も持つかもしれませんが、アルバムを通して、Cinderの独特のヴォーカル/歌が一貫していて、それを中心に様々なスタイルでの楽曲が並んでいると言った方が良いでしよう。それでは各曲を紹介していきます。 ★A01 “The First Time Ever...”は、無伴奏で、呟くような歌のみからなります。 ★A02 “A Song Of Changes”は一転、スローでラフなロック調の演奏に、天使のようなCinderの歌が乗ってきて、何かの予感を感じます。 ★A03 “Empty Hand”は、ノイジーなベースとフリーなドラムで始まりますが、魔除けの如き歌が響き渡ります。呪詛? ★A04 “Return To Pain”は、ドラマチックな展開の一大歌物絵巻です。スチール・ギターがカッコ良いです。★A05 “Wheesht”の最初は、先述の小説家Alasdair Grayの語りから始まり、狂気の演奏へと繋がっていきます。 ★A06 “Snowkisss”では、ディレイの掛かったヴァイオリンとピアノに鼻歌のようなCinderのヴォーカルと言う、何とも繊細な曲です。 ★B01 “Secrets And Falling”は長い不気味な通奏低音の後に演奏が始まり、Cinderの力強いヴォーカルが聴けますが、 ★B02 “Disappear”との繋ぎ目が不明瞭で、こちらでもヴァイオリンとドラムを交えたフリーフォームな「歌」を聴くことが出来ます。 ★B03 “Traumlose Nächte”でもやはりフリーなトランペットに導かれて、ピアノやドラムもそこに絡みますが、ここら辺は彼女らの懐の深さですね。 ★B04 “And Now In Sunshine”では、リズムを刻むドラムに加えて、歪んだギターなベースと共に、Cinderの語りのようなヴォーカルを堪能出来る歌物になっています。またトランペットもバックで入ってきて盛り上げます。 ★B05 “Prince Of Lies”では痙攣するギターとドラムとCinderの力強い歌が三つ巴になり、盛り上がっていきます。 ★B06 “Hush”では、爪弾かれるアコギと朗々とした歌で始まり、英国のフォークロアな雰囲気が充満していきます。途中でテープ音が被ってきて、段々とバグパイプが音楽の中心に移動していくのは、彼女らしいですね。何か泣けます。 ★B07 “Muster”ではいきなりグラインド・コアのような演奏で、ビックリします。男性ヴォーカルは誰でしょうか? 始めにも書きましたが、やはりCindytalkはCinderことGordon Sharpの歌物プロジェクトですね(他の作品を聴いていないので断言は出来ませんが)。各曲で音楽の方向性は異なりますが、全体を通すと、彼女の歌の世界観に支配された作品だと思います。ノイズ/インダストリアルのコーナーで見つけたので、個人的には、この内容には驚愕させられっぱなしでした‼️未だに現役なので、新作も聴いてみたいですね❗️ A02 “A Song Of Changes” https://youtu.be/M8vLtLIB-y0?si=IA0NOII2UWgzm1Px [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLfimnwaZdumiDdQWdtFXRIsTslTNdrHGQ&si=2rJvKHlE_X0UDOoD [BandcampのURLも貼っておきます] https://cindytalk.bandcamp.com/album/wappinschaw #Cindytalk #Wappinschaw #TouchedRecordings #DiasRecords #Reissue #Remastering #LimitedEditions #Experimental #Folklore #Electronica #Electro-Acoustic #Cinder #GordonSharp #PaulMiddleton #DavidRos #KevinRich #MatthewKinnison #AndrewMoon #DarrylMoore #JohnByrne #LarsRudolph #JeanRowenaSharp #CalumWilliams #TracyHankins #EwanMacColl #AlasdairGray
Free Form / Post Punk / Folk Music Dais Records (Touched Recordings) 1000円Dr K2
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Naked Roommate “Do The Duvet”
