NightWish　小考

End　of　an　Eraの音源で久しぶりにNIGHTWISHを聴いた。様々に移り変わったヴォーカルがリカバーしているが、やっぱり、ターヤ.トールネンと、マルコのヴォーカルが最高だった。

ジジイはNightwish（ナイトウィッシュ）の２００５年までのアルバムをミスチルを聴く感覚で聴いていた。
それから聴かなくなったのは、彼らの音楽が自分に合わなくなったと言うより、ボーカルが変わったことが大きかった。

加えて、ベースとヴォーカルで最高のセッションを聴かせたマルコ・ピエタラを失った。

これも大きな原因かな。バンドの路線は少しずつ変化したけれど、時々聴く彼らの音楽が変わったのもあるだろうけど、ぼく自身の年齢にもよるなと今思っている。

つまるところ、ボクは今考えるとターヤ・トールネンというボーカルのファンだったんだろうね。

シベリウスの国、フィンランドの冷たい荒野を走る鬼火のようなスケールと正確な音程はシンフォニック・メタルバンドとかオペラティック・メタルとかにカテゴライズしたくなるのも頷けるスケールを持っていた。
ナイトウィッシュはトールネンを解雇した２００５年１０月に初期の活動停止を行い、その後のバンドの方向性を決める重要な女性ボーカルの選抜を行った。
採用されたオルゾンはきれいな声をしていたけれど、トールネンが持っていた感性を足許から引っこ抜いてゆくようなへヴィなサウンドに完全に拮抗し得る説得力は持っていない。また、マルコの才能が銀色の渋い光を放てない。

バンドはその意味でボーカルを生かすための方向転換を行った。現在までシンフォニックオペラ風のメタリックなサウンドは回帰しているけれど、そこにはターヤもマルコもいない。
バンドは今も新たなファンを惹きつけ、特有の伝承性やドラマ性をハードなサウンドに織り込んでレベルを維持しているだろうけど、声楽の基本的な楽器としての声を完璧に使いこなしたターヤ・トールネンの存在はやはり大きかった。
ボーカルが代わり、音楽は繊細さを得、ライブよりもスタジオ録音の完璧さが目立つようになった。
傑作『エンド・オブ・アン・エラ』のブレス・ザ・チャイルドや有名なファントム・オブ・オペラを初めてメタリックサウンドで聴いたときの血の騒ぎや、ここで紹介したスライング・ザ・ドリーマー(「夢想家を殺す」って訳でいいのか？）での肉声の持つリリシズムがヘヴィなメタルサウンドのフォーマットの上を走る、あのブレイクダウンのカタルシスは今の彼らにはない。

美しくなったけどね。