謎の切手様紙片~(多分まだ続きます
初版 2021/06/19 18:35
改訂 2021/06/19 18:35
TWIN-MILL様方で謎切手を拝見して「わくわくすっぞ」から早8か月近く。
「わくわく」が「え、これちょっと何(ドキドキ)」となり、「全く判らん(ヒヤヒヤ」となりました。さくっとご紹介頂きましたが、当方はさくっとは行かず・・・当初、その素性の判定は難しくはないだろうと思っていました。それは、「単位」をたどればある程度対象が絞り込めると考えられたからです。
●単位は?
この画像の中心、両脇の「3」に囲まれた単位。実はこの文字形には見覚えがありまして、
これは、トルコの旧貨幣「左:40パラニッケル貨(オスマン帝国)」・「右:100パラ黄銅貨(トルコ共和国)」です。「パラ」はオスマン帝国時代から存在するトルコの旧貨幣単位で、40パラを1クルシュ、100クルシュを1リラとしていました。謎切手との文字の位置関係は異なりますが、構成する文字の要素は同じです。
前の文字に一部を掛ける、離す、内側へ入れるなどの違いについては「手書き表記の揺れ」と理解されます。
これで、この謎切手は「パラ」を最小貨幣単位とする地域のものに限定されると推測されます。「パラ」はトルコに限らず、支配影響のあった旧ユーゴスラビア地域(セルビア、モンテネグロ)やその他アラブ地域でも使用されていました。ただし、「国章」に類するものが見当たらないので、単位は特定できても地域の特定ができないのです。
参考までにオスマン帝国皇帝のサイン。基本型は変わらず、代が変われば細部も変更される。切手にも例外なく使用されている。左右で約140年位の差がある。
●アラビア文字からたどれる?
これは非常に難しいです(挫折しました…汗) 。現行のアラビア文字は、漢字の3体(楷書・行書・草書)以上に種類が多く、使用地域と時代と目的(装飾用・日用)とで多くの種類に分類されます。また、単語を構成する各文字は語頭・語中・語尾で姿を変えるため、その切れ目の見定めを誤ると全く迷い続けることとなります。
文字の長さを巧みに替えたり、空白部を発音記号で埋めるなど、デザイン要素を濃くしているところから、「スルス体」と呼ばれるものに近く、使用地域はトルコ・サウジ・イエメンなどトルコを中心としたエリアです。
上段:イラン紙幣に見える「ナスターリーク体」。インドではウルドゥー語の表記に使用され、パキスタンでも使用されます。
下段:クウェート紙幣にみる「スルス体」
現代において、「アラビア文字の教科書体」と呼ばれるナスフ体の活字によるパラの表記。このフォントはwindowsのテキストファイルでも使用されているものです。前項の手書きパラ字体との違いに注目すればわかるように、似ても似つきません。
「スルス体」は「カリグラフィーの母」と呼ばれているくらいに筆写にバリエーションを持ちます。文字綴りを解析して国名を特定するのを断念したのは、このあたりに理由があります。
●切手?印紙?それとも…
切手に似た紙片として印紙があります。印紙も税の徴収という国家の主権に係わるものですから、やはり国章の類があるのが通例と思われます。では、それ以外にどのような可能性があるかを考えてみたいと思います。現代の日本では「切手」といえば郵便切手ですが、かつては「 航空、電信、貯金」など用途に応じた切手があり、印紙も同様に多種ありました。民間の輸送業者でもこうした切手様の「支払い済み証票」を用意していたところもあります。
「内国通運会社」の証紙。内国通運会社とは、現在の日本通運株式会社の前身。
諸外国ではさらに「新聞、公式書類(官公庁間往復郵便)、不足料充当切手」などの切手がありました。通常の切手でない(民間で作成された)可能性もあるかもしれません。
●で、なんだろう?
「パラ」を単位にもつので、おそらくはオスマン帝国の版図で発行されたものではないかと考えられます。オスマン帝国は、トルコ革命後にその版図を保ったまま共和国へ移行したのではないので、この謎切手は、革命後にある地域が独立とともに独自に発行したものである可能性も捨てきれません。印刷や目打ちの稚拙なところに、緊急性や非公式性を感じます。とすれば、旧ユーゴスラヴィア地域からヘジャーズ(サウジアラビアの一部)くらいまでの地域で、ある一時期に使用されていたのではないかと思われます。無理やり私の得意分野に引き込んだようですが、目下、推測までを書き残しておきます。どなたかお詳しい方のご教示も期待しております。
#日記
#一部コレクションログ
#一部コレクションログではない
#一時的撤退
shirotanino
TWIN−MILL
2021/07/17ご無沙汰をしております🙇♀️。
謎解き有難う御座います。少しずつですが、子供の頃からのモヤモヤが晴れて来ている(進行形)って感じですよ😄👍。
結果が出た時、「パッパカパーン!」なのか「チャンチャン」なのか。。。😈
楽しみは続きますね。
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shirotanino
2021/07/17コメントありがとうございます。
まだまだ(汗)続きます。
この謎切手探索中に色々発見(気づき)がありました。切手コレクターの中で
「スタンペディア(wikipediaの切手版)」を創設しようというプロジェクトが
ありまして、もうすでにかなりのデータと画像が寄せられているようです。
http://stampedia.blog.fc2.com/
やはり、中東その他アラビア語圏はその他に比較してまだ掲載数が少ないようです。
同じ謎切手を所有する人が出てくることを期待しています。
>>「パッパカパーン!」なのか「チャンチャン」なのか。。。
これは「チャンチャン」でも凄いレベルかも…
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