100年後の君も美しい~「東洋の宝石」旧帝国ホテルライト館

初版 2023/08/14 15:42

改訂 2024/06/14 12:02

ついにやって来ました明治村。ここを訪れることは私の長年の念願でありました。明治村は敷地面積100ヘクタールというとてつもない広さです(テーマパークとしては全国3位の広さ)。最近足の調子が悪い私にはなかなか酷なところですが、明治の建築をこれでもかというほど堪能できます。特に今年竣工100年となる旧帝国ホテル(「通称ライト館」)は夢にまで見た建物でした。

明治村到着後、真っ先に訪れたライト館。エントランス部分のみが移築されていますが、これだけでも大変な遺産です。移築に19億かかったそうですが、当時のケチな日本政府(佐藤内閣)は1000万の補助しかしませんでした。他は明治村の持ち出しでしたが、借金無しで完済したとは恐れ入りました。

15年前にこの本を買って以来、ずっとこの建物を見る事を楽しみにしていました。

ちなみに1890年明治23年)開業の初代帝国ホテルはこんな感じでした。通りに小さく人力車が写っているのがお分かりでしょうか。これはこれで立派な建物だと思います。

昭和40年頃の在りし日の帝国ホテル俯瞰写真です。眼の前が日比谷公園。二軒右隣には鹿鳴館がありました。鹿鳴館の解体を惜しんだ建築家谷口吉郎氏が、古い名建築がつぎつぎに無くなっていくのを危惧して帝国ホテル保存を訴え、明治村に移築がなされた経緯があります。

ライトの描いた帝国子テルの設計図です。

この日の最高気温は38℃、「道産子」という北方民族には過酷な気温でしたが、青空の下に立つ美しい建物に魅入ってしまいます。

ワクワクしながらエントランスに入ります。

薄暗いぐっと抑えられた低い天井から、突然解放されたような高い玄関ホール。

テーブル、照明もすべてライト本人のデザインです。

再現されたピーコックチェアーとダイニングテーブルの様子。

これが実際に並んでいたダイニングホール「孔雀の間」はこのような姿でした。ちょっとタイトなシートアレンジですが、夢のような空間です。

大谷石とテラコッタを使った彼独特のデザイン。「マヤ建築」をイメージして作られたとも言われています。大谷石のグレーとテラコッタの茶色は相性がとてもいいですね。左の白っぽい柱の石がオリジナル、右のやや茶色っぽいものが最近の復刻された石です。曲線を用いた超一流の建築家がガウディだとすると、ライトは直線を用いて建物に温かみを出す達人です。

大谷石の質感をライトは殊の外気に入っていたようです。

屋根の隅々にまで意匠が施されており、全体の統一感も申し分ありません。

栃木の大谷石採掘所跡は実際に見学できますが、ここもまるで古い神殿のような美しさ。

当時の帝国ホテルの内装写真を見ると、確かに「遺跡っぽい」雰囲気がありますね。

この中に小さな喫茶室があるのですが、ここから外を眺めます。奥にちらっと見えるのが「入鹿池」。

当時はこんな風に自然光が差し込んでいたようです。

帝国ホテルとは関係ありませんが、この建物の三階にはポーツマス条約の調印に使われた長机が展示されています。

長さは4.6メートルととても長い机です。見た処オーク製のようです。

この机の前に座る日露両国首脳の実際の会議写真ですが、ロシアのウィッテのふんぞり返った姿勢が印象的です。

どの角度からの写真を見てもロシア側は偉そうです(笑)。

日本人の画家が描いた条約締結風景。日本側の小村がいかにも「私達が勝った」という雰囲気を漂わせています。実際の写真とは異なる伝え方ですね。

知っていましたか? 近代日本のこんな歴史 | ポーツマス講和会議 ~小村寿太郎と交渉の「舞台裏」~

アジア歴史資料センターは、近現代(1860年代から1945年前後)の日本とアジア近隣諸国との関係に関わる歴史資料(目録・画像)をインターネット上で提供する電子資料センター(データベース)であり、国立公文書館で運営されています。

https://www.jacar.go.jp/modernjapan/p09.html

https://www.jacar.go.jp/modernjapan/p09.html

100年前の1923年9月1日の開業パーティーのさなかに関東大震災が起きました。倒壊しなかったこのホテルに被災者を受け入れたことはよく知られています。またパーティーに出されるはずだった食事は被災された方々に分け与えられたようです。ホールで私はしばらくボーっとしていました。よくぞこの部分だけでも残してくれたと谷口さんに心から感謝申し上げます。

往時の帝国ホテルを再現した素晴らしいバーチャル映像がありますので、ご紹介致します。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

Default
  • File

    レLEGOの日記

    2023/08/14 - 編集済み

    明治村広いですよね。
    子供を連れて行ったことがありますが、全部は回りきれませんでした。
    また行きたいです。

    返信する
    • File

      グリーン参る

      2023/08/14

      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通り本当に明治村は広いですね。移動は大変でしたが、全く退屈しなかったのでさほど疲労は感じませんでした。10時の開村から20時までおりましたが、とても全部は見ることが出来ませんでした。また近々訪れるつもりでおります😁
      見学した他の建物もいくつかアップしたいと思います。

      File
      返信する
  • File

    T. S

    2023/08/14 - 編集済み

    ポーツマス条約の米海軍工廠の机は本当に貴重な遺物だと思います。
    しかし、移築と言ってもここまでの建築物です。よくぞそこまで綺麗に復元して移築してるなぁ…と感心しますね。凄いですよね。工事をされた方々に感謝の念を伝えたいです。

    園内のSLもなかなか貴重です☝️

    返信する
    • File

      グリーン参る

      2023/08/14 - 編集済み

      T.Sさん
      歴史の証人である調印机はおっしゃる通り大変貴重なものだと思います。実物はやはり迫力が凄いです。

      明治村の建物は「本物」であることが最大の魅力です。「入場料が高い」というコメントをどきどき見かけますが、移築、再建、保存の膨大な費用と手間隙を考えると、これだけのものを2000円で見せてもらうのは申し訳ない気持ちになります。

      File
      返信する
  • File

    0214seiji

    2023/08/14 - 編集済み

    行きたいとは思っているんですが、ちと遠すぎるんですよね。
    車中泊覚悟でいくかな~。

    家族は絶対に同意しないな。。。

    返信する
    • File

      グリーン参る

      2023/08/14

      0214seijiさん、
      大丈夫です❗札幌みたいな遠くからでも行けるんですから(笑)。名古屋駅から1時間もかかりません。

      返信する
    • File

      0214seiji

      2023/08/14

      東京(西側)からだと中央高速で名古屋までいくか、
      東京駅まで行って新幹線か悩むんですよね。

      返信する
    • File

      グリーン参る

      2023/08/14

      明治村に到着してからの歩行距離を考えますと、新幹線一択と思います。到着した時に疲れていたら楽しめないような気がします😂

      返信する
    • File

      グリーン参る

      2023/08/14

      https://tetsudo-ch.com/11383352.html#:~:text=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%EF%BD%9E%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%8F,%E6%99%82%E9%96%9340%E5%88%86%E3%81%A7%E8%A1%8C%E3%81%91%E3%82%8B%E3%80%82

      返信する
    • File

      0214seiji

      2023/08/14

      列車の旅も魅力的ですね。
      でも到着した時に酔っ払いのオジさんになってる可能性が大です。

      返信する