これは完全に「ジャケ買い」に相当するものです。多分、ちょっとだけ試聴して買っちゃったブツだと思います。Naked Roommateなんて、全然知らなかったですから。それで、先ず彼等のバイオグラフィーを調べてみました。メンバーは、Amber Sermeño (Lead-Vo), Alejandra Alcala (B, Back-Vo), Andy Jordan (Drum Programming, Synth, Perc, Back-Vo), Michael Zamora (G, Synth, Sampler, Back-Vo, Perc, Cowbell)の4人組で、現在は、米国CAのBerkeleyで活動しています。元々は、2010年中盤に、オークランドで、ファンク風のポストパンク・バンドThe WorldをやっていたAmber SermeńoとAndy Jordanは、もっと融合的で映画的で影のある何かを加えることで、The Worldの有機的でダンサブルなエネルギーをもう一度作り直したいと考えていて、別ユニットとしてNaked Roommateを2018年に始めています。しかしながら、2020年1月に、The Worldの方が解散してしまい、その解散からNaked Roommateのフル・アルバムである本作品のリリースまでに数ヶ月の間が空いてしまいます。それでバンドメイトのMichael ZamoraとAlejandra Alcalaの協力もあって、曲に程良いアレンジを加えることが出来たそうです。彼等はこのアルバム1枚とカセットEP1本しかまだ出していませんが、英国のレーベルUpset! The Rhythmがわざわざ、黄盤も限定で出していることからも、有能なバンドと認めているのでしょう。ん〜調べても、これくらいしか分かりませんでした(すまん!)。 それで内容の方なんですが、両面5曲ずつ収録されています。A1 “Mad Love”は、ファンク調のリズムで、ぶっきらぼうな女性Voに、ミュートしたギターやシンセの伸びやかなリフが加わったクールなダンス・チューンです。A2 “We Are The Babies”でも四つ打ちのリズムにスラッピーなベースと宇宙的なシンセも絡む、これまた気持ちの良いダンス曲です。タイトルを連呼するVoもグー! A3 “Fondu Guru”では、変調させたドラムマシンと不明瞭なベースラインにコケティッシュなVoが何とも映える。サックスまで入ってくるけど、これはサンプラー? A4 “Credit Union”は、ベースの弾き語りに呟き声のVoという一風変わった小曲で、A5 “Je Suis Le Bebe”では、マシンの四つ打ちリズムと腰のあるファンキーなベース及びシーケンスが曲を構成し、上物は控え目です。ウィスパーなVoも良い感じです。それではB面に行きます。B1 “Fake I.D.”は、よりロック的なリズムとホーンのようなサンプラーとシンセに、女性Voと言う、割とスカスカな曲ですが、途中で分厚いシンセも鳴り響きます。B2 “Fill Space”もそれ程ファンキーでは無いリズムで、やはりホーンのようなシンセが鳴っています。ネオ・アコ・バンドのように浮遊するVoが新鮮です。B3 “(Do The Duvet Pt. 2)”は会話のサンプリングを色々弄って、リズムに乗せた小曲。 B4 “Repeat”では、久しぶりに四つ打ちのリズムに乗って、ファンキーなアレンジが冴えるシンセやギターと共に、女性Voも朗々と歌ってます。元気の出る曲で、ダンサブルですねー。B5 “(Re) P.R.O.D.U.C.E.”は突進するようなリズムが特徴的で、ベースはシンセ・ベースかな? シンセのリフもシグナルのようで、サンプラー音も効果的です。終わり方がまたカッコ良いです! 総じて、割とファンキーでダンサブルな曲が多いのですが、それを規定しているのは、ドラムマシンとベースで、上物はどちらかと言うと何でもござれですね。あと、Sermeñoのヴォーカルは、基本的にはコケティッシュな感じがしますが、彼女のVoは色んな局面に対応出来そうです。ファンク調が強いと、ESG, Liquid Liquid, Lizzy Mercier Desclouなんかも思い浮かびますね。しかしながら、ミックスが超絶上手いです。と言う訳で、Berkeleyにも、このようなノー・ウェーブを通過したファンクなバンドがいるのですね。また、1980年代のファンク/ダンスミュージックとは違う匂いがしますが、これは単にマシンドラムを使っていると言うだけでは無さそうです。ここら辺はまた、もう少ししたら、考察してみたいです。いゃ〜、それにしても面白かった❗️機会があったら、皆さんも聴いてみて下さい。何か発見があるかもよ。 https://youtu.be/tVFsnkR8Kwk #NakedRoommate #DoTheDuvel #Upset!TheRhythm #USA #CA #Berkeley #PostPunk #Funk #MachineFunk #DanceMusic #PopMusic #AfterNoWave #AmberSermeño #AlejandraAlcala #AndyJordan #MichaelZamora #TheWorld
