辰砂&白雲石(Cinnabar on Dolomite)

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中国貴州省碧江区銅仁鉱山の辰砂&白雲石。
最もお気に入りの鉱物標本です。

リッチな練乳かき氷の様なドロマイトに、短い六角柱形の辰砂が散りばめられています。
恐らく(この値段では)二度と手に入らないであろう貴重な標本です。

【辰砂に関して】
この結晶の形は比較的珍しいと思います。
八面体のものやガーネット的な結晶が一般的です。
そもそも脈状や粒状のものがほとんどの中で、大粒の結晶が付いていること自体貴重と言えます。

また、結晶にも色々あり、黒ずんでしまっているものや透明度の低いものが多いですが、こちらは透明度も赤さも申し分ありません。
真っ赤に透ける結晶でありながら、金属光沢も顕著で表面がテカテカと輝きます。

真紅の美しい見た目からは想像できませんが、水銀の鉱物です。
実際の水銀より弱いながらも毒があります。
昔はこの素晴らしい赤により、顔料や不死の妙薬として使われたそうですが、水銀の毒性を考えると非常に恐ろしいことです。
かの始皇帝も不老不死を目指して水銀を摂取し続けた結果、水銀中毒で亡くなったといいます。(これが辰砂かどうかは定かではない。)

【白雲石に関して】
削った氷のような形の結晶が多く付いており、なかなか良い標本です。

よく辰砂の母岩として一緒に産出されます。

こちらは少々黄味がかっていて雪のように真っ白とはいかないところが惜しいところです。
この標本のメインは辰砂になるわけですが、全体的な美しさとして、真っ赤な辰砂を際立たせる白いドロマイトは必要不可欠です。

白雲石という言葉は岩石のことを指すこともあり、同じく辰砂&白雲石だとしても、全てがこの標本のように大きな結晶が多く付いているわけではありません。
小さめの結晶が大量に付いているパターンやほぼ母岩のままなパターンもあります。

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