言葉は時代と場所を映す鏡
初版 2020/09/16 23:39
改訂 2023/04/06 12:01
先日購入した『殺しが静かにやって来る』ですが、旧版DVDにあったセリフが削られておりました。
主人公サイレンスに親指を撃ち抜かれた悪徳判事が「私をカタワにしてしまった」という部分です。
もう一点、サイレンスが言葉を発しないことに苛立った保安官に対して、夫の復讐を依頼した女が事情を説明するシーンでも、言葉が切り抜かれているように感じました。
(おそらく、「オシ」と言ったのでしょう)
同様のことは『大脱走』でもありました。「めくらじゃない」というセリフがカットされています。
確かに、差別的な用語なので、メーカーとしては面倒ごとは御免被るということで削除してしまう気持ちは分かります。
ただ、例えば『殺しが静かにやって来る』であれば、100年も前の雪降り積もる片田舎で、まともな教育を受けていない人間たちが使う言葉というものは、日本語に訳せば差別的で汚らしいものになるに決まっているわけです。
そういった空気感を伝えようとする意図があって、あえて差別的な言葉を選んで翻訳したのではないでしょうか。
そういえば、イーストウッドの『運び屋』で、主人公の老人アールが、車がパンクして困っている黒人家族に「ニグロ」と声をかけるシーンがありました。
でも、あの映画を見て彼が差別主義者だと思う人はいないでしょう。
ただ少し、時代遅れな人間なだけなのです。
言葉を言い換えただけで世の中が良くなるなら、いくらでも変えていって結構ですが、実際はどんなものだろうと、私は考え込んでしまうのです。
#教えて
ace
2020/09/22タブー化は良くないと思うのです。思考が停止して、結果、真実がボヤけてしまう。表現出来なければ真意は伝わらず、より誤解や疑念を生み争いを起こす種になってしまうと思うのです。日常生活の中での間違いは正せばいい。表現芸術の中でそれをやり始めてしまっては、間違いそのものを正せなくなってしまいます。
長文、失礼いたしました😆
3人がいいね!と言っています。
qqtys
2020/09/22正直なところ、現在こういった表現自粛は明確な意思を以て行われているとは思えないんですよね。
「文句を言われると面倒だから」「面倒ごとが起こると嫌だから」
というくだらない理由で作品を破壊しているように見えます。
「当時の世情を鑑みて残した」というなら良し、「時代を考慮しても許される表現ではないので削除した」という一文があれば理解は示します。
もちろん、我々消費者側も感情的に噛みつくのではなく、しっかりと時代への理解や製作者の意図をくみ取る努力をしなければならないわけですが。
3人がいいね!と言っています。
ace
2020/09/23仰る通りだと思います。
でも今後はこの傾向が強くなっていく様な気がしています(と、言葉選びに慎重になっている自分がいます…^^;)。
1人がいいね!と言っています。
tomica-loco
2020/09/22子供の頃読んだ、ちびくろサンボも人種差別受け日本では絶版になったと記憶していますが、
7人がいいね!と言っています。
qqtys
2020/09/22長い間絶版だったようですが、最近は復刊して売られているようですね。
私は差別的な作品だなんて思ったことは無いのですが、結局どう捉えるかは時代と人に委ねられるということでしょうか・・・。
6人がいいね!と言っています。