Post Punk / Dance Music Upset! The Rhythm 1000円Dr K2
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Mutter “Ich Schäme Mich Gedanken Zu Haben Die Andere Menschen In Ihrer Würde Verletzen”
Die Tödliche Dorisのレーベルからアルバムを出したMutter (ムッター: 「母」の意味)とは何者か⁉️メンバーは、Kerl Fieser (B), Florian Koerner von Gustorf (Dr), Frank Behnke (G), Max Müller (Vo)の4人組で、独逸ベルリンで、1986年に結成されています。それでピーンと来たので、「クラウトロック大全」を調べてみました。何と!VoのMax MüllerはあのDie Tödliche DorisのメンバーWolfgang Müllerの実弟とのこと。しかも現在も活動したいるらしいです。Wikiは独逸語版しかないので、和訳は諦めました(すまん!)。私はこのバンドの前身Campingsex (これもカッコ良いバンドです)は、YouTubeで少し聴いただけなので、一概には言えませんが、Mutterは、Campingsexよりもやや重さを減らしたSwansとややダウンテンポしたSonic Youthと合体のような音楽だと感じました。基本的には速さではなく、遅さと重さに特徴があるバンドだなぁと思います。裏ジャケにメンバーの写真があるのですが、寒々としたベルリンの街を歩く、4人の姿は、正しく、この不協和音な音を体現しているように感じます。A1”Einleitung”は謎なテープの音だけですし、他の曲では逆回転を使ったり、ループさせたりと、音楽的にも良い意味でのギミックを使っています。Mutterのその後の音楽は聴いていませんので、何とも言えませんが、結構、このアルバムは掘り出し物だと思います。スラッジーでロウ(raw)なロックが好きな人には堪らないでしょう(私もその口です)。では皆さん、聴いてみましょう! A1 “Einleitung” (0:41) A2 “Was” (5:21) A3 “Augen” (4:08) A4 “Es Juckt” (2:54) A5 “Hören” (6:11) A6 “Langeweile” (0:44) A7 “XXX” (2:58) B1 “Alt Und Schwul” (4:39) B2 “Recht” (5:58) B3 “Schweineknie” (5:23) B4 “Ohne Diese Dinge Leben” (4:24) https://youtu.be/sqM7lmsQ30I?si=ixsq4jIaXrU9iI6H #Mutter #IchSchämeMichGedankenZuHabenDieAndereMenschenInIhrerWürdeVerletzen #DieTödlicheDorisSchallplatten #GermanRock #SludgeCore #Raw #Swans #SonicYouth #NoWave #Campingsex #MaxMüller #KerlFieser #FlorianKoernerVonGustorf #FrankBehnke
Sludge-Core / No Wave Die Tödliche Doris Schallplatten 1000円Dr K2
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Robert Fripp “God Save The Queen / Under Heavy Manners”
