描いた方が悪い?でも、信じてたんだぜ。
初版 2023/09/01 15:39
パキケファロサウルスという恐竜がいる。
再現図はこんな感じ。
カードの方でも紹介したが、堅頭竜類、読んで字のごとし、石頭竜と呼ばれて、第2作のジュラッシクパークでは”ヘルメット頭”という何の捻りもない呼び名をされていた。以前は体長8メートルと言われたが、これは初めて発見されたのが頭だけで、その頭から推定した全長が8メートルということだった。
その後、全身骨格が発見されたが。その結果、頭が思いのほか大きく、実際の骨格を組み立ててみたら4メートルがとこ縮んでしまった。
だから体長は4メートル。それでも堅頭竜類の中では最大。
………この辺から考古学の化石からしかデータが取れない場合の弱点が見えてきて嫌な予感がする。
パキケファロサウルスには大きさがやや小さい個体もあり、成体間の成長の異なる個体、あるいは成体の雌雄ではないかとも考えられていた。
後方の棘は堅く本来は長かったが年を経て摩耗したのではないかとも思える。
腰椎の融合があり、幼体とは考えづらい。幼体の特長を持つ個体は未発見である。
その後スティギモロクという堅頭竜が発見される。
こんな風
ステュクス(死の川)から来たモロク(悪魔)というおどろ恐ろしい学名が付いた恐竜の化石である。1983年だったか。
ボクはこの名前と頭骨の生々しさに魅かれて何度か描いた。パキケファロサウルスに次ぐ長さである頭骸骨が46センチもあるが、これは腰椎の融合はなく亜成体、若しくは幼体であると考えられてる。成体は未発見である。
そしてハリーポッターが世に出版され、映画化された後、しばらくたって発見された恐竜が
ドラコレックス. ホグワーチシア 発見者がハリーポッターが学んだ魔法学校のホグワーツを小種名に使い、学名が竜の王。「ホグワーツの竜王」という結構な名前を付けて発表した。
ボクはスティギモロクにもよく似てるなと思いつつ、いくつか描いた。基本標本が幼体であり、成体は推定8メートルであると聞いていた。
こいつだ。
この三つの恐竜には奇妙な一致と相違がある。
Ⅰ 3つの恐竜の発見された年代、生態環境が重なっていること。
Ⅱ パアキケファロサウルスは成体のみが発見されており、幼体がない。
成熟した体格が異なる模式標本がある。
後頭部の棘は摩耗し、年を経て堅牢で短くなったと考えられる。
Ⅲ スティギモロクは幼体もしくは亜成体である模式標本があるのみ。頭骨は発育途上であり、後ろに伸びた角も長いが華奢。
推定最長体長は8メートル程度ではないかと言われえている。これはパキケファロサウルスを推定した時と同じやり方である。
Ⅳ ドラクレックスは体長3.6メートル程度の幼体である。
Ⅲ、Ⅳともに成体の発見はない。
通常、幼体の骨はまだ幼く、同一環境であれば成体の発見される確率が圧倒的に高い。
以上をまとめると諸説はあるが、
棲息年代が一致している。(白亜紀後期)
生息環境が同一である。ド同一範囲に三種の同類が棲息 (優劣は淘汰に進んでいく)
Ⅱは成体のみの発見
ⅢはⅡより小さいがⅣよりは大きい。しかも亜成体若しくは幼体とされ、成体は未発見
ⅣはⅢより小さく幼体と思われ、成体も、亜成体の発見もない。
個体変異の可能性はあるが、頭骨の変化は成長過程に生ずる変化の予測範囲内を超えない。トリケラトプスは幼体から亜成体、成体(雌雄)の発見があり、さらに別種とされていたトロサウルスがトリケラトプスの老体であるとする説が有力。
同様にこの3つの恐竜は同一種である可能性が捨てきれない。
限られた古生物の資料では明確な結論が出せるものの方が珍しい。
それでも、新発見として紹介されれば我々はその興味の入り口として個々の技術を使い想像図を描く。
それを見た子供達や趣味人は、ある日突然考古学的な見解が変化したのを知る。スティギモロクはパキケファロサウルスと同一の扱いをされ始め、Yahooで検索するとスティギモロク(パキケファロサウルス)と断っているものも出ちゃ来た。世に出て来たばかりのドラコレックスは発見者がハリー・ポッターのファンだったという知識だけが残ってパキケファロサウルスの”赤ちゃん”の姿を見るに過ぎなくなる。
なんか、寂しいよね。
Mineosaurus
古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。
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