レンタルした車たち(4)
CALIFORNIA https://muuseo.com/akio_kitano/items/52 北野晶夫 「所有することは夢のまた夢としても、ハンドルを握るまでは死んでも死にきれない」 CG小林彰太郎編集長の名文。自分にとってFERRARIがそれだった。還暦直前、L'OPERAIOでキャンペーンをやっていたので冥途の土産話にと思い切って借りてみた。 第一印象はとにかくでかいということ。車幅の広さと左ハンドルということで、恐る恐る雑踏に乗り出した。高速道路でもその印象は変わらない。しかし、最初のトンネルに入ってアクセルを軽く踏んだとたん「クォ~~~ン」というFERRARIミュージックが炸裂する。素晴らしい快音!!。これぞFERRARI !!。それからトンネルの度に「クォ~~~ン」を連発する。思い起こせば1987年11月1日鈴鹿F1日本グランプリでG.ベルガーの駆るF187を見て聞いたTipo033とマルミッタANSAの快音そのもの!!。あの感激がよみがえってくる。しかしメーターを見て驚いた。燃料計の針が目に見えて下がっていく。燃料計の針が動いているのを初めて見た。 御殿場から箱根に入る。さすがに追いつくとみんな道を譲ってくれるし、料金所ではおじさんがわざわざ箱から出てきてくれる。こんな経験も初めて。しかしワインディングロードを飛ばしていくと、確かに速いし素晴らしいのだが、なぜか怖いのだ。どこかヒリヒリした、何か起こりそうな危険な感じがプンプンする。ポルシェターボに乗った時のように「値段を忘れて振り回す」ことなどとてもできない。最近は乗りやすくなったとはいえ、乗り手を選ぶ車であることは間違いないと思った。 やはり、FERRARIは宗教なのだ。素晴らしい姿と音で人を魅了するし、数々の伝説・神話で彩られている。その最たるものがFERRARIはレースという人間の本能である競争のために存在するというもので、教祖や数多くの殉教者が名を連ねているという事実である。もし、自分がビリオネアだったとしたら、鑑賞用とトンネルでの演奏会用にFERRARI458SPIDERをガレージに入れるだろう。最新のポルシェターボとともに。