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Shock Headed Peters “Not Born Beautiful”
以前にLemon Kittensを紹介した時にちょっと書いた、片割れのKarl Blakeが結成したのが、このShock Headed Petersです。ちょっと変わったグループ名ですが、これは19世紀に書かれたHeinrich Hoffmann作の子供向けの本”Der Struwwelpeter”から取られているそうです。少しバイオグラフィーを書いておきますね。Lemon Kittensが分裂して、Danielle Daxはソロ活動をしますが、Karl Blakeは、1982年にAshley Walesと共にShock Heated Petersを結成します。そこに、David Knightが加わります、更にはMark RowlattやClive Gloverも加わります。1984-1986年の間は、カナダのThe Dave Howard Singersと一緒にツアーをしています。それで、1987年10月にバンドは一度解散しますが、1990年にはバンドの創設メンバーであるKarl BlakeとDavid Knightでリユニオンします。その時にはドラムはGuapoに居たDave Smithが担当するようになったようです。バンドとしては、1995年にリリースされたDanielle Daxのアルバム”Comatose Non-Reaction: The Thwarted Pop Career of Danielle Dax”の中の曲”Hate On Sight”でコラボしています。その翌年にはバンドは解散してしまいます。とまあ、この位の情報しかないので、勘弁してください。 内容の方ですが、いわゆる普通のロックバンドと違って、ゲストヴォーカルに歌わせてみたり、トロンボーンやサックス、ヴァイオリン等も加えた幽玄な曲をやつています。曲の振り幅も激しいです。でも、この作品は、ファースト・アルバムなんですよねー。こう言うゲストを招くのは珍しいのでは? 曲も、楽器の音がちゃんと聴こえるように、キチンと録音とマスタリングしたおり、録音技術は格段に上がっています。バンドとしては納得のいく仕上がりだったのでは?と思いますし、結構ハードな曲が多いので、Lemon Kittensからは想像できない音楽です。オルタナかポストパンク的ですね。多分、好きな人は好きな音楽でしょう。皆さんもちょっと聴いてみて下さい。ジャケ画も皮肉たっぷりですね。 ★A1 “Say No To Funk” (2:22) Crystale Quimm (Vo) ★A2 “Ideal” (5:03) ★A3 “Chalet D'Amour” (3:55) Andrew Lawrence (Trombone), Christine O'Gorman (Vln) ★A4 “Dog Eat Dog Eat Dog” (2:47) Geoff Hawkins (Flute, Tenor Sax) ★A5 “Bad Samaritans” (6:39) ★B1 “Parabola” (4:16) ★B2 “Miserable Worm” (4:02) Andrew Lawrence (Trombone), William Algar (Trumpet), Crystale Quimm (Vo) ★B3 “Mon Repos” (3:24) Christine O'Gorman (Vln) ★B4 “Wheel In The Bait”(4:58) Geoff Hawkins (Tenor & Soprano Sax) ★B5 “The Kissing Of Gods” (5:23) Geoff Hawkins (Soprano Sax) https://youtu.be/wAzacaA2pjI?si=3Br07xG9xSj5cQqj #ShockHeadedPeters #NotBornBeautiful #Él(Benelux) #Ex-LemonKittens #KarlBlake #AshleyWales #MarkRowlatt #Clive Glover #DavidKnight #PostPunk #AlternativeRock
Avant-Rock / Post Punk LP Él (Benelux)Dr K2
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Jonathan Coleclough & Andrew Chalk “Sumac”
