チェロのためのレクイエム

初版 2023/08/06 14:53

改訂 2023/08/06 14:54

三枝成彰(さえぐさ しげあき)本名成章 この人は若い時からちょっと露出度が高かったので、ちょくちょく大河ドラマの音楽なんかでシベリウスやブルックナーの摘まみ食いの作曲をしていた髭の作曲家さんなどと、同列に見なされたりすることがあるけれど、商業音額を続けながら、その本筋は日本を代表する作曲家であり、編曲家です。歯に衣着せぬ論客で、政治的視点も、そのぶれない発言がテレビ等で有名になった。

でも、商業的音楽についても作曲を始めた頃から一貫して手掛け続けていて、ボクの娘も成人する前からさすがにゲームやガンダム逆襲のシャアなんかの音楽を通じて、名前だけは知っている。
この人は、東京音大の教授になる前の尖った時代は12音技法の急先鋒で確実に聴衆から乖離していた。それがいかなる心境の変化かテレビに出るようになる頃から音楽は暖かくロマンティックになっていった。

それは19世紀末から1950年代まで生きたドイツ・オーストリアの作曲家にそういう作風の変化が聴けるようになったのとよく似ている。
彼は現代音楽を『理解する』一部の専門的音楽界からボクらの目線まで降りてきて、音楽を語り始めた。

『音学』が彼の中で『音楽』になったのかも知れない。
このチェロのためのレクイエムは彼が書いた2つの同名の作品の最初のもの。1988年の作品である。

この演奏は、2009年の夏から秋に移る季節の中で神戸ワールド記念ホールで開催された第1回1000人のチェリストによるコンサートで演奏されたものだ。

通奏のチェロの厚く広い大河の上をやや高いキーで重く低い旋律の風になってチェロが鳴り渡って行く。

黙示する祈りの音楽が通俗のほんの少し上を軽やかに舞い上がって行く。

逆襲のシャアのサントラの音楽の序奏なんかにいいよ。(ゼータ・ガンダムの組曲もあったなぁ)

その後の歌の部分はホントに軽々と作ったという手すさび感があるけれどね。

こういうのを聴いているはずだから、家の次女なんかもクラシック音楽のすぐ隣に座っているはずなんだけどねえ。

一聴ポピュラー音楽だけを作曲している先生とは異なり、管弦楽法に関してバックボーンの厚さが聴ける。

このチェロのためのレクイエムはさすがに100人も集まると指揮者が必要で、画面がパーンすると結構名前のある方が少しだけ高い演台の上に乗ってリードして演奏していらっしゃる。

少なくともいくつかあったYoutubeの演奏の中では音そのものの生々しさには欠けるけれど、お互いの音を感じながら合わせて行くには多すぎる人数をうまくまとめ、ている。

何層もの旋律のうねりが惻々として低く大河のように流れる。僅か数人のための音楽ではないなとつくづく思った。Yotubeの少人数の演奏も聴いたけれど、指揮者の意欲が演奏を隅々までまとめ、偉く鼻息が荒い。

三枝成彰は堕落したという専門家がいたけれど、音楽する心に羽化したんだよ彼は。

1962年のヴァイオリンとピアノのデュオコンチェルトから2022年の委嘱作品 烈風~四面の箏のための~や全盲のピアニスト辻井伸行氏からの委嘱作品のピアノ協奏曲まで今なお羽を休めることなく活動されている。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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