触発 ベンジャミン・ブリテン/無伴奏チェロ組曲第1番

初版 2024/12/18 14:28

改訂 2024/12/18 14:28

ベンジャミン・ブリテン/無伴奏チェロ組曲第1番OP.72

第1曲 カント・プリモ(アリアいくつかあるが、ソナタ、このチェロ組曲の全て創作の動機はただ一人の名手ムスティスラフ・ロストロポーヴィチのために作曲されている。

第1曲 カント・プリモ(アリア第1): ソステヌート エ ラルガメンテ

https://youtu.be/JylyM4LhFsQ?si=Ww0Q5k6s7GhmTVf6

Britten: Suite For Cello No. 1, Op. 72 - 1. Canto primo (sostenuto e largamente) - YouTube

Provided to YouTube by Universal Music GroupBritten: Suite For Cello No. 1, Op. 72 - 1. Canto primo (sostenuto e largamente) · Mstislav RostropovichBritten: ...

https://www.youtube.com/watch?si=Ww0Q5k6s7GhmTVf6&v=JylyM4LhFsQ&feature=youtu.be

第2曲 フーガ:アンダンテ・モデラート

第3曲 ラメント:レント ルバート

第4曲 カント・セコンド(アリア第2): ソステヌート

第5曲 セレナータ アレグレット ピチカート

第6曲 マルチア:アラ マルチア モデラート

第7曲 カント・テルソ(アリア第3):ソステヌート

第8曲 V ボルドン:モデラート クワジ レチタチーヴォ

第9曲 モート ペーペチュオ エ カント・クァトロ(アリア第4):プレスト

ブリテンがロストロポーヴィチというチェリストに触発されてチェロのために書いた作品はいくつかあるが、ボクはこの作品が一番好きです。
ブリテンはピアノの名手でもあったのでロストロさんがまだ指揮の方に本格的にシフトしていなかった全盛期に、恩師ブリッジのチェロ・ソナタやシューベルトのアルペジオーネのためのソナタなんかも協演して素晴らしい録音を残してくれている。
この組曲は3番まであるが、どの曲も凄い。


この第一組曲はバッハへの敬意から始まる。ここでのアリアを第1とし、第4曲目、第7曲目、第9曲目とアリアが奏でられるがそれぞれの曲の中で変貌してゆく。


第1の歌は本当にバッハのように響く。決して模倣ではなく、そこに確実な20世紀の発展がある。
恰幅のあるチェロの音色が悠々として鳴りきる。
『彼ならばここまでやれる』という信頼を凌駕する全盛期のロストロの技量はヴァイオリンのような繊細で閃くようなパッセージにあるのではなく、重心の決してぶれない大きさにある。そこでヴァイオリンのような歌を歌う。
音楽をどんなにゆったりと弾いてもそこに弛緩を生まない質量を感じさせる。
作曲者の特徴が色濃い第5曲のピチカートはほとんどチェロと言うよりも、これは琵琶による日本音階のように響く。
語りが入れそうな間合いがあり、ボクの頭の中には全身に般若心経を書き込んだ法師の姿が浮かんでしまった。
そこでも音は太く明確である。
圧巻はここでも取り上げた第8曲と最後の第4の歌第1曲の歌が現代の旋律で回帰する第9曲だ。


バッハにも重音はあるけれど、この第8曲では終始明瞭な幅を持って奏される。
低音にのせてピチカートが浮かんでは、信じがたいほど明確なイギリス民謡が立ち現れたりする。
技術が裸で誇示されているのだが、音楽から離れないのはロストロポーヴィチの超絶であり、ブリテンの信頼である。
重音は既に第7曲から始まる第8曲がピーク。ギアン=ケラスの演奏も凄かったけれど、これほどサラリとはゆかなかった。ケラスはそれ自体に挑戦が聴け、音楽は求められるよりもさらに鳴りすぎた。

旋律を奏でるすぐ後ろに止むことのない通奏が重なる。まるでピアノの右手と左手のように。
ボクはロストロポーヴィチの底の知れないスケールよりも、デュ=プレの気持ちの演奏が好きなんですが、こういう作品を弾いて音楽的であることは技術と心の重さのバランスが取れていないとダメなんだろうなとつくづく思ってしまった。
まるでチェロを二挺同時に弾いているような第8曲を中心に一瞬閃く第4の歌をどうぞ。
もちろん、ロストロポーヴィチで

第8曲

第9曲

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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