Gravicalymene arcuata

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イギリス産の三葉虫、グラビカリメネ・アルクアタ (Gravicalymene arcuata) です。三葉虫蒐集のかなり初期に入手した標本ですが、その後市場で見かける事もそれほど多くなく、産出量のそこまで多くない種だという印象です。

ぼやっとした境界不明瞭な標本が多い本種ですが、本標本は細部まで観察でき立体感もあり、35mmと本種にしてはサイズもかなり大きめです。ポジネガともに揃っており、良標本かと思います。

カリメネはシルル紀を中心に全世界で繁栄した種ですが、本種のように古くはオルドビス紀にも分布していました。市場で見かける種で、Gravi-が接頭につくカリメネはあまり多くありませんが、有名どころでは本邦で産するグラビカリメネ・ヤマコシィ (Gravicalymene yamakosii) が知られております。アルクアタとは対照的に、ヤマコシィはデヴォン紀の種ですので、カリメネ全体で見ればオルドビス、シルル、デヴォンと3つの紀に渡り、生息していた事がわかります。

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    tatsutoy

    2021/07/13 - 編集済み

    カリメネが現れはじめるオルドビス紀末の標本ですね。この場所は良質なカリメネが多産するので、マルチプレートなど入手したいところですが、保全指定されてしまい、新規標本が得られないのが残念です。

    ところで、私も初めて知ったのですが、2020年、オーストラリアタスマニア島のオルドビス紀地層から、新種のグラビカリメネが見つかったそうです。種名はイギリスの俳優トム・ベイカーにならい、Gravicalymene bakeri
    http://www.sci-news.com/paleontology/gravicalymene-bakeri-08892.html

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    • tatsutoyさん
      確かにこの種はマルチの標本を、昔一度かニ度みかけましたね。カリメネ系でマルチでの産出は、結構珍しいんじゃないかと思いますね。

      貴重な情報有難う御座います。タスマニア産とは珍しいですね。昔何処(魅惑の三葉虫さんの図鑑かな?)で、タスマニア産三葉虫を見かけた気もします。貼って下ったリンクのnews記事を、さっと斜め読みしてみましたが、ゴンドワナ大陸東部地域からのオルドビス紀のグラビカリメネの産出って、確かにこれまで聞いた事がないですね。ベイカー氏の名から取られた経緯も含め、興味深い話でした。

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