Person-20-3 サン=サーンス 口論の種
初版 2024/09/22 22:41
改訂 2024/09/22 22:41
ピアノ協奏曲第3番変ホ長調OP.29
第1楽章 モデラート・アッサイ~アレグロ・マエストーソ~ピゥ・モッソ モデラート・アッサイ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 アレグロ・ノン・トロッポ
現代では保守的であるといわれているサンサーンスのこれは演奏中に観客の口論の種になったという曰く付きの作品。
第2楽章の和声の使用方法が大胆過ぎるという保守的聴衆からの論議だった。
今の感覚からすれば、この楽章は第1楽章のモデラートアッサイと終楽章のアレグロを繋ぐそれ自体その和声以外には聴くべきものもない楽章だといわれるけれど、ボクとすれば、このアンダンテを包む弦楽の瞑想が好きだね。
ピアノは訥々と語り、リストを思わせるように重く響く。打楽器的なピアノの要素が聞こえ、絡むフルートとの対話が美しい。
(断っておきたいがボクはリストがあまり好きでない。)
大胆というよりも、むしろピアノの歌う言葉が淡く、心にしみてくる。
チェロの通奏にヴァイオリンが高音の帯を重ね、ほろ。ほろ。と瞑想の中に曲が閉じる。
確かに複雑な技巧よりも、成熟した単純が支配している音楽です。
ボクの耳がどうかしているのかも知れないけれど、この楽章はめちゃくちゃ美しい。
むしろサンサーンスが初演のピアノを受け持つ意味合いに、ピアニストとしてのプライドがあるならば、その第2楽章から休みなく続く第3楽章の見事なビアのパートの方が聴きものでしょうね。
第1楽章は細かい指示表記があって、序奏からテーマが引き出される。
彼の主題はこの曲に限らずどこか異国情緒のあるものが多くて、国籍不明のフランス人という感じだね。ピウ・モッソに現れるフルートが美しい。
ピアノはモデラート・アッサイでヴィルトゥオージティを発揮するものになっていてキレのいいピアニストなら非常にスカットする演奏が聴かれるはずだ。
第3楽章はその極み。オーケストラすら圧倒するピアノの音色の洪水。
さてさて、口論の種はどこにあったのだろうか…
第3番の協奏曲は初演の口論が尾を引いているわけでもないだろうけど、単独では余り演奏されない。
全集を探せばいいんだけど、ロジェの全集以外はフランス盤しかないね。アルド・チッコリーニのピアノで全集があったはずだけど、どうなッてんだか分からない。
ロジェのチクルスは第3番だけ楽章ごとの紹介になっていて全曲の動画が見つからなかったが検索の仕方で同一ソースの録音を見つけた。
5曲を3つのオケを使って録音しているので統一感がないが、指揮者とピアニストは一緒。
この第3番はロンドン・フィル
Mineosaurus
古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。
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