戦闘メカザブングルと湖川友謙の思い出。
初版 2018/05/22 09:55
改訂 2022/12/20 13:53
こんにちは、あゆとみです。
https://muuseo.com/cosmic-ace/items/581#!page-2
うわあっ、懐かしい!!!
ミューゼオの皆さんのコレクションをブラウズしていたら、このアルバムを見つけた。
1982年に放映されたアニメ、戦闘メカザブングルのサントラ。
子供の頃にはまった思い出のアニメの1つだ。
一気に色々思い出して、書かずにはいられなくなった。
まずはオープニングテーマ曲疾風ザブングルを聴きながら書きはじめよう。(動画は短いバージョン)
https://www.youtube.com/watch?v=Gn0hTTxqlIc
疾風のように〜
ザブングル!ザブングル!
幼少期の記憶は図太く、強い。
数十年を経た今でも歌詞がすぐに出てくる。
ザブングルで一番に思い出すのは、湖川友謙の絵だ。
幼少期に私が憧れた三大巨頭アニメーター、湖川友謙、天野喜孝、安彦良和のうちの一人だ。
彼らが私にとっての絵の先生で、実際によく絵を真似して描いていたものだ。
小学校高学年になると、またもや強く魅力的な画風を持つ美樹本晴彦もここに入りそうになるのだが、三大巨頭への愛が強すぎたのだろう。師匠たちを裏切る気がして(勝手に弟子入り)「そうやすやすと入れちゃダメよ!」とばかりに頑なに心への侵入を阻止しようとしたものだ。(まあじきに白旗をあげることになるのだが)
好きなアニメーターの作品だと、サントラの楽しみも倍増だ。
まず、ジャケットにお目当のアニメーターの原画が使われているだけでテンションが一気に上がる。
アニメ版の絵じゃなくて、原画であること。これがポイントである。
インクの滲みや、筆使いが感じられる原画、これを心ゆくまで味わいたいからだ。
湖川友謙の絵の何が魅力かというと、手足の描き方が独特だと感じていた。
アニメのキャラにいがちな、ひたすら細くて長い棒のような手足ではなく、丸みを帯びていて、立体的で、肉感的なのである。
当時は深く考えはせず、ただその身体の描き方、絶妙なラインに魅入っていた。
だが、彼の経歴を読んでみたら、元々は彫刻家志望だったときいて納得がいった。
立体を作るように描いた線なのだと。
https://muuseo.com/cosmic-ace/items/580#!page-2
思い出すのはアメリカのアートスクール時代の先生だ。立体感にとにかくこだわる西欧アートを教える先生が口を酸っぱくして言っていたことがある。
「外から描くんじゃない。内側から描きなさい。」
「骨が中にある手足を描きなさい。筋肉の動きを意識しなさい。ふにゃふにゃした中に何も入っていない手足を描くな。」
湖川友謙がキャラクターの身体を描く線はまさにこの「内側から」描いたラインだと思う。内側の骨格や、筋肉の動きを感じながら、線で表現しているように思える。
例えば、アニメキャラクターの横顔はとかくシンプルになりがちだが、湖川友謙の描く横顔は頬骨、眼窩など、ベースに頭蓋骨ありきのラインで描かれている。基礎デッサン力がずば抜けて高い人なのだとわかるのだ。
https://muuseo.com/cosmic-ace/items/583#!page-2
この辺でサントラに収録されている挿入歌で、当時ヘビロテで聴いていた記憶に残る挿入歌、MIOのわすれ草を聴きながら書くことにしよう。
https://www.youtube.com/watch?v=_IvjWnuFAos
湖川友謙が描いたヒロインの中で、当時私が一番可愛いと思っていたのがザブングルのエルチ・カーゴだ。
パステルグリーンの目と髪色の可憐な容姿。
お金持ちのお嬢様で、勝気でおきゃん、おまけにナイフ投げの名手。
とびきりキュートな彼女が、ジロン・アモスという、まんまるのおまんじゅうのような顔(実際に劇中のあだ名もどまんじゅう)の一見カッコ良くない主人公をもう一人の美女ラグ・ラウロと取り合うのが子供心に疑問で仕方がなかった。
前半で彼女とラグがジロンを巡ってツンケンする度に「あ、またやってる。でもなんで???」と。
だが、そんな平和な小競り合いが恋しくなるような一大悲劇がエルチに訪れる。才気煥発な個性の彼女が、なんと洗脳されて別人になり敵になってしまうのだ。常にキラッと光っていた目からも光が失われるという悲劇的な展開は、みていて本当に辛く、感情が大いにかき乱された。
その人がその人で無くなる恐ろしさ。
個性が抹消される恐怖。
この作品は私に洗脳への恐怖感を骨の髄まで染み渡らせた。
あの後半があるがために、いまでもザブングルの終盤を見返す気にはならない。気合がいるからだ。
https://muuseo.com/cosmic-ace/items/584
劇中挿入歌で忘れ草と並んでよく聴いていたのがHey Youだ。
次に紹介する動画では、この曲をBGMに洗脳から解かれた後のエルチをジロンがお姫様抱っこで全力疾走する最終話のシーンが盛り込まれている。
これをみてみると自分の中の不思議な変化を感じた。
エルチを軽々と抱き上げ、生き生きとした表情で軽々と疾走するジロン。
やはり、記憶通りのまん丸いおまんじゅうフェイスだ。
だけど、年月を経た今の目に映るジロンは、強さ、優しさ、あふれんばかりの生命力を放って見える。
ーあれ、ジロンってこんなかっこよかったっけ?
数十年ぶりに、彼がなぜ主人公で、エルチとラグが彼に惚れたのかの謎が解けた瞬間であった。
https://www.youtube.com/watch?v=F1t8jwVvUzw
最後は、失くしたものへの切なさと未来への強い希望を感じるエンディング・ソング乾いた大地を聴いてお別れにしよう。
https://www.youtube.com/watch?v=fWfVQKLIKWA
ザブングル、やっぱりまた見てみようかな〜
https://muuseo.com/u-zool/items/195
#戦闘メカザブングル
#湖川友謙
#Tomonori_Kogawa
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ace
2018/05/22素晴らしい作品レビューありがとうございます😊
おっしゃるように単にカッコいいではなく、力強く優しく主人公でした。その直向きな姿勢には"走る"が似合ってたと思います。主題歌や挿入歌は物語の世界観をしっかり伝えていて、バッチリ一体となって印象付けられました😆富野監督の絶妙なカットを動かしていく湖川友謙の画力も最高でした!時間作ってまた観ようかな🤔
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ミューゼオスタッフ
2018/05/23こちらこそ、aceさんのコレクションのおかげで湖川友謙の絵の素晴らしさに再び浸れて、ザブングルの面白さを再確認できました〜😋どうもありがとうございます!主題歌も挿入歌も本当にあの世界観にピッタリでしたよね👍ジロンのかっこよさに今更ながら気づいた記念にザブングルをまた見返してみたいです。他にも新しい発見があるかも✨
3人がいいね!と言っています。