Person4 イザイ 悲劇的詩曲 Poeme elegiaque op. 12
初版 2023/08/24 14:39
改訂 2023/08/24 14:39
書こうと思っていた部分がなかなか指先に乗ってこない。先に下書き用にしとかないとダメなんだね。しばらくやらなかったらジジイの記憶力は恐竜並だな。
ウジェーヌ=オーギュスト・イザイ 20世紀を生きたベルギーの名ヴァイオリニストにして作曲家、兼指揮者。この生業は再現専門の芸術家が多くなった20世紀になっては貴重だった。
彼の代表的な作品はあまりにも高度な技術的ゆとりを必要とする。そのため、演奏される機会が極めて少ないが故に、イザイ自身の演奏を超えるものは滅多に聴いたことがない。
別にやっていたブログでは彼のバッハを強く意識した無伴奏は紹介したことがあるし、子守唄なんかも取り上げたことがある。
それらは素直に凄いと思ったり、リリカルに感じたものだった。
でも、この作品は、何度か紹介しようとして書きかけてはやめにしていた。
正直、「さあ、書こう」と思ってヘッドフォンで流しながらキーを叩こうとするたび聞き流していた部分に深い呼吸の闇に気づいたりして「ありゃ?」ってなもんで、このへんからと思っていた切り口がブレる。
で、「今度にしよう…」とか考えながらこの前も古代の巨大ナマケモノの骨格の形成に時間を割いていてすっかり忘れていた。
今聴き直しても、難物である。
それは難解であるということではない。晦渋であるということでもないと思っている。では美しいかというとそうではない。
この作品がシェークスピアのロミオとジュリエットに触発された作品であるとか、そういうことは評論家諸氏に任せておく。ここに書いてあるのは、あくまでひねくれたジジイの思いである
この作品は彼の中にある情熱を悲劇的なテーマに乗せてヴァイオリンの音色が醸す繊細な音詩の中に織り込んでゆく。
その作業が詩的な、
例えば白紙に書かれたれた『涙』という文字の前後左右には見ることができないけれど、音の中には『涙』の前に滲んで広がるそれ以前の音の残り香と『…だ』に続く歌の響きが流れる。
そこに演奏者のその部分に寄せる思い入れが様々な聴き手の好き嫌いに反映する。そういう要素を忘れてはいけない。
『詩的な』という言葉には短い言葉の繋がりによって感じる形と言葉が抜けた後に残る表現の穴に流れ込む行間のニュアンスにある気品や香気を意識した意味が間違いなくある。
表現が消費する時間の長さがその詩的な時間であると。
擦過音による弦楽器は比較的容易なのかもしれない。(ぶん殴られるかなあ 容易なんていうと。)
例えばギターなんかではどうか、弦にはメーカーによって弾いた時の音色や、豊麗な響きや、音の太さ細さがあるのはわかる。
その素の特徴と楽曲の特徴、音の間をそれぞれの楽曲にあった使い方をし、弾き方をするまだ先に解釈ってのがあるね。
これは種類は違ってもすべての弦楽器にもあるし、楽器自体の個性にもある。
ボクはギターを弾く友達はいるけれど、自分自身はコードとアルペシオで伴奏しながら歌を歌うぐらいしかできない。(今はそれすらやらない。)だから純粋な技術の高さと表現力の高さが未聴の高さで結びついた演奏をほとんどレコードやCDでしか聞いたことがない。
とても可能性が広い楽器だけれど、ボクにはその一部分すら掘り下げる時間がない。ちょっと悔しいけどね。
話がいつもどうりそれた。
イザイのこの作品は
ロマンティックで情熱的なテーマを繰り返してゆく幻想曲形式をとっている。
元々オーケストラとヴァイオリンのための作品なのでピアノの表現力はオケを凌駕する音域の中でとても気を使う色彩感覚をもってサポートする必要がある。
伴奏に終始するとこの曲の技術が鼻につく。
オイストラフはピアノ伴奏でこの曲を弾いている。
このレベルの演奏は本当の楽曲の魅力を聴かせてくれる。
悲劇的というよりも、一度そういう思いをに飲み込んだ後の挽歌を聴いているように感じる。
セピア色に褪せた昔の手紙にマッチで火をつける。すぐにそれは端から炎をまとって捲れてゆく。
その炎の色は燃えているかどうか一見わからないほど透き通っていて、薄い煙の中に紙の色を映す。
ただ、文字を焦がしてゆく焦げ茶色の縞の広がりで燃えているのがわかる。
テーマはそんなイメージをボクに与える。
その手紙の内容はわからないけれど。
Mineosaurus
古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。
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