花の王様 ~ 輪島塗「牡丹沈刻吸物椀」

初版 2023/01/04 13:41

改訂 2024/09/27 11:22

明治末期の輪島塗と思われる吸物椀19客ですが、元々は20客揃いだったと思われます。

少しオレンジかかったきれいな朱椀です。

微妙な湯焼けがありますが、状態はまずまずです。

蓋裏が焼けているということは、かなり頻繁に使われたお椀だったのだと思います。ただ外側の状態はとても良好で、大切に使われてきたことがお伺われます。

やや横にふっくらとした大柄なお椀です。外側は大変綺麗な状態です。

木地は大変薄いですが、蓋と身の合わせも隙間なく木地の狂いが見られないのは立派だと思います。

丸みのある椀の形状は牡丹の柄に似つかわしいです。

花弁の中の彫りはとても細かく、また彫りの間隔も正確で「花の王様」らしい堂々とした図柄。腕の良い沈金師さんですね。

花の周囲は茶の漆をうっすら塗っています。塗膜が薄いところは朱漆が透けています。

高台は薄くとても丁寧な作りです。縁の傷みなどは全くありません。

きわめてそっけない共箱(このあたりも輪島らしい)。二十客がぴったり入る大きさです。

お正月などの華やかな席に相応しいお椀ですね。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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