レコードのレーベル形状 はじめに

初版 2023/01/27 05:29

改訂 2023/01/27 17:37

レーベル形状

  • ここで言う「レーベル形状」とは、レーベル印刷のデザインではなく、レーベルの凹凸のことを指します。
  • 画像は「ステレオ!これがビートルズ Vol.1」(OP-7548)のレーベル形状です。
    2006年頃、「ビートルズの黒盤は、モンキーズのレコードみたいだ」と言っていた
    知人がいましたが、このレーベル形状の違和感を訴えていた訳です。
  • このレコードはプレス・マーク「E6」に加えて「T」の刻印があるので、
    東洋化成プレスですが、確かにモンキーズのビクター盤によく似ています。
  • ビクター盤は溝直径が69mmあるので同じとは言えませんが、パッと見た感じの印象は、
    よく似ています。
  • その一方で、こんなレコードもあります。
  • 同じOP-7548のグラモフォン・プレス盤、形状は溝直径30mmで、全く異なっています。プレス・マークはありません。
  • 比較対象として、普段見慣れている東芝プレスの赤盤レーベルを掲載します。
  • 今でこそ東洋化成だ、グラモフォンだなどと言っていますが、当時はそういうことは判っていませんでした。ただ、「何らかのプレス環境の違い(プレス工場が違うとか)」があるのだろうということは考えていました。

プレス環境とレーベル形状

  • レーベル形状は、ビートルズUK盤のデッカ・プレスなどが有名です。
    しかし、「デッカ・プレスの特徴」を説明しているサイトはあっても、「その特徴を持つ盤がデッカ・プレスと断定できるエビデンスは何なのか」を合理的に説明しているサイトはありませんでした。
  • 他社プレスの場合、委託元はスタンパーを預けて依頼していたと思います。そのスタンパーはもちろん委託元で作られたもであり、自社プレスの場合と同じものです。同じスタンパーを使用しているのに、他社にプレスを委託するとレーベル形状が異なるのは何故なのか? 端的に言って「レーベル形状はどこから伝えられているのか? スタンパーではないということなのか?」
    この疑問に答えてくれるサイトはありませんでした。
  • こういう時に頼りになるのは、東洋化成さん以外にはありません。2007年1月に、「業務の邪魔をしてはいけない」という抑止力を探究心(?)が上回り、またまた問い合わせをしてみました。
  • 見事な回答が返って来ました。以下、その骨子です。
  1. スタンパーのレーベル面は、基本フラット
     ⇒つまり、スタンパーそのものに凹凸はないということ
  2. スタンパーをプレス・マシンに取り付ける「プレス金型」というものがあり、レーベル形状はこの「プレス金型」から伝えられる。
  3. 「プレス金型」は、各製造メーカーによって異なる。
  • これで完璧に謎が解けました。
  • レーベル形状の由来はスタンパーではなく「プレス金型」であり、これがメーカーによって異なるため、同じスタンパーを使ってプレスしてもレーベル形状が異なる、ということなんですね。
  • これで「A社のレコードの中にB社とそっくりのレーベル形状を持つ盤が出て来た」ならば、「それはB社でプレスされた」と推定する根拠はある(断定はできないとしても)、と考えることに自信が持てました。

現状での調査状況

  • こういったことを調べていると、当然例外的なものも出て来ますし、良く似ているけれども微妙に違うものも見つかります。判断のつかないものも含め、違いのあるものは基本的にタイプ分けするようにしていますが、動脈と毛細血管が混在しているようにも感じています。
  • 一方では逆に手持ち品の偏りから、見落としているタイプもあるように思います。そんな訳で、とても体系化というところまでは辿り着いていません。
  • プレス・マークの場合は、一定の法則性がつかめればそこから演繹することが出来るので、多少サンプルに偏りや漏れがあっても大凡の輪郭は捉えられます。レーベル形状は多数のサンプルにあたって帰納法的にアプローチするしかないわけです。
  • そんな中で、比較的輪郭の見えているメーカーのみ、ご紹介することにしました。
  • タイプ分けはType-10,Type-20のように10番刻みで行っています。これは今後の統廃合や新規発見などの対応を考慮したためです。

国内盤アナログ・レコード(1950年代〜1960年代〜1970年頃)のデータ・ベース(リスト)を作成しています。
(国内盤レコードDB)
ジャンルはオール・ジャンルで、フォーマットはExcel ファイル(xlsx)です。
現在仮開示しているのは、
日本グラモフォン
東芝
日蓄工業
日本ウエストミンスター
日本ディスク(1950年代)
日本マーキュリー(1950年代)
ユニバーサル・レコード(1950年代)
日本コロムビア
キング・レコード
です。

2024.07.08 テイチク・レコードを追加しました。

今後、随時追加していく予定ですが、時間はかかります。

ダウンロードして自由に使って頂いて結構ですが、同時に開示している説明ファイル(ワード文書 or リッチ・テキスト)を
よくお読みになってください。また、現段階ではあくまでも仮開示であり、完成形ではないことにもご留意ください。

https://1drv.ms/u/s!ApINowI3ybkacrP3M_GV7wSe6j0?e=67lDy2

Default
  • Default

    ryu_5u4g.2a3.6z-dh3a

    2023/01/27 - 編集済み

    64年から72年頃のビートルズの音工シングルの黒盤ですが、フラットエッジ、グルーヴガードに関わらず、マト番、PM 、スタンパーのみで東洋化成の刻印が無いものが手持ちに多いのですが、川口工場で作られた物なのでしょうか?

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    • File

      chirolin_band

      2023/01/27

      東芝は、ステレオ盤やLPに関しては段階的にすべて赤盤にすると明言していましたが、シングル盤については何も言っていません。一貫して黒盤もプレスし続けていました。従って普通に東芝プレスの黒盤シングルはたくさんあります。

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    • 黒盤シングルも並行して製造されてたんですね。
      ありがとうございました。

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