コラム5 パラダイス・ア・ゴー・ゴー
初版 2023/03/30 05:35
「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」について
国内盤ではシングル盤が最初に発売され(Jsg_17 LR-1432 1965.11.15)、日本版のLP「ベンチャーズ・ア・ゴー・ゴー」にも収録された。発売された頃から「パイプライン」とか「ブルドッグ」等とは随分違うタイプの曲と感じていたし、どこか「人品卑しからず」という気品が漂っていた。が、当初のシングル盤の解説を読んでも「フランク・ペリーの書いたロックンロール・ナンバー」などと書かれているだけで、これではさっぱり説明になっていなかった。(ライターは高崎一郎氏)
その後1960年代の終わり頃だったと思うが、偶然流していたFM放送でミュージカル「キスメット」の音楽を耳にし、そこに「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」のメロディーを発見した。タイトルは「ストレンジャー・イン・パラダイス」で、オーケストラをバックにした男声と女声のデュエットのような編成だった。この時は「ああ、これが原曲だったのか」と納得した。(ずっと後になって入手したレコードにより、この時のオン・エアがマントヴァーニのロンドン盤だったことが判った)
結局、ボロディンの「だったん人の踊りと合唱」に辿り着いたのは一番最後になった。自分がクラシックに開眼した1969年〜1970年頃だったと思う。これはかなりインパクトのある音楽で、ベンチャーズの演奏とはかけ離れたものだった。(善し悪しではなく)
三者を聴いた上で、「キスメット」の「ストレンジャー・イン・パラダイス」はどちらかと言えばオリジナルのボロディンに近く、原曲の雰囲気を大切にした編曲だった。むしろベンチャーズ版は原曲からは程遠いもので、換言すればベンチャーズ盤のアレンジが大変強烈なものだったということだ。
フランク・ペリーって誰?
ただ、今になってもまだ判らないことがある。それはベンチャーズ盤(英題は Ten Seconds To Heaven)の作者としてクレジットされている「Frank Perry」のこと。この「Frank Perry」はUS盤のシングルにも記載されているので、東芝が独自に記載したわけではない。ネットで調べて見ると、アメリカの映画監督・演出家が見つかるのだが、この曲との接点は判らない。
そもそも東芝はこの曲のルーツをどこまで判っていたのか?「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」という邦題を付けたことから考えて、少なくとも「ストレンジャー・イン・パラダイス」は認識されていたのだと思う。高崎一郎氏がどうだったかは判らないが。
そう言えば、原題の「Ten Seconds To Heaven」も、「ストレンジャー・イン・パラダイス」から連想できるタイトルだ。
「Ten Seconds To Heaven」の編曲者は誰なのか?
もうひとつ判らないのがこの問題。もちろん、ベンチャーズ自身のアレンジである可能性も充分ある。彼等にはそういうことが出来たからだ。ただ、気になるのが作者のクレジットなのだ。
たとえば「ラップ・シティ」(ブラームスのハンガリー舞曲第5番)の場合「Arr.&Adpt.Wilson-Bogle-Edwards-Taylor」と書かれており、「ナッティ」(チャイコフスキーのくるみ割人形)(この曲については、いずれ取り上げるつもり)の場合など、先駆者としてのアレンジが存在していたにも拘わらず「Bogle-Edwards-Taylor-Wilson」となっている。このノリで行くならば、「Ten Seconds To Heaven」も、「ラップ・シティ」程度のクレジットにしてもOKだと思う。が、何故かそうはしなかった。実態は「Frank Perry」なのだ。映画系の方と同姓同名の別人がいたのだろうか?
実際の音楽
謎解きはさておき、音楽自体が素晴らしいものなので、リンクを貼っておきます。
ボロディンの原曲はこちら。ベルリン・フィルなどによるオーケストラの機能美全開のものもあるが、私はこういう演奏の方を好む。
(カメラ・ワークが素人っぽいが)
クラシック系が苦手という方は、0'58"あたりから始まるメロディだけでも聴いてみて欲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=jml39FZ4yns
ストレンジャー・イン・パラダイスはこちら。色々カバーがあるが、これはサラ・ブライトマンの歌唱。
https://www.youtube.com/watch?v=di_yIKdKd_M
最後にベンチャーズの「パラダイス・ア・ゴー・ゴー」
chirolin_band
国内盤アナログ・レコード(1950年代〜1960年代〜1970年頃)のデータ・ベース(リスト)を作成しています。
(国内盤レコードDB)
ジャンルはオール・ジャンルで、フォーマットはExcel ファイル(xlsx)です。
現在仮開示しているのは、
日本グラモフォン
東芝
日蓄工業
日本ウエストミンスター
日本ディスク(1950年代)
日本マーキュリー(1950年代)
ユニバーサル・レコード(1950年代)
日本コロムビア
キング・レコード
です。
2024.07.08 テイチク・レコードを追加しました。
今後、随時追加していく予定ですが、時間はかかります。
ダウンロードして自由に使って頂いて結構ですが、同時に開示している説明ファイル(ワード文書 or リッチ・テキスト)を
よくお読みになってください。また、現段階ではあくまでも仮開示であり、完成形ではないことにもご留意ください。
https://1drv.ms/u/s!ApINowI3ybkacrP3M_GV7wSe6j0?e=67lDy2
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