青銅器:実物と切手と

初版 2024/01/22 01:18

改訂 2024/02/01 15:01

fanta館長のコレクションで中国1960年代の青銅器切手を知り、お〜、美しい!これは欲しい!と思った昨年。ある展示会のオープニングで訪れた、イギリスの地方の小さな美術館(ウォリックシャー州のCompton Verney)で、多数の実物に遭遇し、青銅器熱が一気に高まったのです。帰宅後にeBayでセットを発見!すかさずゲット。新年になって切手たちを眺めていたとき、装飾に龍を発見。わーい!とこの↓切手たちをアップしました。

https://muuseo.com/tomonakaazu/items/437?theme_id=45174

1964 China 龍のいる切手 01 | MUUSEO (ミューゼオ)

https://muuseo.com/tomonakaazu/items/437?theme_id=45174

tomonakaazu

3つのアイテムで合計8枚。記述のためにウィキなどを読みつつ比較すると、見た実物とよく似ていたり、ディテールやバランスが違ったり、面白い。なので、切手と比較してみます。まずは、上の切手「戊箙卣」と似ているこれ↓です。

丸くふくらんだボディーの模様や、持ち手の動物の頭など良く似ていますが、切手にはある口まわりの龍が、これには居ません。次の例は、3本足でユニークな形。片手で持って、豪快に酒を飲む武将の姿を想像しました。

切手「父戊舟爵」では脚の上の本体部に、もっと凝った装飾があります。さすがに、国宝級の作品は、海外に流出しないよう宝物庫に収められていたのでしょうか、、。

これ↑と似た3本足の、もう一枚の切手「斝」は特に好きな形↓ですが、これと似た実物は、この美術館にはありませんでした。

替わりというか、4本足のこれ↓が参考資料によく出てきたのです。

「饕餮」と呼ばれる模様や真ん中にあるフクロウみたいな顔など、これは眺めて飽きないオブジェでした。でも、今になって良く見ると、もしかすると青銅器ではないかも??色がちょっと白っぽいですか?

次は“尊”と呼ばれる形で、これこそ酒器だったと、これまたfantaさんがコメントに貼ってくださった資料で学びました。この器の「肩」の位置にあるのは、羊かな?

この器と似ているのが下↓の切手「龍虎尊」で、これには「肩」の位置に龍がいまして、やはり装飾のモチーフや彫刻の精度が上等のようですね。

最後は、動物がそのままの形でフタ付きの水差しのように見えるこのヒト、「天父乙觥」。

似た例があったのですが、これは歯を見せた怖い顔をしていました。。頭の上の角の形は似ていますが、やっぱり違う動物かなぁ、、。

それにしても、ユニークな形状のオブジェたちです。用途のためだけに、機能的なものとして作られたのでは、こういう形にはならないよなぁ、、と思います。ものすごく重そうだし。やはり儀礼のための、そして王としての威厳を見せつけるための舞台セットのようなものだったのかな、と想像するのでした。

+++

この素晴らしい青銅器コレクションの展示を見たのは、先にも書きましたがウォリックシャー州にある元マナー・ハウス(荘園領主邸)で、今では地域の美術館になっている Compton Verney です。『History in the Making』というタイトルの展示会に、ほぼ30年前にわたしが制作した紙のスツールが展示されるということで、オープニングに初めて訪れました。広い敷地に有名な造園家がデザインした池や橋があって、その奥に建つギャラリーの正面からは、小さな美術館に見えたのです。

ちょっとしたレセプションののちに展示を見始め、時間を忘れて楽しむうち、コンテンポラリーからクラフトの歴史へと変わり、急に次の部屋から中華文明の気配が。がーっ!と口を開いた馬のうしろに、延々と青銅器が飾られていました。。

そうか、それで「紀元前2世紀からの素材と工芸家」とタイトルの副題にあったのか、と納得。あまりの展示品の質と量にその晩は時間切れとなり、ウォリック近郊のB&Bに泊まった翌朝、また美術館に戻って続きを見ました。今度は青銅器室から始めて、イギリスの地方の工芸品を集めた部屋を通り、びっくり顔の犬やストイックな猫、さらには切手まで見て大満足で帰路についたのでした。

この美術館 Compton VerneyのHPはこれです。

https://www.comptonverney.org.uk/

近くにはシェークスピアの故郷ストラトフォード=アポン=エイヴォンがり、中世の面影を残す街ウォリックも散策た楽しいようです。そして車で30分ぐらいのところにジャガー・ローバーの工場があって、その隣にはBritish Morot Museumがあります。帰り道に寄ったその巨大な車博物館については、また後日。

https://www.britishmotormuseum.co.uk/

British Motor Museum | Home

The World's largest collection of Historic British cars. A motor museum with over 400 classic cars, free tours and interactive family activities.

