万華鏡の世界 若狭の変り塗(その3)
初版 2022/08/08 23:40
改訂 2024/11/29 08:06
さらに変り塗をご紹介します。
卵殻が夜の波濤を思わせる「夜の海」。確かに白波が立っているように見えます。
紐と菜種、四角い箆を使った「藤縄」。金箔の上に青漆を塗っています。
紐と松葉、微塵貝を使った「寒菊」です。上3つはいずれも嘉永4年のものです。
これは「はだれ雪」ですが檜葉が特別小さく可愛らしい印象です。
松葉の菊模様に卵殻の雪を散らした「菊の雪」。でも檜葉も入っています。
細かな卵殻を散らした中に松葉の菊模様が入ります。明治後期のものと思われますが、変り塗の名称は分かりません。
紐と四角い箆を使った「唐錦」。嘉永7年の作品です。
黄漆、茶の漆に青漆で松葉を抜いた模様です。名称は分かりませんが、江戸期の物だと思います。
桜をヒバの中に散らしていますが、変り塗の名称は分かりません。こうした花を模したものはほぼすべてが明治以降の作品です。
黒の背景に赤の松葉と緑の稗で模様付をしたものです。これも名称は不明です。
稗のなかに松葉を金で抜き、中に卵殻を施して花火のスターマインのようです。これも他では一度も見たことのない変り塗で名称は分かりません。
ときどき見かける渦巻き状の模様です。明治以降の作品です。
菜種で桜が散る様子を、紐が風が吹く様子を表す「桜戸」。
桜戸の別バージョンです。作者が違うと雰囲気も変わります。
地味ながら独特のリズムのある「総角」。
紐の中に微塵貝を配した「夕時雨」。時雨の雰囲気はないのですが…。
黄漆を背景に稗で模様付をした「月代(つきしろ)」。明治に大変人気があり、よく使われました。
稗とごくわずかに微塵貝を散らした「都鳥」。
青漆を使った「木枯らし」という変り塗です。やや地味な印象がありますが、実際手にしてみるととても美しい塗りです。
都鳥に似ていますが、こちらは「百千鳥(ももちどり)」という模様です。
変わり塗の種類は400から500ほどあると言われており、全貌はまだまだ把握できません。
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