Person-8-2 ギョーム・ルクー ”痛哭”
初版 2024/10/14 09:55
Guillaume Lekeu/四重弦楽合奏のためのアダージョ V.13
俯いて薄日から目をそらしたままの瞳は輝かない。
彼が21歳の時にこの作品は書かれた。
心から尊敬し、師事したセザール・フランクを失った悲痛は深く、何処までも沈んでゆく痛哭の深みに身じろぎもせず身を任せている。
恐ろしく感傷的でありながら、その音楽は静謐を究め、詩的である。
19世紀末、ベルギーに生まれた夭折の天才作曲家。
24歳という年齢はまだ始まったばかりの彼の音楽家としてのキャリアの終着点だったが、100を超える霊感の破片が未完の音楽として残っている。
彼の中に溢れていた音楽の無数の可能性は、彼が完成し、今演奏されている作品を聴けばよくわかる。
『記憶の青白い花』
他の訳もあるかも知れないけれど、この音楽に付けられた副題はモノクロームのギリギリで血の気を保っているこの作品を最もよく表しているように思える。
豊かな感受性を持つ若さが直面した喪失感は音楽の形をとって伝えられ、その純粋さと思いの深さに老いてきたボクの感性すら動揺させずには置かない。
中間部高音のバイオリンが薄明の管弦楽の淡い色彩の中でしばし、彼の想い出の楽しい部分に近づく。
ゲネラルパウゼの後の透明な感傷は、彼の手のひらにあった大切な想い出が、もうそこに形をなしていないのを否応なしに気づかせる。
象徴的な悲痛の音形は、重層的に様々な形のまま重ねられ、次第に厚く心を包んでゆく。
別れを告げるようにチェロが歌いヴァイオリンが天に昇る。
小さなレコード会社から彼の全集が発売された。CDは8枚のコンプであった。それぞれは一枚もので手に入っていたが、今はそれも製造中止。この全集自体もう製造はされていないようだ。
その全集では6枚目に入っている。
Mineosaurus
古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。
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