https://www.britishmotormuseum.co.uk/

ほぼ四半世紀になる切手コレクターです。切手ブログ『 wellcentred 』を2009年より綴っています。

紙の模型やジオラマを作ったり集めて修復する、はかない紙もの愛好家(Ephemerist)でもあります。

職業は家具やプロダクトなど立体系のデザイナーで、紙模型好きが高じて名作家具と室内のジオラマをキット化しました。
www.onetosixteen.com

https://wellcentred.wordpress.com

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    利右衛門

    2024/01/23 - 編集済み

    この手の青銅器、どストライクで萌えます🎵
    フォルムからして面白いですし、青銅器という素材にも味わいがあって
    見蕩れてしまいます✨

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      tomonakaazu

      2024/01/23

      利右衛門さん。
      コメントありがとうございます。
      同じ感じで、萌える人がいるのは嬉しいです。
      フォルム、本当に面白いですよね、、。工芸家たちがそれぞれ違う形を考えて作ったのか、それとも誰か「マスター」の雛形を真似たのかなど、いろいろ想像します。

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    グリーン参る

    2024/01/23 - 編集済み

    tomonakaazuさん
    大変魅力的な展覧会ですね。「ブリティッシュベイクオフ」のような庭、広々した展示室、理想的な美術館です。お作りになった作品が美術館に展示されるのがまた凄い。
    それにしても3000-4000年も前にこんな精巧な青銅器を作るなんて、中国恐るべしです。

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      tomonakaazu

      2024/01/23

      グリーン参るさん。
      コメントと素晴らしい青銅器の写真!ありがとうございます。
      これは、教えてくださった「白鶴美術館」の展示品ですか?それとも、台北の国立故宮博物院でしょうか??

      ハンドルの装飾も、フタの上部の飾りも、切手になっている「戊箙卣」よりも装飾が多彩で、Compton Verneyの展示品が寂しく見えるくらいの豪華さですね!う〜ん、上には上がある。
      まったく、4000年前のこの精緻な工芸には、驚かされるばかりです。

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      グリーン参る

      2024/01/23

      tomonakaazuさん
      先ほどの画像もこちらも2019年に訪れた故宮博物館で撮影したものです。丸二日掛けましたが、それでも時間が足りませんでした。青銅器を含め、あらゆる中国工芸の粋を集めた美の殿堂です。

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      グリーン参る

      2024/01/23

      白鶴美術館の作品も素晴らしいのですが、確か撮影禁止だったような……。

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      tomonakaazu

      2024/01/24 - 編集済み

      グリーン参るさん。素晴らしい、、再度、画像をありがとうございます。丸二日!ですよね、、。わたしも半日ほど館内にいましたが、足りないと思いました。また行きたい博物館です!ちょうど、台湾の切手の陶磁器の参照のために検索していて、この↓ブログを発見して読んでいたところでもありました。掲載されている画像の数と詳細な説明がすごいです。
      https://4travel.jp/travelogue/11820536

      日本の美術館/博物館は、撮影できないところが意外と多いですね。展示会カタログを売りたいから?と思ったりしますが、もっと撮影できたら、楽しかった体験がSNSにアップされてもっと人が入るのにね、と思うこともあります。

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      グリーン参る

      2024/01/24

      tomonakaazuさん
      お返事ありがとうございます。
      ご紹介いただきました陶磁器のブログ、拝見しました。質、量ともに凄い内容ですね。明の青花の陶器が特に美しく見えます。焼物好きには堪らないでしょう。私も書まできちんと回れませんでした。またゆっくり訪れてみたいです。

      おっしゃる通りまだまだ日本では撮影不可な美術館が多いですね。以前は撮影が出来なかったロンドンナショナルギャラリーも、フラッシュなしなら撮影可能となりました。しかし、プラド美術館は未だに撮影禁止です。ルールを守れば撮影は問題ないはずなのですが…。

      故宮博物館記、アップしようかな?

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    fanta

    2024/01/24 - 編集済み

    素晴らしい~👏
    興味深く読んでます♪
    海外に所蔵のは、美術館カタログでもないとお目にかかれず…イギリスのも素晴らしいですねー😆

    特に、フクロウ顔の“か”(字が出ないw)や、
    歯を見せた“觥”など…オリジナリティにあふれとる♪
    見たことないので新鮮でっす。

    私が見たのは都内にある、
    泉屋博古館(せんおくはくこかん)って美術館でした。京都にもあるようです。

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      fanta

      2024/01/24

      たぶんフクロウ顔🦉のも“斝”だと思われます。
      にしても、
      愛らしいマークみたいに入った鳥の顔♪面白いです。4本足だし…職人のセンスを感じますね~

      泉屋博古の“斝”はこんな感じ↓
      私には、剣が上から突き刺してあるかのように見えちゃいます😁

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      グリーン参る

      2024/01/24

      fantaさん
      横レス失礼します。青銅器は模様や動物を模した形状、尖った足など、本当に個性的ですね。それに器を表す漢字も複雑で、かつ漢字と青銅器の形が似ているのも面白いです。

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      tomonakaazu

      2024/01/24

      fantaさん。
      コメントとカタログの画像、ありがとうございます♡
      「泉屋博古館」、、メモメモ。。。
      行きたい場所がどんどん増えてますが(長生きしなきゃ)。
      カタログ左ページの“斝”は上に伸びた角みたいなものの装飾も豪華ですね!

