プーランクの チェロ・ソナタ  饒舌から寡黙へ

初版 2024/12/03 22:56

バカ騒ぎした後の戸外の風は冷たく、酔いを醒まそうと歩き始めた足許にまとわりつくように雪の欠片が舞う。

石畳はすっかり濡れていて、ぽつり、ぽつりと間引かれるように消えてゆく用のなくなった街灯が間引かれる分だけ闇が濃くボクの回りを包み始める。

ボクは黒い靴先が解け雪に光るのを見つめながら、俯いたまま歩く。

楽しかったことも多かったけれど、どこまで本気で楽しかったのか、今でははっきりと思い出せない。


仲間達もまた、若いからと言って単純な感情だけで突っ走れたわけではないことを今になって酔いに任せて打ち明けたりした。


李賀が吟じるまでもなく、人の一生には四季があって、今、黒い冬の入り口にかかり、振り返った過去の世界は色を保ったままどこか生きてきた世界とは違う風景を見せている。


舞う雪は冬になりきれぬ地面の温もりにたちまち解けて小雨の後のような沁みすら残さない。


どこかで描いたものと違う道を歩いてきた。


でも、それは後悔ではなくて、道の途中からボクには共に歩く者が増えたからでもある。


歩幅も歩速も違うお互いがリズムの違いに難渋しながら結構楽しんで苦しい思いをしてきた。


お互いの足音をまだ感じることができる距離で、まだ歩けることに感謝している。


寝静まって暗い玄関に足許を照らす灯りがついている。


静かに開けて、自室に入って灯りを付けると、仕事机の上に時間を合わせたみたいに入れたてのお茶が湯気を立てていた。

フランシス・プーランクはどこか予測不能な音楽を書く人で、ツボにはまったときはホントに素晴らしい。このチェロソナタは

 第1楽章に彼らしいエキセントリックなマーチが入る。

 I. Allegro. Tempo di marcia

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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