肥沃な土壌に種は芽吹く
初版 2019/01/27 15:08
改訂 2019/01/28 22:26
多くのミューゼオ館長さんの中には、その世界に没頭するきっかけとなった思い出の品があることでしょう。もちろん私の中にもあります。
そこで今回は、私の石集めの原点となった「最初の子」を紹介したいと思います。
私の場合、この『ウミユリの化石』がそうです。ウミユリの茎が二片、粘板岩に埋め込まれる形で残っています。
―ウミユリとは海底に固着して生息する深海生物。
名前にユリとありますが植物ではなく、ウニ・ナマコ・ヒトデと同じ棘皮動物です。生きた化石として
知られる生物で、現代においても海の底で細々と暮らしています。
ウミユリの茎は節が多いため非常に脆く、容易にバラけるため完全な姿で残ることは稀です。そのためこの化石も茎のごく一部分しか残存していません。
おそらく流転の果てに大部分が母岩から剥がれ落ちてしまい、モールドだけが残されることとなったのでしょう。
これは小学生の頃、下校中の寄り道で拾ったものでした。
―私の地元は日本有数の化石産地。
ウミユリをはじめ三葉虫、フズリナ、貝類、アンモナイト等、多くの古代生物たちが眠る地です。
これら海中生物の化石に加え良質な石灰岩が数多く産出することから、遥か昔は海底だったことが伺え
ます。そのためごく普通の身近なところで化石が入手できたりするのです。
見つけた当初は、この白骨のような外観から恐竜の骨化石だと思い込み、嬉々として親に見せたのを覚えています。
結果してそんな大層な化石ではなかったのですが、不思議と感動が冷めることはなく、芽生えた好奇心はテッツァ坊主の心を石の世界へと引き込んだのでした。
元々、砂利や砂場から透明な石英の粒を集めて遊ぶような子供だったこともあり、興味の範囲が鉱物へと広がったのは言うまでもありません。
そんな思い出深い品ですが今では私の元を離れ、地元のとある小さな博物館で展示品に混じって公開させて頂いてます。
中学に上がった頃、鉱物に傾倒していたこともあり、思い切って寄贈したのでした。
それから十数年が経った現在でも展示されており、子供の思いを無下にせず受け入れてくださった学芸員さんには感謝の気持ちしかありません。
微力ながら、こうして地元の地質学の発展に寄与できるとはとても光栄なことです。
既に手元には残っていませんが、私の「誇り」として今でも心の中に残り続けているのです。
#思い出
塚原ユズル
2019/01/27良い話(^-^)
私も一度だけ恐竜を求めて化石掘りをした事がありますが、心に響く物は見つけられませんでしたので、そこがそちら側へ行かなかった分岐点ですね(笑)
その点、息子はよく面白い石を拾って来ます。スタディルームというお店の標本コーナーに何時間も粘るのでテッツァさんのようになるかも??
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テッツァライト
2019/01/27読んでくださりありがとうございました!
ユズルさんにもそのような体験があったとは。どんな出来事がきっかけになるのかは、コレクションの数だけに人それぞれなんですね。
おぉ!息子さん素晴らしい傾向です(カモンカモン…笑)
もしかすると、ユズルさんとも私ともまったく違ったジャンルに「目覚める」かもしれませんが、何かに夢中になるのであれば、是非ともその姿を応援してあげたいですね😄
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luhna-009
2019/01/28私も昔(子供の頃)、化石堀りを楽しんだ記憶があります。
私は巻貝の化石を、その際に発掘しまして…当時凄く楽しかった思い出が
鉱物とは少し違うのですが、ひょっとしたらその時の発掘が、私が鉱物採集に入る切欠になったのかもしれません。
…そういう意味では、現在の職業に就いてしまったのも、それが切欠になっているのかも^^;
何が切欠になるのかは分かりませんが、結果的にそれが切欠になっていた…なんて話、
いろいろとありそうですよね。
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テッツァライト
2019/01/28読んでくださりありがとうございます!
ということは石と関わるお仕事なのでしょうか😮
人生を方向付けるきっかけにもなるとは、本当に憧れてしまいます!
きっとここに集まるミュージアムの数だけ、そのようなお話があるのでしょうね😄
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