東西をつぐ道 ~ 重要文化財「西郷従道(つぐみち)邸」

初版 2024/08/19 23:18

改訂 2024/08/26 14:21

カンカン照りのなか、時間指定のガイドツアーに間に合わせるため、フラフラしながら1丁目の重要文化財「西郷従道邸」に着きました。

明治13年(1880)に東京上目黒に建てられた洋館で、海外からの来客用に建てられました。円形のバルコニーが印象的です。設計はフランス人レスカスと伝えられています。

建てられてから150年近く経過していますので、邸宅表面の木はそれなりに傷んでいますが、コバルトブルーの塗装が綺麗です。

竣工間もない頃のこの古写真からは、当初二階バルコニーはなかったようです。

この池を含めたあたり一帯の広大な土地を「西郷山」と言っていたようです。今の代官山あたりでしょうか(東京のことをほとんど知らないので、ご存知の方はお教えください)。

玄関入ってすぐ、西郷従道がお出迎え。

ガイドの方のご説明が始まりました。一階の応接室。来客はまずこの部屋に通されたようです。

素敵なタペストリーが掛けられています。

テーブルの上には西郷が亡くなった翌日、明治35年7月19日の新聞記事が置かれていました。

40歳頃の西郷従道。三船敏郎かと思いました。

なめらかな手摺ではありますが、急勾配のこの階段から二階に上がります。ここから先はガイドの方がいないと見られない未公開部分です。

階段を登り終えると右手に部屋が二つ見えます。まず左側の部屋に入ります。

二階主室です。

暖炉の額縁は瀬戸焼で、日本三景と富士山の絵柄になっています。和風ですね。むかしむかし、こんな青い絵柄の和風便器を見た記憶があります(笑)。

こちらは松島。

天橋立です。

宮島です。

天板は富士山ですが、鏡の影響で一部絵が欠けています。

暖炉上の陶器製の時計。

珍しい龍の文様入りの和風のソファーです。実際に座らせて頂けます。

足元には何と螺鈿細工が施されており、螺鈿好きの私はテンションが上がります(笑)。

ガイドの方に連れられてバルコニーに出てみます。素晴らしい見晴らし。

聖ヨハネ教会堂が見えます。

バルコニーの天井板はフランスから輸入した高級品。

二階主室となりの部屋。ちょっとしたティールームといった感じです。

クリームイエローのソファーに鉄紺色のテーブルクロス。配色が上品ですね。

この椅子も鹿鳴館で使われていたものですが、座らせてくれます。

パッと見には分かりませんが、手摺には植物の絵が描かれています。

とても手の込んだシートの生地です。

一階に降りて来ました。ダイニングです。

六人用のダイニングテーブル。

こんな感じで海外の要人をおもてなししたのでしょうか。

こちらも鹿鳴館で使われていたダイニングチェア。素晴らしく滑らかなネイビーのレザーが使われています。革フェチとしては大興奮!

菊の紋章入りです。ガイドの方のお話では椅子の中綿は馬毛とのこと。固めのクッションですが、座面、背面とも体をしっかりサポートしてくれて、座り心地は最高です。

天井も舶来の押し出し模様の鉄板です。バルコニーの鉄板よりこちらの方が高級品だそうです。

ダイニング横のティールーム。

こちらも鹿鳴館にあったイギリスで流行したバルーンバックチェア。明治18年(1887年)の製作です。フレームと脚には桜の蒔絵が施されています。この椅子にも実際に座らせてくれました。

決して大きな建物ではありませんが、見どころはいっぱいある西郷従道邸。20-30分の見学ではとても時間が足りません。

在りし日の鹿鳴館。1940年に保存を呼び掛ける声のある中、残念ながら取り壊されました。以下、ウィキペディアからの文章です。

建築家谷口吉郎は、鹿鳴館の滅失について、11月8日の東京日日新聞に「明治の哀惜」というタイトルで記事を寄せた。「明治に生れた人達が、自分の所持品を持ちよつて、それを小博物館にすることは出来なかったらうか。それこそいい明治の記念物となったらうに。明治時代の人から、次の時代に贈るほんとにいい贈物になつたことと思ふ」「新体制が活発な革新意識に燃えるものであるなら、それと反対に古い文化財に対しては極度に保守的であつて欲しいと思ふ」。谷口は後に博物館明治村の開設に尽力し、初代館長となった。

谷口吉郎氏のこうした熱い思いが明治村を作り上げたのですね。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    tomonakaazu

    2024/08/20 - 編集済み

    瀬戸焼の暖炉たいる縁、素晴らしいですねー。保存状態も良いです。こんな建築を、解体して移築する専門家はすごいなーと思います。これは、、、行かねば明治村!!

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      グリーン参る

      2024/08/20

      明治村の建物を見ると、とても大切に保存されていることが分かります。安普請の建築より、手間隙が掛かっている建物の方が解体、再建がしやすいのかもしれませんね。

      見学を終えて「また来たいな」と思わせてくれる施設です。というか朝から晩まで回っても、どこか必ず見逃した建物があるはずです(笑)。

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      レLEGOの日記

      2024/08/21

      というか、一日じゃとても回れませんよね〜。
      ほんと滞在施設が欲しいと思います🥲

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      グリーン参る

      2024/08/21

      レLEGOの日記さん
      ガイドさんの説明を聞こうとすると、目的の建物に決まった時刻に集合する必要があります。なにせ敷地が広いので、移動にも時間がかかります。綿密なタイムスケジュールを立てなければなりません。
      今回、坐漁荘、西郷従道邸、芝川叉右衛門邸のガイドを受けることが出来ましたが、呉服座までは手が(足が?)回りませんでした。

      アルハンブラ宮殿内に素敵なパラドールがあるように、「明治村内にも美しいホテル欲しいです運動」を展開したいです!

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      レLEGOの日記

      2024/08/22

      展示品?が建物だから広いのは仕方ないですもんね😅
      足腰を鍛えて行かないと、筋肉痛になりそう😁

      もっと入場者数が増えたら、本当に宿泊施設ができるかも?
      でも、よく考えたら人混みの中をまわるのは嫌だなぁ。
      悩ましいところです🤔

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    BACKDRAFT

    2024/08/20 - 編集済み

    代官山から北西に300m~400mくらいの位置に、「西郷山公園」というのがあります
    そこに建ってたとすると、西側に目黒川を見下ろす高台ですので、眺めは良かったでしょうね

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      グリーン参る

      2024/08/20

      BACKDRAFTさん
      お教え頂きありがとうございます。

      調べたところ、まさに西郷山公園一帯が西郷従道の所有地だったようですね。
      明治の元勲のお話はみなスケールがデカイです(笑)。

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