FUJIFILM XQ2

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XQ2は2015年2月に発売されて1年半余りでディスコンになった,たぶん富士フィルム最後のコンデジです。レンズ一体型カメラはその後もX70やX100シリーズ,XF10などが発売されていますが,いずれもAPS-Cサイズのセンサーを持つ高級機で,2/3インチの小さなセンサーの本来の意味でのコンデジは実質的にはXQ2が最後だっただろう,という意味です。

富士フィルムお得意のX-transセンサーを積んで小さいけどよく写る高級機,という位置付けで従来機種のXQ1の改良版として発売されました。小さいセンサーといってもコンデジ用センサーとしては大きめの1/1.7インチよりもさらに微妙に大きいセンサーで,かつベイヤー配列ではない富士フィルムの独自設計のセンサーでした。また,広角端でライカ判換算25mm F1.8,望遠端で同100mm F4.9の4倍ズームは明るくてマクロモードでは3cmまで寄れる,という使い勝手の良さもウリで,個人的にはこのスペックはど真ん中に刺さるものでした。とてもコンパクトであるにもかかわらず,外装は質感もよく,プレミアムコンパクトを標榜するに恥ずかしくない仕上がりのコンデジでした。

XQ2の性能も小さな高級機というコンセプトも個人的にはとてもグッとくるものがありました。それで中古を調達したのですが,やはりGPSが搭載されていないことは仕事用としてはとても不便であったこと,コンデジの主流が1インチセンサーに移って,かつ位置情報はスマホと連携する,という方向になったことから,XQ2は自分ではほとんど使わないままにカミさんと娘に貸与して,お仕事用カメラとしてCanon PowerShot G7Xの初代機に乗り換えました。XQ2とG7XではXQ2のほうが少しだけ発売が遅いのですがほぼ同世代といってよいカメラです。XQ2のコンセプトには個人的には大いに共感したものですが,結局,シリーズとして生き残ったのはXQ2よりも高価なG7Xであったことには商品企画の難しさを感じます。

1200万画素のX-transセンサーと富士フィルム独自のアルゴリズムによる色再現はコンデジであっても十分に発揮されていて,というか,それ以前の富士フィルムの技術が凝縮されたようなところがあって,濃い内容のカメラです。XQ2はごちゃごちゃ言わずにjpeg撮って出しで気軽に使うべきカメラだと思います。発色はとても自然で派手でもなく地味でもない絶妙のバランスです。

昼の屋外での風景はとても自然な色合いで写ります。その一方で,センサーが小さいことはいかんともしがたく高感度耐性はあまり高くありません。ISO800でノイズの嵐となります。感じ方は人それぞれですがISO400くらいが常用できる上限だと個人的には思います。ダイナミックレンジも当然あまり広くはなく,すぐに白飛び,黒潰れします。でも,フジの自動露出のアルゴリズムは結構,アグレッシブでギリギリを狙った露出で攻めます。

お仕事のついでに持っていく旅行用カメラとしてこの小ささは捨てがたいものがあります。ただ,現在のスマホのカメラと比較して勝っているかといわれると,かなり厳しいものがありそうです。それがコンデジが淘汰された理由であることはもちろん理解しているのですが,このようなカメラの選択肢がなくなったことは,カメラ好きの一人として寂しく思います。

このカメラによる作例は5, 6枚目に加えて
https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/XQ2
に置いています。

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