希代の音楽家にして、プログレ・バンドKing Crimsonのリーダー兼ギターリスト、それがRobert Fripp翁であります。最近では、妻Toyaとの夫婦漫才でコミカルなところも見せています。まあこの人のバイオグラフィーは書き始めたら止まらなくなるので、ほんの少しだけにしておきます。また小さい頃からクラシックギター教室に通っていたのですが、この時にKing Crimsonを一緒に結成することになるGreg Lakeもいたみたいです。18歳の時に、Bournemouthのホテルのジャズクラブの専属Majestic Dance Orchestraでギタリストになって3年間働いてしました、因みにその後任者はAndy Summersでした。それで、1967年に、Michael GilesとPeter GilesのGiles兄弟と共にGiles, Giles & Frippを結成し、アルバムを一枚リリースした後に、Ian McDonald (G)とGreg Lake (B, Vo)と共にKing Crimsonへと向かい、1969年にKing Crimsonを結成します。その時から、RobertはKing Crimsonにおいて主導権を握っており、しばしば、強権的態度を取ることがあり、バンド内はギスギスしてきます。彼自身はそのことを認めてはいません。例えばそれは作詞担当のPete SinfieldやVlnのDavid Crossの解雇とも繋がると言われています。そのリーダーシップと厳格な音楽への取り組みによって1960年代から1970年代のプログレッシブ・ロック・ムーブメントを支え、その語義どおりの音楽スタイルから多くのアーティストに影響を与えてきました。特に、インプロヴィゼーションを主体とした演奏方法で人気を博しています。1969年作よデビュー・アルバム”In The Court Of The Crimson King”や1974年作”Red”における彼のギター・プレイは非常に高く評価されています。また、Robertはプログレと評されるのを嫌い、常に様々なアーティストとコラボしたりしています。例えばDavid Bowie, Brain Eno, Peter Gabriel, David Byrne, Andy SummersやDavid Sylvianとも交流したりしてます。1974年にKing Crimsonを一度解散しており、その時に「もうギターは弾かない」と言いましたが、David BowieとBrian Enoの呼び掛けで、音楽活動に復帰したらしいです。まあバイオグラフィーはここまでにして、漸く本題である本作品について紹介したいと思います。この頃、Robertは2台のオープンリールを駆使して、ギターの音を豊かにしようとしています。このシステムのことを彼は”Frippertronics”と呼んでいます。また彼はギターのチューニングは変則的で、”New Standard Tuning”或いは”Guitar Kraft Tuning”と呼んでいました。また、横道にズレそうなので、元に戻しますが、本アルバムではこの”Frippertronics”によるギターソロ作品かA面にとそれにドラムやベース、ヴォーカル(多分、David Byrne)を加えた作品がB面に収められています。A面はシャープでクリーンなトーンのギターがレイヤーを成して重なっていく、ややアンビエントな曲が、B面にはそのFlippertronicsの演奏とファンクのグルーブを持ったベースやドラム及びヴォーカルとのセッションのような生き生きした曲から成ります。Frippertronicsは今で言うところのLooperみたいものだと思います。なので、Robertのようなロング・トーンとは合わないようで、意外とこれが合うんです。また、バックのギターも彼ではないでしょうか? しかしながらこの時代に”God Save The Queen”と言うタイトルの付け方も狙ったんではないでしょうか。と言うようなA面とB面では異なる雰囲気の楽曲を聴くことができる、このアルバムはどうでしょうか?聴いてみます? ◼️God Save The Queen A1 “Red Two Scorer” (6:54) A2 “God Save The Queen” (9:50) A3 “1983” (13:20) ◼️Under Heavy Manners B1 “Under Heavy Manners” (5:14): David Byrne (Vo) B2 “The Zero Of The Signified” (12:38) https://youtu.be/IXMxcZyyKWo?si=I8v5Gjh_2y_ehxFX #RobertFripp #GodSaveTheQueen #UnderHeavyManners #PolydorRecords #Frippertronics #OpenReel #SoloAlbum. #Experimental #GuestVocal #DavidByrne
Experimental / Ambient Polydor Records 1000円Dr K2
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Tangerine Dream “Stratosfear (浪漫)”