皆さん、Jonathan Colecloughって言うサウンド・アーティストを知っていますか?英国人で、1990年代に出てきたアーティストで、ドローン・アンビエントとアブストラクト電子音楽の間を行ったり来たりしている寡作な方です。一方、Andrew Chalkは元々Felial Confine名義で1985年から活動を始め、David Jackman (Organum), Vortex Campaign, The New Blockaders, Giancarlo Toiuttiらとコラボ作を多数リリースしてます。それらは彼の本名名義でRobot Records, Siren Records, Christoph HeemannのレーベルStreamlineや彼自身のレーベルFaraway Pressからリリースしている多作なアーティストです。そんな2人が作ったレコードに悪い訳はない!とばかり聴いてみたんですが、その通りでしたねぇ。この作品は33 1/3回転でも45回転でも聴くことは出来ますが、45回転のがより良い鳴りで聴くことができます。片面盤とは知らないで、B面聴こうとしたら、無音でした。あれ?とは思ったんですが、ひょっとすると無音系ノイズかも知れません(溝はあるみたいなので)。録音されている方は、ドローン・ミュージックで、練りに練られた音色に先ず耳が持っていかれてしまいます。これは多分、Jonathanの音がベースになつているか?と思います。そこに物音系ノイズがカササササーって感じで控えめに入ってきて、丁度いい塩梅になっています。あと綺麗なアートワークもポイント高しで、しかもクリアー盤❗️一家に一枚は欲しいレコードですね。片面だけがちょっと物足りないですが、それはそれ。また聴きたくなるようにしているのでは?そんなレコード、コレクションしてみませんか? A “Sumac” この作品はYouTubeにはありません出したので、Jonathan Colecloughの他の曲”Walking Music”を。 https://youtu.be/ZBj8tRTJ5DY?si=ncKlmwom95ENZHAV Andrew Chalk “Archanges I [Faraway Press]”も。 https://youtu.be/j1YhTWsCkZo?si=OxwuOtniyafLIyco #JonathanColeclough #AndrewCharlk #Sumac #RobotRecords #ClearVinyl #OneSideEP #Drone #ElectroAcousticMusic #Collaboration
Electro-Acoustic Music LP Robot RecordsDr K2
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Stereo Total “Juke-Box Alarm”
前回も紹介した、ベルリンを拠点に活動するポップ・グループStereo Totalのサード・アルバム”Juke-Box Alarm”です。バイオグラフィーは前回セカンド・アルバムの時に書きましたので、本作品では極々ちょっとだけ。Stereo Totalは元々は、ベルリンで1993年にFrançoise Cactus (本名Françoise Van Hove)とBrezel Göring (Friedrich von Finsterwaldeとも表記あり。 本名Friedrich Ziegler)のデュオとして結成されましたが、2019年まで活動していました。そして、このアルバムでのメンツは、San Reimo (Organ, Vo), Angie Reed (B, Vo), Françoise Cactus (Vo, G, Dr), Brezel Göring (Synth, Organ, G. Vo, Effects)と言う4人編成になっています。しかも、プロデュースはあのPyrolatorことKurt Dahlkeによって行われてます。歌詞は何となく諧謔的或いは無意味な感じで、Françoiseのロリータなヴォーカルが堪らんですねぇ。今回は一種の似非60年代オルガン・ロックとかフレンチ・ポップみたいですが、シンセやリズムボックスを使ったりとアレンジは巧みで、また曲調が多種多様で引き出しの多さに驚きます。これはツボにハマる人には堪らないと思います。ですので、是非とも一聴してみてください。 A1 “Holiday Innn” (2:32) A2 “Comicstripteasegirl” (1:42) A3 “Sweet Charlotte”(1:30) A4 “Touche-Moi” (2:22) A5 “Crazy Horse” (2:58) A6 “Supercool (3:33); Olga Louise Dommel (Drs) A7 “Les Minets” (3:34) B1 “Oh Yeah” (1:25) B2 “Film D'Horreur” (1:47) B3 “Vertigo” (2:03) B4 “Heaven's In The Back Seat Of My Cadillac” (2:49) B5 “Der Schlüssel” (2:19); Iznogood B), C.J. (G) B6 “Nouvelle Vague” (1:37) B7 “Party Anticonformiste” (2:14) B8 “Holiday Out” (2:37); Hotleg (Synth) B9 “Untitled” B10 “Untitled” B1 “Oh Yeah” (1:25) https://youtu.be/vdyyo7LH0i8?si=Udsp5t2HUk_bmHh9 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLjhaiMhyTVbpGh5OEbICtMEovEsSToBLO&si=WhMdJWNaHoRNYwpp #StereoTotal #Jule-BoxAlarm #Bungalow #ThirdAlbum #NewWave #FrenchPop #ExperimentalPop #Berlin #FrançoiseCactus #BrezelGöring #Collaborators #SanReimo #AngieReed #Produce #KurtDahlke
