滋賀郡西国三十三所
初版 2020/11/26 00:11
「滋賀郡西国三十三所順礼歌」は、江戸時代前 期より堅田郷士で茶人・作庭師でもあった北 きたむらゆうあん 村幽安( 祐 庵とも)家に伝来したもので、裏表紙・同見返しに、文政 9年〔1826〕10月、その子孫である「北 きたむらよのすけまさゆき 村與之助政行」が 15歳の時に書いたとの墨書がありその資料より札所をピックアップ。
江戸時代後期には、滋賀郡限定の 三十三所巡礼が成立していたといえそうです。
そして、その札所となった寺院と御詠歌の一覧をみてみ ると、堅田満月寺(浮御堂)から始まり、下阪本の聖衆来迎 寺まで、北は和邇(わに)、南は坂本と狭い範囲を巡るものとなって いたことがわかります。今回照会の史料とは別に、同様の 滋賀郡三十三所巡礼に関する刷物(年未詳・個人蔵)には、 札所と札所の間の距離数が書き込まれていて、計算すると 約38キロメートルになります。一日で回れなくもない距離 です。ただし、幕末・明治維新期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく) や、明治初年 の廃寺令により、現在は確認できない寺院もあります。
満願できない霊場と言えそうですが、現存する札所、現存しない札所整理はまだできていません。情報を求む。
1番 堅田 満月寺 まんげつじ
びわの海 くまなきかけは 浮御堂 もれぬちかひわ みつるつきてら
2番 堅田 妙盛寺 みょうせいじ
松風の 音は緑の 妙盛寺 もらさすすくふ みてにすかりて
3番 堅田 尊法寺 そんぽうじ
後の世を 頼心ハ 尊法寺 すくひの網の ほかにもらすな
4番 堅田 寿寧寺 じゅねいじ
そのかみは 幾よ経ぬらん 寿寧寺の 庭にたへなる 松風のをと
5番 堅田 福聚院 ふくじゅいん
今のよに よわひもながふ 福聚院 まいりてゐのる のちの世のため
6番 今堅田 海蔵寺 かいぞうじ
そこふかき すくひののりの 海蔵寺 まいりてむすぶ ゑんはたのもし
7番 今堅田 圓成寺 えんじょうじ
罪ふかき まよひごをひく 観音の ミたうをかミて みちひきをゑん
8番 真野中村 法界寺 ほっかいじ
あわれミの 心へたてぬ 法界じ むすぶゑにしわ 真野中村
9番 真野沢村 宮寺神宮寺 みやでらじんぐうじ
はからすも ちかひのかつに 神宮寺 入ルわきゑゆく つみもむくひも
10番 真野沢村 浄国寺 じょうこくじ
西のそら 仏のさとの 浄国寺 ゆきてのほらん はすのうてなに
11番 真野北村 願生寺 がんしょうじ
廻りきて 二世のねがひハ 願正じ 末たのもしき 身こそうれしき
12番 小野 花達院 かだついん
むすひをく ゑにしくちせす をのつから 観音堂の ながきめぐみに
13番 小野 上品寺 じょうぼんじ
上品の 寺のはちすの 花ひらき このよからミる 露のすみかを
14番 和邇高城 報恩寺 ほうおんじ
父母の めくみをかゑす 報恩じ 誠をつくす 心高しろ
15番 和邇北浜 千手院 せんじゅいん
今爰に たつねきたはま 千手ゐん 岸うつ浪に はらうつミとか
16番 普門 専修院 せんじゅいん
ゑらびなく 五きやくの罪も 十悪も 専修のいんに きゆる露霜
17番 普門 光明寺 こうみょうじ
へたてなく てらも仏の 光明寺 直のちのよの 道しるべなり
18番 佐川 六時院 ろくじいん
のちのよを ねがふ心は 六時いん とのふるみちハ さ川なきなり
19番 伊香立下在地 安養寺 あんようじ
後の世に ゆきてうまれん 安養じ たのミをかくる あさないふなり
20番 伊香立北在地 宮蔵寺 きゅうぞうじ
幾度も たのみをかくる 宮ぐらの 寺にあゆみを はこひこそすれ
21番 伊香立北在地 昌翁(峯)院 しょうぼういん
有かたき ミのり近江の 昌翁いん きくとひとしく ねがひのちのよ
22番 南庄 積善院 しゃくぜんいん
年月を かさねてゐのる 積善いん なそかはつれん 弥陀のミくにへ
23番 大野 如意寺 にょいじ
難事も こゝろの如 かのふてら いのるしるしは 有明の月
24番 雄琴 普門寺 ふもんじ
ひとたびも まいりてむすふ ゑんの綱 あまねきかどの 寺にくちせぬ
25番 苗鹿 法光寺 ほうこうじ
世の中に はなつひかりの 寺なれは 草葉の露も るりとうるをふ
26番 大野 十輪寺 じゅうりんじ
神仏 しもハならくの そこまても ゐちミののりの とうのわの寺
27番 上坂本 大正寺 たいしょうじ
ひとゝせを かそゑてみれは 大正の つきひのひかり たゑぬともしひ
28番 上坂本 生源寺 しょうげんじ むまれたる みなもと寺に きてみれハ 心のにこり すみわたりゆく
29番 上坂本 波止土院 はしどいん
此しやはの はつくの海を のりの舟 こへて浄土へ 波止土のゝ寺
30番 上坂本 普門寺 ふもんじ
道筋は をふきちかひの 普門てら ゑらばすすくふ 大ひなりけり
31番 下坂本 真光寺 しんこうじ
たねんなく みのりの道を 真光寺 ゆかん願ひハ 極楽のきし
32番 下坂本 観福寺 かんぷくじ
いつまても ねかふ心は 観ふくじ うき雲はれて ゐ出るつきかけ
33番 下坂本 来迎寺 らいこうじ ついにゆく
弥陀のみくにゑ 来迎寺 ミそぢみところ まゐりをさめて
※「滋賀郡西国三十三所御詠歌」の表記に従い列記しました。
21番の昌峯院の所在地は、正しくは生津です。
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法見
西国三十三ヶ所を基調にそこから派生した観音霊場を周り願掛けのため千観音を目指してちょこちょこ神社仏閣をお参りしております。朱印集めが面白く無節操に集めてはいましたが思い直して
限定や特別な朱印は減らす方向で考えているので少なめです。
定期的に座禅などして自分を律しながら、日々ほどほどに生活しております。
モノグサ、ナマグサではありますが一応、三帰依、五戒、十善戒を受けて戒名・法名「法見」を賜っていますので、仏教的な活動はこちらを名乗ります。
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yogurt
2020/11/28おー、これは確かに1日かけたら回れそうな。しかし現地での情報収集になると時間がかかってしまいますものね。地域で管理のお寺もありそうですし…。でも私も行ってみたい。知人にも聞いてみます!
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