またまたまた、出ました❗️Tangerine Dreamの8枚目のアルバム “Stratosfear (浪漫)”です。以前に前作”Rubycon”を挙げておりますので、バイオグラフィーはそちら等をみて下さい。本作品のメンバーと担当楽器は、Edgar Froese (Mellotron, Moog Synth, 12弦/6弦G, Grand Piano, B, Mouth Organ), Peter Baumann (Moog Synth, Project Electronic Rhythm Computer, Fender E-Piano, Mellotron), Christopher Franke (Moog Synth, Organ, Perc, Loop Mellotron, Harpsichord)となっています。片面づつ2曲が収められていますが、B-2がギターやピアノを使ったアコースティックな仕上がりで、意外な感じがします。しかしながら、他の曲はドラマティックな展開が目立ち、聴いていて、ワクワクさせられます。また、シーケンスが秀逸で、気持ち良いビート(?)で走らせています。最初にアコギのアルペジオが出てきた時はちょっと焦りましたが、安定のジャーマン・エレクトロ・ロックでした。このアルバムは、それまでのアブストラクトな音作りからリズム、メロディ、ハーモニーという伝統的な音楽語法に回帰し、ファンを戸惑わせたとも言われていますが、後々の流れから考えますと、寧ろ、ここから始まったと考えていいのかもしれませんね。因みに翌年には、William Friedkin監督の映画”Sorcerer (恐怖の報酬)”のサントラを担当しています。因みに、その後の1980年代には、彼等は、結構,映画のサントラを担当することが多かったみたいです。そんな訳で、本作もより電子音楽を深化させた通過点であり、緩急の振り幅が大きく、ダイナミックな作品ですので、皆さんも是非、聴いてみて下さい。 A1 “Stratosfear” (10:04) A2 “The Big Sleep In Search Of Hades” (4:45) B1 “3 AM At The Border Of The Marsh From Okefenokee” (8:10) B2 “Invisible Limits” (11:40) https://youtu.be/f3hueHdzYSI?si=4GUyu1885p0bH4MO #TangerineDream #Stratosfear #VirginRecords #ProgressiveRock #Krautrock #Synthesizers #Suite #Acoustic #EdgarFroese #PeterBaumann #ChristopherFranke
Progressive Rock / Krautrock / Electronic Virgin Records 1000円Dr K2
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白石隆之 “d^b”
またまた、白石隆之さんの本名名義の作品”d^b(ダブ)”です。今回は、今までの過去音源の紹介とは違って、新録と言うことと7㌅シングルにブックレットが付いているのでご紹介します。盤はクリア盤で、3〜4分程度の曲”Zanzo”と”Zankyo”からなります。両曲とも打ち込みによる電子音楽で、頭の中をちょっとシェイクするかのようなアブストラクト・テクノな内容となっています。まあ,踊れない電子音楽ですね。これに対応して、ブックレットの方も,白石さん撮影の多露光撮影の写真のカラー印刷が納められており,こちらもアブストラクトな内容となっています。この二つの媒体を取り出し、プレーヤーにかけたり、裏返したり、ブックレットをめくって見たりする行為にフィジカルな意味合いがあるように思え、一種の謎解きがあるようにも感じられます。また,白石さんはこの作品を自身のプライベート・レーベルHERE.から出しており、ちょっとした実験的音源を軽いフットワークでリリースすることができるアウトプットが欲しかったと言っています。丁寧に作られていますので、もし、現在進行形の白石さんの音に興味が有れば、聴いてみて下さい。恐らくそんなにはプレスしてないと思われますので、このシングル&ブックレットが欲しい方は急いで下さい❗️ A “Zanzo” B “Zankyo” B “Zankyo” https://youtu.be/h0sDQKbdNiU?si=AbbbahLKPdEXRN8E [白石さんの2011年のライブ音源も] https://youtu.be/xADFQDzzOrQ #ShiraishiTakayuki #Zankyo #Zanzo #HERE. #PostRock #AbstractTechno #Booklet
Experimental techno HERE. 1000円Dr K2