ルビーとサファイヤ (パルティア王国の王女達の選択)
初版 2019/01/08 22:22
改訂 2019/01/09 00:34
現在のイランの位置に存在した、古代王朝パルティアの第17代目の王コラムナス3世には、二人の王女ルビリアとサフィーアがいました。この二人、少女時代はとても仲の良い姉妹として有名な王女達でした。ある日コラムナス3世の元に、ペルシャ商人が訪れ、王のために様々な貢物を献上したのですが、その献上品の中に七色の異なる色を持つ宝石が含まれていました。
コラムナス3世の御后は、あまり宝石には興味が無かった為、これらの7つの宝石は王女達の手に渡るはずでした。しかしその日の朝、長女ルビリア王女は、前夜の晩餐会における態度の悪さを王から叱責され謹慎中。そのため王は特に考えもなく、これら全ての宝石を次女サフィーアに渡してしまったのです。
次女サフィーアは、これらの宝石を様々な場で身に着けていたため、これが長女ルビリアの目に留まるまで時間はかからなかったようです。そしてこの事実が長女ルビリアの嫉妬を生み、それが大きな災いの火となるのも、それ程時間はかかりませんでした。この争いは紆余曲折がありましたが、最終的にはパルティア軍の将軍達までを巻き込み、内乱一歩手前までいったようです。
当初コラムナス3世は、この争いの原因が次女に全て渡してしまった宝石にあるとは気付いていなかったようですが、内乱を恐れた宰相が調査した結果、ようやくこの事実に行き着いたようです。
コラムナス王は、このあまりにも愚かな原因に頭を痛めたようですが、そもそもの原因は王にあった訳で、一頻反省した後に事態収拾に動く事になりました。そして王は、次女サフィーアに7つの宝石の内3つを、ルビリアに渡すように勅命をだし、これによりルビリアが、宝石の半分を手にする事となりました。しかし長女ルビリアは、本来であれば3つの宝石を選ぶ権利があったにも関わらず、たった一つ赤色の宝石を選んだだけで、残りは全てサフィーアに渡しました。そしてこのルビリア王女の謙虚さが、結果的にルビリアとサフィーアの仲を元通りに戻す事となりました。
この時、ルビリア王女が選んだ赤い宝石の事をルビリアの石という事で「ルビー」、そしてそれ以外の色の宝石をサフィーアの石という事で「サファイヤ」と呼ぶようになったわけです。また後に、科学が発展してから検証が進み、より詳細な事実が明らかになったのですが、この時商人が献上した宝石は、全て同一種類の宝石だったようで、これらの宝石の事を、コラムナス3世の名前から「コランダム」と呼ぶようになったようです。
現在では、赤いコランダムの事をルビー、それ以外の色のコランダムの事をサファイヤと私達は呼んでいますが、これらの名前の起源は紀元前のパルティア王国の時代にまで遡るわけで、非常に歴史のある宝石と言っても過言ではありません。
また晩年、赤い宝石が好きなルビリア王女の元に、献上品としてピンク色の宝石が贈られたようですが、このピンク色の宝石にはルビリア王女は惹かれなかったようです。そのためピンク色のコランダムは、現在でもピンクサファイヤと呼ばれ、ルビーとは呼ばれません。
現在ではルビーの赤い発色は、コランダムを構成するAl-O八面体のAl3+の位置をCr3+で1%程置換する事で得られる事が分かっており、この量が0.1%程ですと赤い発色が十分ではなくピンクサファイヤになる事も知られています。ですからルビリア王女は、一目宝石を見ただけでCrの量が本来の量に足りない事をこの時代に見抜いたわけですから、非常に確かな目を持っていたとして、現在の分析化学の研究者達も賞賛しているようです。
参考文献
ガセネッタ・マカーナ著 「不思議な宝石の歴史」 民明書房刊 (1961年)
#宝石
#物語
#民明書房
テッツァライト
2019/01/08これは初めて耳にしました!
