文庫形波文(皇太子御訪欧)

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当時皇太子であった裕仁親王(昭和天皇)は、大正10年(1921年)3月3日から9月3日までの6ヶ月間、軍艦「香取」でイギリスをはじめ、フランス、ベルギー、オランダ、イタリアのヨーロッパ5か国を歴訪した。当時のヨーロッパは第一次世界大戦後間もない時期であり、多くの戦跡も訪ねられている。日本の皇太子がヨーロッパを訪問したのは初めてのことであり、日本国内でも大きな話題となった。
後日、昭和天皇は、再訪欧前年の昭和45年(1970)9 月、静養中の那須御用邸で、記者からそれまで最も印象深かったことは何かと尋ねられ、即座に「それはヨーロッパ旅行だ」と答え、「あの旅行の体験はその後の私に非常に役に立っていると思う・・・前のヨーロッパ旅行の時とどのように変わっているのか、比較する意味でもぜひ行きたい。しかし、内外の事情があるのでむずかしいと思っている」と述べている(『朝日新聞』1970.9.17 )。

文庫形波文 ボンボニエール
皇太子外国御訪問帰国記念 午餐(大正10年(1921)9月)  
 5.2×3.9×2.0
銀製、刻印「純銀 服部製」

★シンプルな文庫型の側面に波文を入れ渡海を象徴した意匠、他にもう一種、房付きのものも存在する。

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