Person-21ジュール・マスネ 悲歌の妄想

初版 2024/10/07 13:53

改訂 2024/10/07 13:53

マスネ/ピアノとチェロのためのエレジーホ短調

もともとはピアノ曲なのだという。https://youtu.be/38BO03eZJEs?si=EnEUJTscqvpzPCcU

左手と右手の単音がシンコペーションする部分がきれいだけど、やはりチェロが主旋律にいた方が悲歌=エレエジーは流れる。

マスネは当時の大物だたけど、同時代の作曲家であるドビュッシーや少し前のフォーレなどと比べるとあまり音楽史の前面には出ていない。
でも、オペラを愛する人から見ればまた彼の名声は大きく異なるんだと思う。
ボクは彼のピアノ協奏曲やオペラ『タイス』の挿入曲である『瞑想』くらいしか知らない。
ボクはオペラは苦手だけど、例の歌劇『マノン』やセルバンテスの『ドンキホーテ』(R.シュトラウスは同様の交響詩を書いている。)は有名だから知っている。ちなみに20世紀初頭にドン・キホーテで初演の主役を張ったのは有名なロシアの伝説的バリトン、フョードル・シャリアピンだった。長くパリ音楽院の教授の座にあったマスネのあらゆる経験が昇華されているという。
聴いたことないけど、ね。

シャリアピンは凄い歌手だったらしいけど、有名なのは彼の虫歯だよね。
昭和11年来日した彼は虫歯が痛くて大好きなステーキが食べられなかった。
そこで当時の帝国ホテルのシェフ筒井福夫氏が彼のためにスペシャルなステーキを焼いた。
牛肉を叩いてのばして筋切りし、タマネギにつけ込んでタンパク質を分解し、柔らかくして調理した虫歯の彼でも食べられるステーキ。『シャリアピン・ステーキ』と名付けられ、有名になった。(日本だけだよ。ナポリタンと同じ。)

すごく横道にそれたけど、このエレジーはチェロで聴くとフォーレのそれから比べると劇的起伏のある歌よりも、よりシンプルな哀しみを惻々と語る。ピアソラの『孤独』のイメージ。

こっから妄想…

セピア色に色褪せた写真がニコチンですすけたアパートの小さな部屋の壁に貼り付けられている。

初老の男がコートを着たまま何もない、がらんとした部屋のベッドに腰掛けている。
テーブルに置いた、ほとんど空になったワインの最後の一杯をグラスにつぎ、ゴロワーズの両切りのタバコの煙を吸い込んだまま飲み干す。
窓の外にはジプレ…(パリに降る俄雨)
飲み終わった男は堅い音を発ててグラステーブルにを置き、立ち上がる。
片手に頑丈で古びた、持ち主と同じ歴史を持っていそうな旅行鞄を掴み、開け放したドアから出てゆく。


誰もいなくなった部屋の壁にセピア色の写真の女性が若いまま微笑んでいる。


古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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