「真っ赤なコランダムがルビーで、それ以外がサファイア」なんて随分と大雑把な分け方だな・・・と感じていましたが、その秘密がルビリア王女の選択にあったとは😮✨
「赤」には傲慢な印象も感じていたのですが、このエピソードを聞いて少しだけイメージが変わりました😄
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luhna-009
2019/01/09テッツァライトさん!民明書房の本ですよ!
それと著者名…。
既に倒産してしまった書房ですし、非常に古い本のため
落丁も多く、私の手元にもほとんどページが残っていないのが…。
ただ私が暇な時に、新しいページが創さ…ではなく、蔵から見つかるかもしれませんので
その際には、違う宝石のエピソードが生まれ…ではなく、転記できるかもしれません。
その時は是非、物語を楽しんでもらえたらと思います。
とはいえ、部分的には真実が混じらなければ物語として成立しないので
結構頭を悩ませなくてはならないため、本当に時間ある時でない限り
新しいページが見つからなさそうです(笑)
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テッツァライト
2019/01/09 - 編集済みこれって何かのネタですか😅民明書房って初めて知りました(笑)
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luhna-009
2019/01/09民明書房は、1980年代頃の漫画「魁、男塾」+同じ漫画家の作品に
何度も出ている架空の会社でして…。漫画中では、この架空の書籍を使って、
荒唐無稽な説に真実味を帯びさせていました。
ある意味、昔から創作に真実味をつける典型的なネタだったりします。
とはいえ漫画中でもそうだったのですが、ネタは結構真剣に作りこまれており
実際に大人が出版社に抗議したようなケースもあったようで…。
真面目にネタを作る事が大前提のため、
結構創作物語を作るにも時間がかかっていたりします(笑)。
ということで、今後もこの種の創作物語を宝石関係で書いてみようかな…
と思っていますので、創作だと思って楽しんでもらえたらと思います。
一応今回の話も、宝石については本当の事を書いていますから、
笑って許してください。
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テッツァライト
2019/01/09そんな壮大なネタ文化があったのですね😆
お恥ずかしながら男塾すら知らなかったもので、すっかり感心しきってしまいました(笑)
ちなみにルビリアとサフィーアのくだりは創作ですか?
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luhna-009
2019/01/09いえいえ、こちらこそ騙す事になってしまいまして…^^;
ルビリア&サフィーアの部分は、全て創作です。
王様の名前は、○○○スのようにパルティア人らしい名前にしてあるのですが、
(勿論、この王様も創作です)
多分パルティア人の女性の名前は、
「ムサ」とかそういった感じだったと思いますので
○○○アという名前は無いような^^;
時々こうやって架空物語を作ったりする事は好きなので、
これからも、こんな感じのネタで物語を創作しているかもしれません^^;
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テッツァライト
2019/01/09とんでもございません、こちらこそ肝心な「著者名」を読み飛ばすほど詰めが甘いもので😅
それにしてもかなり精巧に練られているのですね~😮
これで楽しみ方を心得ることができましたので、次回作も心待ちにしております(笑)
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Kyoryu-mokei
2019/01/09民明書房は古代から日本に受け継がれてきた伝承を集めた記録の書です。
世界的にも類を見ない秘話中の秘話の出来事を紹介した為
当時、集英社が民明書房と独占契約を結びました。
新たな事実が発見されるたびに集英社より発信された事は
現在40代後半を中心に語り草となっています。
昭和の時代のジャンプを大事に保管している、または愛読版を
持っている方を知っていれば真実に近づくことが可能ではないかと思われます。
いい時代に生きてよかった・・・。
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luhna-009
2019/01/09実際に民明書房ネタを自分で作るのは結構大変なんですよね。
ある意味、真実味を混ぜて創作物語を作らなくてはいけませんので。
そういう意味では、あの漫画での民明書房ネタは
今思い出しても本当に上手に作りこんでいたな…と感心します。
私もそうでしたが、本当にいい時代に生きていてよかったな…と思っています。
ゴルフのネタなんて、今思い出しても笑えますしね(笑)。
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