Experimental Pop LP BugalowDr K2
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Muslimgauze “Abu Nidal”
やってきました。エスニック・インダストリアル(?)と言う独自の路線を開拓した、孤高の英国人アーティストBryn JonesのソロプロジェクトMuslimgauze (本当は「ムスリムゴーズ」なんですが、日本では「ムスリムガーゼ」と呼んでいる)の登場です❗️エスノ・エレクトロニカとかとも形容される彼の音楽は中東のイスラムの紛争、特にイスラエルとパレスチナ自治区での紛争に影響を受けているようです。ただし、彼自身はイスラム教徒でもなく、また中東を訪れたこともないらしいです。実は、彼は1999年1月14日に肺真菌症で亡くなっているのですが,それまでにリリースされた作品は96作にも及び、さらにその後も同じくらいの作品数がリリース(リイシューを含む)されています。彼のMuslimgauzeとしての曲は様々なヴァージョン違いがあるらしく,そのような事態になっています。ここでそれを解説するのは無理なので、2014年に出版されたIbrahim Khider著の”Muslimgauze: Chasing The Shadow Of Bryn Jones”をきっちり記載されているとのことです(CD付きの208頁の本)。Muslimgauzeの名前の由来はムスリムの人が羽織る、薄いガーゼのような生地の服muslinとムスリムとをかけて作った造語です。一方、Jonesは一貫してポリティカルで、パレスチナ自由運動に賛同し、作品を作っていたとのこと。彼の音楽には歌詞がなかったので、彼は、作品や曲に、明らかにそれを意図するタイトルが付けていたようです。また、彼は通常、毎週録音を続けており、通常なら1000枚でもリリースするところを、会員制にして超限定の作品も出しています。また最初期にはカセット、レコードEPやLPの区別なく、リリースしていました。実は彼は、1982年よりE.g Oblique Graph名義で、自身の作品をDIYレーベルから出しており、その後、1984年から暫くは、自身のレーベルLimited Editionsから出しています。それは他のレーベルがロイヤリティーを払ってくれなかったと言う背景もあるみたいです。その後は、StaalplaatやExtreme Records、Soleilmoon Recordingsなどの大手の実験音楽レーベルが、その才能を評価して、CDフォーマットでコンスタントに作品をリリースされていきます。その一方で、小さなDIYレーベルからも出していました。死後もこんなに評価されるアーティストは珍しいですね。 それで、本作品についてですが、これはJonesのレーベルからリリースされており、もうジャケ写からしてMuslimgauze色全開で、音の方もドラムマシーンとタブラなどのパーカッションの連打が催眠効果を催し、更にそこに少しばかりの電子音とアラビックなテープ或いはサンプルレコード音が挿入されると言う音構造は、最早、Muslimgauze以外の何者でもないですね。中東風〜東南アジア風のリズムはもう鉄板です。言い方に語弊があるかも知れませんが、擬似エスニック・ヒプノティック・ミュージックと言えるのではないでしょうか? また、本作品でも、先述のように、政治色の強い曲名が並んでおり、A面は”Gulfwar (Part One, Two, Three)”の3曲が、B面は、タイトル曲B1 “Abu Nidal”から始まり、B2 “Green Is The Colour Of The Prophet”, B3 “Fatwa (Religious Decree Giving Recourse To Terrorism)“となっています。特にA面は辛辣ですね。1990年に湾岸戦争か勃発しているので、時代を先取りしているようです。また、タイトル/タイトル曲のAbu Nidalはパレスチナのテロリストの名前です。Muslimgauzeは作品数が多いので、選ぶのも大変ですが、本作は割と入門編としては分かり易いと思いますので、どうでしょう、聴いてみては❗️ A1 “Galfwar (Part One)” (3:58) A2 “Gulfwar (Part Two)” (8:43) A3 “Gulfwar (Part Three)” (6:37) B1 “Abu Nidal” (7:28) B2 “Green Is The Colour Of The Prophet” (8:25) B3 “Fatwa (Religious Decree Giving Recourse To Terrorism)” (6:13) https://youtu.be/147uCwagqSQ?si=fWI-PleXNOij5jK- #Muslimgauze #AbuNidal #LimitedEditions #Hypnotic #Middle-east #BrynJones #PalestineLiberationMovement #Ethno #Tribal #Electronica #Industrial #Gulfwar
Tribal / Ethno / Industrial LP Limited EditionsDr K2