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大正天皇御即位大礼のボンボニエール Bonboniers for the celebration banquet of the enthronement of Emperor Taisho
天皇の料理人としてドラマにもなった秋山徳蔵氏は、大正天皇の御即位の大礼の晩餐会に於いて大日本の宮廷が欧州諸国と同程度のレベルにあるかを示すためにフランスから日本に帰国しました。大正天皇御即位の晩餐会のメニューは、残念ながら原本が存在しない(?)ようですが、手記などの記録に基づいた物がメニューコレクションに、載っております。スッポンのコンソメ〜良いですね!カレームの伝統からエスコルフィエを通して、極東の皇室のおめでたい席の始まりにふさわしい。(写真1) さて、この時に晩餐が行われた会場は京都二条城でした。このメニューは二日目の様式晩餐でして、この際にボンボニエールが下賜されました。この時のボンボニエールは二種類。 まずは「入目籠型」ボンボニエール。これは列席した在京公使夫妻および随員に贈られた物で、大変に手が込んでおります。この入目籠には竹製で、調度品として「内陣」に供えられる絹布「繪服(にぎたえ)」と麻織物「麁服(あらたえ)」を入れて神々に捧げる器です。少し金彩が薄くなっておりますが、非常に手の込んだ彫金をされていることは写真からもわかると思います。秋山氏が日本の宮廷料理がオテル・リッツにも劣らない物だということを証明するために呼ばれたように、日本の工芸技術がいかに優れているか、それを外国に知らしめる作品でした。(写真2、3、4) その晩の晩餐会では、もうひとつのボンボニエールが配られました。「柏葉箱型」です。こちらは2800人分用意され、服部時計店、天賞堂ほか2社、合計4社が手分けして作ったそうです。この箱には神饌を盛り悠紀殿に運ばれます。神饌は、主食は粟飯と米飯、副食は山の幸・海の幸の、生物四種と干物四種。お上は竹製の挟み形御箸で柏葉で作った皿形の器に盛り付け、さらに果物四種、白酒・黒酒をご自分で次々と神座にささげるそうです。(写真5、6) #ボンボニエール #皇室 #天皇
ボンボニエール ? ?Attie0128
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東伏見宮のイギリスからのお土産 A souvenir from Prince Higashi-Fushimi attended the coronation of the King George V.
先の東宮妃(後の貞明皇后)のご快癒後に催された晩餐後で、秋山徳蔵氏のメニューコレクションに残っているのは、東伏見宮依仁親王が明治大帝のご名代として渡英遊ばすにあたり、送別会を開いたメニューです。記録によれば、竹の間で簡単な午餐だったようですが、オードブル、コンソメスープ、ヒラメの冷製ニース風、フィレ・ミニオン、冷製の鴨、鶏肉とトリュフのサラダ。サラダが最後に出るのが宮中らしい正式なディナーですね。 さて、この時にボンボニエールが出されたのか不明です。しかし、2ヶ月かけて船旅で東伏見宮両殿下は英国に無事到着、明治大帝からお預かりなさった大勲位菊花頸飾を新英国王ジョージ5世陛下に贈られました。戴冠式は明治44年6月22日。その際にお土産として当時イギリスで一番格式の高かった金銀器商のゴールドスミス・アンド・シルバースミスにて特注のシガレットケースを注文したようです。普通イギリスのシガレットケースなどは9金が多かったのですが、これは18金。宮家共通紋の一重十四弁裏菊を彫らせ、また内側には、明治44年6月と、たどたどしい英人の手で掘らせています。紋章の彫りが西洋風で非常に美しい作品です。 #ボンボニエール #皇室 #天皇
ボンボニエール シガレットケース Goldsmiths & Silversmiths Company.Ltd ?Attie0128
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龜は萬年 Imperial bonbonier with turtles
明治天皇銀婚式のボンボニエールは鶴亀をあしらっておりましたが、同じ明治期のボンボニエールで、亀だけ、鶴だけをあしらっている物があります。つがいの亀に小亀が乗っているもの。 こちらの来歴は不明でしたが、学習院の学芸院の方がお調べになって、明治44年10月10日に催された、後の大正天皇妃である貞明皇后が風邪快癒のお祝いの宴で配られた物だそうです。後の昭和天皇も10歳で陪席遊ばされ、メニューはフランス料理が振る舞われました。。どのようなメニューだったのかは気になりますが、残念ながら「天皇の料理人」秋山徳蔵氏のメニュー・コレクションには同日のメニューは残されていませんでした。 同じようなボンボニエールというよりも亀の置物もございます。これは本当に飾りのようなものでして、金平糖を入れる空間も無いのですが、尻尾の裏側に共通宮家紋が入っております。天皇家の際は八重十六弁菊花紋ですが、直系ではない皇族は自家の紋もしくは、十四弁裏菊紋章を使うことになっております。亀の作りからしても、同じ時期に作られたのではないかと推測されます。ちょっとした返礼品であったのか、この親子亀のボンボニエールからインスピレーションを得て何かのお祝いでどこかの宮様が作られたのか、それは不明です… #ボンボニエール #皇室 #天皇
