イナズマン!明治11年作 螺鈿四段重 五寸

初版 2022/09/28 21:15

改訂 2023/03/13 20:33

今日は職場に泊まりだったので、弁当用に四段重を用意して食材を持ち込みました。

五寸半ほどの小型のお重です。隅切の形で蓋も面取りをしています。直線的に螺鈿と切金のような金色の板が黒漆の中に嵌め込まれています。

木地はとても薄く、丁寧な作りです。稲妻のように黒と木地塗りを斜めに配したシャープな作りです。

内側は金雲のような塗になっており、まるで「洛中洛外図屏風」のようです。一段目が浅く、二-三段目が同じ高さ、四段目が一番深くなっており、使い易い構成になっています。

底は四方桟ですが、とても薄く素晴らしい作りです。柾目の木地も見事です。蓋裏にも金が捲かれています。

蓋の黒漆は少しくすんでいるので、一度コンパウンドで磨きを掛けようと思っています。

ごくわずかに蓋の反りがありますが、概ね狂いはなく良好なコンディションです。

重箱の合わせはきっちりとしていて、螺鈿の剥がれもありません。

このお重もほとんど使われておらず、内部の湯焼けは全くありません。

かなり長い貝片を使っていますので、大型の貝から螺鈿の素材をとったものと思われます。

慳貪蓋の共箱も漆塗りで精巧な作りです。「箱裏に明治十一年新調」の文字がありましたので、今年満144歳です。当時はどんな食材を盛っていたのでしょうね。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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