1930-1940年頃製作 TOM HILL ライディングブーツ
初版 2022/12/21 13:33
改訂 2024/11/06 17:33
英国のアンティークショップから購入した、1930-1940年前後の製作と思われるTOM HILLのライディングブーツです。全くのデッドストックで入手しています。ナイツブリッジにある1873年創業のTOM HILLはビスポークブーツの製作で有名な工房でした。
ブーツとブーツツリーです。ツリーは4つのパーツに分かれていますが、素材はポプラのようです。ポプラはドイツのハートマン(旧グリーンのシューツリーを製作していた会社)も使っていましたが、軽くてツリーとして最適な素材です。
コバは多少張っていますが、とてもスマートなラストです。トゥは穏やかなラウンドトゥ。カーフはマットな染色ですが、丈夫そうな印象です。
この時代はツリー自体が「工芸品」レベルの出来でした。これだけのサイズをブーツの形状に合わせるのは本当に困難な作業だと思います。
ウィールの目付もはっきりしています。厚めのシングルソールです。
ライニング部のTOM HILLの刻印です。シンプルですが、スッキリとしていてとても感じが良いです。
到着してアッパー部分の革を触っていると、ステッチが劣化していて簡単に切れてしまいました(涙)。70-80年経った靴では致し方ないことでしょうが、この先修理工房を国内で探さねばなりません。なかなか頭が痛いです。
1941年の同社のバウチャー。レギンス、手袋も扱っていることが分かります。物好きな私はこんなものまで探しています。
こちらは1945年のバウチャー。上部のデザイン、ロゴも変わっています。
こちらは年代は分かりませんが、同社の小冊子。1920年頃ではないかと推察します。
ハンチングコートのデザインもいかにも古いですね。
ライディングブーツの脱ぎ履きの際に使用するグッズも充実しています。
ブーツを専門に作る工房はもはや英国内にもほとんど残されていません。今やマックスウェルもフォスターもなく、ロブくらいしかライディングブーツを作れるビスポーク工房はないようです。
1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。
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