ボンボニエール ? ?Attie0128
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エドワード7世皇太子時代のリヴァースインタリオブローチ A reverse intaglio broach owned by the Prince of Wales, later became the King Edward VII
リヴァースインタリオ、別名エセックス・クリスタルとも呼ばれています。エセックス・クリスタルの由来は、ヴィクトリア女王に寵愛されたエナメル画家 William Essex に因んでいると言われていますが、詳細は学会でもまだ明確になっておりません。技法としては、ドーム状の水晶もしくはガラスを裏側から削り出して、手描きで彩色しております。緻密な技術が要求されますので、今では作るとしたら大変な事です。 さて、この作品は非常に珍しく貴重な物です。プリンス・オブ・ウェールズ、英国の皇太子に与えられる敬称ですが、その紋章は王室御用達のメーカーにつけられているのを見たことがあるかと思います。 このブローチはヴィクトリア女王の後継者であった皇太子エドワード、後のエドワード7世の物です。普通は裏側に真珠貝の薄いプレートを入れますが、こちらはいれていない。そう考えると、かなり時代が古いリヴァースインタリオだと思われます。駝鳥の羽の軽やかさと、王冠の重厚さが素晴らしいコントラストを出している傑作です。500円玉より少し大きい中にこれだけの緻密な彫刻と彩色をしていることにビックリします。 また、その水晶を囲んでいる彫金の素晴らしさは1800年代後期の英国金細工の素晴らしさを伝えています。 ご自身で皇太子がおつけになったのか、それとも恋多き王子でしたのでサラ・ベルナールのような大女優にプレゼントしたものか?来歴は分かりませんが、5センチの中に技巧と美が詰まった見事なブローチです。
ジュエリー Unknown 内緒Attie0128
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三人の明治大帝の姫君。Three Bonbonnières of three Imperial daughters’ of Emperor Meiji
明治天皇の皇女のお別れのボンボニエールです。明治天皇の三人の内親王様が伏見宮系の皇族と結婚して血縁を固められました。もしこの結婚がなければ、旧皇室典範では、宮家は廃絶され、一華族として臣籍になるのですが、明治大帝直系の姫君を娶った事でこの三宮家は継続しました。 まずは、明治41年4月30日竹田宮恒彦王と昌子内親王の結婚。大嘗祭で使われる柳筥型です。(2枚目の写真) 続いては重箱鶴松紋の朝香宮鳩彦王と允子内親王の重箱型、これは明治43年5月6日のご結婚記念です。(3枚目4枚目の写真) そして北白川宮成久王と房子内親王のご成婚記念。これは台付文庫型と呼ばれ、明治42年4月29日に華燭の典が執り行われました。(5枚目の写真) 殊に朝香宮ご夫妻と北白川宮ご夫妻は同時にフランスに遊学され、非常に仲がよろしかったそうです。ただ、悲劇なのは北白川宮様運転のスポーツカーにより北白川宮様ご不例、同乗の朝香宮ご夫妻は重傷を負いました…。 #ボンボニエール #皇室 #天皇
ボンボニエール ボンボニエール ?Attie0128
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昌徳宮李王垠下賜のカフリンクス A Pair of Cufflinks from Prince Imperial Yeong
Prince Imperial Yeong of Korea 昌徳宮李垠のカフリンクスです。下賜というよりも贈り物であると思います。閑院宮家旧所蔵品です。天然真珠の大きさが他の宮家のカフリンクス以上に大きいことから考えても贈り物であったと思います。実際、李王家は日本の普通の皇族より財政面では豊かだったといわれております。研究のためにデータが欲しいのですが…。実際李垠公殿下はできるだけ目立たないように質素な生活をされていたそうです。しかしながら慶事には他の皇族が真似できないだけのボンボニエールを作られたりしておりました。この清楚で華麗なるカフリンクスは殿下のお気持ちを表しているかと思います。皇族の梨本宮家の皇女と結婚しましたが、非常に夫婦仲良く、お優しい李垠殿下でした。赤坂プリンスホテルの旧館でお食事したことがありましたが、ここが李王家のお屋敷。非常に趣味の良い英国風の洋館でした。 #皇室 #天皇 #カフス
