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レンズ設計者から見た、YASHICA ELECTO 35
YASHICA ELECTO 35 初代 昭和41年(1966年)発売。
YASHINON-DX (4群6枚 ガウス型)の描写について
絞り開放では画面周辺部に難点があるが、絞るにしたがってよくなり、F5.6では非常に良い値を示している。実写の結果も、開放では背景の環状ボケや周辺部の像の乱れが認められたが、少し絞るとたいへんシャープになり、ボケ味もすなおであった。このレンズの設計者は、開放時の性能をいくらか犠牲にして常用絞りにおける高性能をねらうという主義のように見受けられる。
**1968年アサヒカメラ4月号 第130回ニューフェース診断室 P.247
大口径レンズでもっとも注目したいのはバックなんです。バックの出方をどうするかということで、計算だけでなく投影像も注意しました。だから投影で見るときは、少しピントの合ったところ、少し外したところの両方を見る。それによって収差の取り方が判断できた。<中略> たとえばゾナーは、非常にコントラストはいいかわりに非点収差、非点隔差が出る。それを少し倒してやれば両像がくっついてくる。だから収差としては、わりあい収斂傾向の収差をもたせていた。収斂することによってバックがきれいに写る。そういうことが多少、わかったような気がした。私はいまも設計をやっていますが、その部分も見ていますよ。
**「郷愁のアンティークカメラIII・レンズ編」(朝日新聞社)1993年 P.127
ヤシノンの高い描画性能は、YASHINON-DXの開発に携わった、藤陵厳達氏の功績が大きく、二眼レフ時代のYashimar、Yashikor、距離計時代のYASHINON、一眼レフ時代からのAutoYASHINON、YASHINON-DX、Color-YASHINONなど、機会があれば紹介したいと思います。