月報 東芝(東芝音楽工業)東芝Record Monthly 1961〜1962

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東芝は 1961年4月〜9月の半年間、月報の発行を休止しています。その代わりに発行されたのが「東芝Record Monthly」です。月報のような小冊子ではなく、タブロイド判(日刊ゲンダイや夕刊フジのサイズ)の新聞になっています。おそらく、単なる新譜レコードの紹介だけでなく、アーティストの近況,来日アーティスト情報,海外のレコーディング現場の様子などを幅広く伝えたかったのではないかと思います。実際、読んでいて楽しいものが多く、今となっては貴重な記録も少なくありません。
第1号が1961年3月で、10月から月報が再開された後も発行は続いており、私の手持ちは1962年8月号まであります(もっとあるかもしれません)

1961年9月号では、東芝音工録音課の方の「欧米をみてきて」と題するレポートが掲載されています。東芝自慢の赤盤(エバークリーン・レコード)を海外に持っていったところ、「ヨーロッパでは羨ましがられたが、アメリカ人は興味を示さなかった(ホコリがついたら捨てれば良いと思っている)」等と書かれています。

また、同じ61年9月号には故山本嘉次郎氏による「ボクの東京の音」と題するエッセイが掲載されています。「東京の音」というのは1959年に東芝が制作したLPのことで、隅田川のポンポン蒸気船,両国の花火,チンドン屋,夜回りの拍子木等々、当時東京で聞かれた音をフィールド録音したドキュメンタリー盤です。今となっては聞かれないものも多く、貴重なレコードになっていました。現在でもCD化されているのですが、残念ながらモノラル・バージョンのみのようです。(当時はステレオ盤が発売されていました)

1962年6月号では、5月に来日するボビー・ヴィー・ショーのことが伝えられています。この時は、ジョー・アン・キャンベルやベンチャーズ(ボブとドンの2人だけ)と共に新宿コマで公演を行ったのですが、共演した日本人アーティストの詳細(弘田三枝子,スリー・ファンキーズ,克美しげる,ベニ・シスターズ等々)や、チケットの値段等も記されています。

このように情報源としてはとても面白いものだったのですが、読み終わった新聞は古紙としてまとめて捨てられるのが定め(そのせいかどうか判りませんが)、あまりヤフオクなどにも出て来ないようです。

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