カフリンクス Mikimoto ?Attie0128
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2つの宮家のカフリンクスの謎 Almost identical pairs of Imperial Cufflinks
2つともよく似た旧皇族のカフリンクスですが、どちらも朝香宮家のカフリンクスといわれていますが、よく見るとおかしい。違う家紋ではないですか? 実は久邇宮、東久邇宮、朝香宮とよく似通っているのです。大きな違いは、菊紋の上にある裏菊の花弁の数と形状です。久邇宮家と朝香宮家は区別は本当に難しいのですが、東久邇宮家は裏菊が5枚で、久邇宮と朝香宮家は7枚です。今後、ボンボニエールの項で触れますが、宮家の家紋の区別は非常に面倒。私のように下々のものだから分からないのでしょうが… カフリンクスとしては両方とも素晴らしい物です。特にチェーンのカフリンクスの朝香宮家の物は、小ぶりでありながらも、プラチナで菊花紋を後からつけている立体感の美しさ。残念ながらご一緒にパリで遊んだ東久邇宮様のカフリンクスより粋です。さすが、アールデコの屋敷を残してくださった朝香宮様という感じですね〜 #皇室 #天皇 #カフス
カフリンクス Unknown ?Attie0128
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明治天皇銀婚式 25th anniversary of the Imperial wedding of Meiji Emperor.
明治大帝銀婚式、明治27年3月9日に下賜された記録上の最初のボンボニエール。鶴亀の置物は宮中「竹の間」においての饗宴で、皇族、大臣、各国使臣621人に配られたとのこと。 鶴亀の彫刻菓子器は2種ございまして、楕円形と丸型。こちらは「豊明殿」にて立食宴の出席者に下賜されたそうです。両方合わせて1850個も作られましたが、これだけの手彫りの物を良く作ったものだと感心します。 鶴亀置物型はその繊細さからか、完全な状態の物は少なく、宮内庁三の丸尚蔵館にもなく、数点のみが現存するだけだそうです。実際の宴席では、この鶴の形の大きな置物も宴席に飾られていたという外交官夫人の記録がございます。 三点とも菊花紋は入っておりませんが側部に「明治二十七年三月九日」と手彫りされております。
ボンボニエール ? ?Attie0128
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ユースポフ公爵のカフリンクス A pair of Cufflinks owned by Prince Felix Feliksovich Youssoupov
最後のロシア皇帝ニコライ2世の姪と結婚したときに贈られたというロシア屈指の名門貴族ユースポフ公爵のカフリンクス。美しいファベルジェの桃色のエナメルで装飾され、緻密な帝政ロシアの双頭の鷲が彫金されています。ロシア革命の際にユースポフ公爵はフランスに亡命しましたが、全く同じ形の物で黄色いエナメルのカフリンクスも持っておりました。流転の先、それは皇帝ニコライの物で、NYの信用できる骨董商が所有しております。そこで、このユースポフ公爵のカフリンクスを手に入れましたが。皇帝の物はエナメルが破損しており、かつ、手に入れられないお値段でしたのが、幸いタイミングよく、この美しいロシアンカットのダイアモンドが入っているユースポフ公爵のカフリンクスをお迎えできました。まだ帝政ロシアの物が安く手に入った時代だったから…。その後はロシアンマネーで高騰してしまいましたね…。 特にこの桃色のエナメルは非常に発色が難しい物で、少しくすんだ乳白色が入っているところが魅力です。 #カフス #ファベルジェ #ロシア
ジュエリー Faberge ?Attie0128
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エドワード7世のカフリンクス 帝政ロシア御用達ファベルジェ製 A pair of Cufflinks for the King Edward VII by Faberge
帝政ロシア御用達の宝石商、ファベルジェに特注されたカフリンクスです。注文主は英国王エドワード7世。素材は特注のためホールマークはないのですが多分14金(これが工芸的に適度な硬さであったとファベルジェはフランス輸出のもの以外は18金は使わなかった)。丁寧な手彫りの上に透明な緑のギョッシェエナメルを施し、エドワードのEと片面には王のラテン語のRexの頭文字Rを彫金した金細工、王冠とダイアモンドをはめ込んでいます。同じ形状の白エナメル地のカフリンクスがイギリス王室のロイヤルコレクションにあります。 #カフス #ファベルジェ #ロシア #イギリス #王室
ジュエリー Faberge 内緒Attie0128