ベンチャーズ 国内盤ディスコグラフィ ジャンボ・シングル編
初版 2024/09/17 06:31
1970年代末期より、12インチ・シングル(ジャンボ・シングル)なるものが登場した。45回転による音質の良さと、12インチ(30cm)・サイズをたっぷりと使ったロング・バージョンや別テイクといったことを売り物としていた。
ベンチャーズも2枚だけ存在しており、どちらも1978年11月5日に発売されている。
個人的な記憶で恐縮だが、この時代に私はレコードの問屋で仕事をしていた。当時、基幹業務はコンピュータ化されていたが、いわゆる商品の単品管理はまだ導入されていなかった。どうしていたのかと言うと、メーカー別・定価別にコード化し、その単位で売上も仕入れも管理されていた。
具体的には、こんな感じ。
メーカー コード
クラウン 01
ビクター 02
フォノグラム 03
コロムビア 04
東芝 05
キング 06
↓ ↓
定価 コード
¥500 50
¥600 60
¥2,000 20
¥2,200 22
¥2,300 23
¥2,500 25
↓ ↓
従って売上の登録は、LPの場合、LP箱に入れられた出荷商品の「背マチ」に印刷された品番を見て、即座に「読み手」がコードに変更して読み上げ、それを「打ち手」がパンチ・テープ連動のレジスターに登録していた。具体的にはこんな感じ。
OQ-7023 04-23(コロムビアの¥2,300)
EAS-81056 05-25(東芝の¥2,500)
SKD-1036 06-20(キングの¥2,000)
いちいち商品を引っ張り上げて帯を見ないと定価が判らない、などといったことでは非効率で仕事にならなかった。つまり、読み手は基本的に全メーカーの品番体系と定価を理解していることが求められた。(当然検品者も同様)
高度な職人技と言えるかもしれないが、やっている者にとっては結構楽しかった。
そんな中で、「危ないレコード」というものがいくつか存在した。例えば当時多少残っていた25cm盤。これはLP箱に普通に入れると、サイズが小さいので30cm盤に埋もれてしまい、見逃されてしまう。そしてこの「ジャンボ・シングル」も「危ないレコード」だった。サイズは30cmだから小さくて埋もれることはないのだが、背マチがないため、箱にぎっしり詰まっていると、やはり見逃されるリスクが高かった。
そこで、こういう「危ないレコード」は、本来の並び順を無視し、箱の先頭に「斜めに傾けて入れておく」というのが現場のルールとなっていた。
1980年になると、全国拠点が順次単品管理化され、それに伴って様々な職人技が不要になった。