      >>剣が上から突き刺してあるかのよう
      まったく。美しい造形ですねー。

      >>フクロウ顔の“か”(字が出ないw)
      そう、このタイプで漢字が出てこないモンダイは、切手アップ時にかなり時間がかかりました。口がふたつ上にあって、ワの下に斗のある漢字!とか、打ち込むと出てきたり、出てこなかったり、、。

      そういう古い字を知るのも、実はこういう物を見るのと一緒に楽しいことだと、今回気づきました♡

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      tomonakaazu

      2024/01/24

      グリーン参るさん♡
      また、素晴らしい青銅器の画像を、、ありがとうございます。
      こんな丸いのは、今まで見たことなかったです!

      >>漢字と青銅器の形が似ているのも面白いです。
      たしかに、、、気づいていませんでしたが、本当だ〜。象形文字の特徴かも?面白いです〜〜。

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      fanta

      2024/01/24

      >グリーン参るさん、
      これまた宇宙船のような🤣面白い、魅力的ですね~。これは“キ”(また字が出てこない💧)ですな。
      これからも語りましょうw青銅器の魅力♪

      >tomoさん
      近ければ、博物館巡りをご一緒したいところでっす😆器物には難しい呼び名がついてるんですよね。

      また容器の内側には“金文”といって、漢字の原型みたいになった文字が彫られてるのもあります。
      これはこれで沼が広がっているようです😂私は詳しくないんですけど。

      博物館行ったときの日記を、勝手ながらつなげておきま~す笑https://muuseo.com/collectoiz/diaries/37

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      tomonakaazu

      2024/01/24

      博古館訪問記、拝読しましたー♡
      これまた、お宝がどっさり、、、。
      ほんとうに、近ければご一緒したいです、fantaさん。

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      グリーン参る

      2024/01/25

      fantaさん
      青銅器は職人さんが、「作っているうちに面白くなってきちゃって」どんどん凝ってきたような印象を持っています(笑)。
      泉屋博古館、今度必ず行ってみます。博古館訪問記、圧巻でした❗素晴らしいコレクションですね。

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      グリーン参る

      2024/01/25

      確かにこんな丸い青銅器、見掛けませんね。昔のソビエトの宇宙船のようにも見えるし、ポケモンのキャラクターのようでもあります。
      故宮博物館で青銅器の国宝指定を受けていたのはこちらでした。あまり装飾は凝っていないようです。「帝国の逆襲」に出演して欲しい…。

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      fanta

      2024/01/25

      写真の…
      調べちゃいました♪
      乃孫作祖己鼎…と出てきます😊
      大きそうだな~と思ったらけっこうなサイズ!どっしりしてるー。

      故宮博物館。。憧れますワ😆
      グリーン参るさんの日記も楽しみにしておりま~す👍

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      tomonakaazu

      2024/01/25 - 編集済み

      fantaさんに同感!
      グリーン参るさん、ぜひとも故宮博物館記をアップしてください。😃

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      グリーン参る

      2024/01/26

      tomonakaazuさん
      台北に行ったのは4年以上前なので、記憶もおぼろげですが、何とか今月中にアップしたいと思います。
      もうしばらくお待ち下さい。

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      グリーン参る

      2024/01/27

      ご存知かもしれませんが、青銅器に関してはこちらがおすすめです。

      https://youtu.be/mBJldCA8Uis?si=v1w8h0UeX60GsRLS

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      fanta

      2024/01/28

      グリーン参るさん、見てみました😊
      ・饕餮文(とうてつ)という難しい呼び名が飾る殷の青銅器♪
      ・殷時代の多くは酒用に。

      魔除けの饕餮文と雷文で埋めつくされるおどろおどろしさ…が古代の畏敬や魅力を感じさせてたり。
      また5000程前の陶器の形に、その後の青銅器が影響されてるなどなど…
      とても興味深いですね~😊

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      tomonakaazu

      2024/01/29

      グリーン参るさん、素晴らしい番組のアップをありがとうございます♡
      ゆっくり拝見いたしました!
      こうやって、器の中身を知るのは、こんな番組のための撮影でないと無理ですよね、、。切手に載った青銅器をもっと知ることができて嬉しいです♡♡

      そして、青銅器の使われ方など、古代中国の歴史と一緒に学びました。。すばらしい。

      周の時代のころの、シンプルになった饕餮が、ラーメン鉢のフチ模様の祖先なのかも、、?と思ったり。そして、中に彫られた文字を読む学者さんたちの努力もすごいですよねー。

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      tomonakaazu

      2024/01/29 - 編集済み

      そして、このビデオのおかげで、もしかすると陶器?と思ったイギリスの美術館の饕餮文の4本足の「斝」は、やはり青銅器だったと確認できました。とても似た色あいのものが、中でも紹介されていたのです。ありがとうございます!!

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      グリーン参る

      2024/02/01 - 編集済み

      fantaさん、
      遅ればせながら故宮博物院記、アップしました。
      ご覧いただければ幸いです。

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      グリーン参る

      2024/02/01

      tomonakaazuさん、
      遅ればせながら故宮博物院記、アップしました。
      ご覧いただければ幸いです。

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