本:テレビゲーム 電視遊戯大全 TV-GAMES
初版 2021/12/20 02:44
編者 :テレビゲーム・ミュージアム・プロジェクト
発行所:株式会社ユー・ピー・ユー
発行日:1988年5月30日 第1刷発行
大きさ:縦26.6cm 横18.5cm (カバー:縦26.9cm 横18.8cm)
テレビゲームに関する様々な情報、解説、見解を集めた、事典なのだと思います。
だけど、それらがただ順番に並んでいるだけのものではない。
四種類の異なる内容の文章が、一緒に読めるように工夫されている。
その工夫がすごいのです。
本を、表紙を正面に重箱のように上下三分割し、
一段目に、テレビゲーム全般の紹介(概要、成り立ち、受容のされ方、動作環境、ゲームの種類など)
二段目に、ゲーム制作者、制作会社の紹介
三段目に、「エポックメイキングな」テレビゲームの紹介
と、段ごとに違う内容の文章を載せる。
四種類目の「長めの読みもの」だけは例外で、本の後半で、一段目と二段目を合わせた段に載せる。
前半は小さな本が縦に三つ、後半では縦に二つ並んでいるよう。
製本がリング綴じなので、それぞれの段でページを180度開くことができる。
そして、文章はすべて、ページの区切りでぴったり収めてある。
読む人は、各段でお好みのページを開いて、内容を照らし合わせながら読むことができるのです。
ハイパーテキストの参照機能を本で実装したものであり、情報を同時に示せるように造本した、手作業ありのデータベースだとも言えるでしょうか。
ハイパーテキストは、今ではインターネットのブラウザで当たり前にできていることですが、当時はまだパソコンやネット環境も一般にはない頃で、だからこそこのように本で作ったのかも。
また、読む人が自分のページを作るという操作が、ゲームに近いような気もしなくもありません。
わかりませんが、とにかくもすごい着想のうえ、それを実際に作ってしまったかと感心してしまう。とても面白い本です。
紹介しているゲームは、世界最初のテレビゲームから、当時最新の業務用、パソコン用、家庭ゲーム機用まで様々。
さらには、会話や書道、音楽制作、ストレス減少など、ゲームの範疇からはみ出るようなソフトまである。
「長めの読みもの」では、テレビゲームの開発者だけでなく、SF批評家、コピーライター、コンピュータ・アーキテクト、小学生、精神科医、テレビプロデューサー、美学者、本の編集者の随筆やインタビューもあり、テレビゲームへの様々な視点を示している。
1988年当時、夢中でコントローラーを握りしめ、また、テレビゲームに次々と新しい技術や表現が出てきてわくわくしていた頃を思い出します。
その後には、家庭用16ビットゲーム機発売、携帯ゲーム機発売、格闘ゲームの流行、3D描画、次世代家庭用ゲーム機、ウィンドウズ95、インターネットと続いていくことになるわけですが……。
そろそろ現在の、2021年版を作ってほしいですね。でも、いまではこういう形で作られはしないかな。
#テレビゲーム・ミュージアム・プロジェクト #ユー・ピー・ユー #UPU #テレビゲーム