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『妖星伝』全七巻 / 半村良《講談社文庫》
講談社文庫より1995年に発行された『妖星伝 第7巻「魔道の巻」』です。半村良/著。ISBN4-06-185908-0。
“SF伝奇超大作ついに完結!田沼意次の時代。鬼道衆の分裂と争いから現われ出た闇の歴史は、いま、無窮無限の世界を駆ける霊船黄金丸によつて宇宙の進化へと語り継がれる。互いの生命を啖(くら)い合う妖星=地球から虚空の巡礼に旅立った霊船を待ち受けるものは何か。終章で明かされる進化の涯に至る形態とは?(あらすじ紹介より)”
半村良先生は、『石の血脈』『産霊山(むすびのやま)秘録』『黄金伝説』などのSF伝奇小説、『戦国自衛隊』『およね平吉時穴道行(ときあなのみちゆき)』のSF作品、人情小説、風俗小説など幅広い作品を著された方で、それぞれのアイデアの斬新さは類を見ないものがありました。『戦国自衛隊』は、後にブームになった仮想戦記小説の元祖的な作品と言えるでしょう。
この『妖星伝』は、昭和50年の第一巻「鬼道の巻」から完結までに20年を要した大長編です。私は中高生時代は市立図書館でそれぞれの巻を借りて読んでいました。
『産霊山秘録』のヒ一族のような、始祖「外道皇帝」の意思を守り続けてきた異能力者の一族・鬼道衆とその分裂抗争、それを見守る僧侶・日円や武士たちの話に終始するかと思いきや、あらすじにあるように鬼道衆は、一族の悲願であった“黄金城”への転移を果たし、“黄金城”は日円とその弟子を乗客とする霊船“黄金丸”と化し、地球の歴史に深く干渉してきた補陀落(ポータラカ)星人「外道皇帝」に会って、その真意を確かめる悠遠はるかな宇宙の旅を、当時の地球トップレベルの知性である日円に、仕組まれたかのように、与えることになります。
星の旅の中で、人類はどう進化していくのかという命題を議論の中で描き出し、あたかも映画『2001年宇宙の旅』の最終章「木星と無限の彼方」を文章で表現したような哲学的な、それていて飽きさせない議論を表現しています。最終的にいろいろな伏線を回収していく展開は、私は面白いと思いました。
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