「 立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花」~ 輪島塗 総黒端反蔦蒔絵吸物椀

初版 2022/07/18 12:40

改訂 2024/02/17 20:53

毎度、お椀ばかりで申し訳ないのですが、新しく写真を撮ることができないので、撮り貯めしていたものを掲載させて頂きます。

パッと見た瞬間、京都のお椀だと思ってしまった輪島塗の吸物椀です。共箱の印版を見て輪島産であることを知りました。洗練された絵柄からてっきり京出来のお椀と信じていました。大正から昭和初期の製作ではないかと思います。

十客揃いの鮮やかな蒔絵椀で、直径が11センチほどの小型のものです。

蓋と身の外側に蔦の葉と実がぎっしり描かれています。

同じように見えますが、絵柄はすべて微妙に違っています。

口縁がわずかに反っていて、形が美しいのはもちろん、端反は機能的で飲みやすいのです。

「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」~そんな言葉を思わせる姿の良さです。

蔦の実を金で描いていますが、控えめで目立ちません。

高台も薄い作りで繊細です。

蓋の内側に蔦の葉が一枚。

ほとんど使われていません。

蓋を開けても閉めても気品があります。

簡素な木箱です。

「仲谷東陽堂」さんは廃業され現在はありません。「別製」と書かれていますので、特注品と思われます。蒔絵なら京都、金沢と思われていますが、このお椀を見る限り輪島の蒔絵師さんの実力恐るべしです。今どこを探してもこんなお椀に出会うことはありません。残念なことです。

#漆器

#蒔絵

#入手

#コレクションログ

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    利右衛門

    2023/01/25 - 編集済み

    赤い色が艶やか〜。蓋裏の差し色も粋ですね。
    形も美しくて、手に取ってみたくなる素敵なお椀です✨

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      グリーン参る

      2023/01/25

      利右衛門さん、
      コメントありがとうございます。本当に漆黒の中の赤が綺麗ですね。おっしゃるとおりお椀のプロポーションも抜群です。あまり大きくないお椀だというのも、可愛らしさを感じさせる要因ですよね。

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