破格 Pianosonata No.1in f op.2-1

初版 2024/02/15 13:24

改訂 2024/02/15 14:01

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調OP.2-1

第1楽章 アレグロ
第2楽章 アダージオ
第3楽章 メヌエット:アレグロ
第4楽章 プレスティッシモ

この作品は作品2として第2番と共にフリーメイソンの先輩であり音楽の師であったハイドンに献呈されている。
もっとも、彼がフリーメイソンだったという確実な証拠はないらしい。
でも、ハイドンとの関わり合いはモーツァルト同様単なる音楽上の師弟関係とは異なるような気がする。
ベートーヴェンが書いたピアノソナタはこれが最初ではなくて、13歳の時の選帝侯ソナタやソナチネなんかがあるけれど、昔、ルドルフ・ブッフビンダーのピアノで聴いた選帝侯ソナタ何かとは隔絶された完成度であるね。


第1番から4楽章。
当時はピアノ・ソナタの存在意義はピアノが上手く弾ける貴族や王侯の子女のためにその人の技量に合わせてつくられるきわめて狭い趣味的音楽だった。
モーツァルトの最後のソナタなんかになってようやく自己表現の手段になってきたようなところがあるけれど、それだって出版されたのはモーツァルトの死後だ。
若きベートーヴェンのこの意欲作を献呈されたハイドンは果たして理解できたろうか。

第1楽章に関しては、ボクはちょっと未消化なモーツァルトを聴いているような感じで相変わらず入り込めない。
生真面目なピアニストで聴くとホントにつまらないんだけど、この楽章はピアニストによってすごく光り方が異なるように感じる。

第2楽章は深くて黒い森に奇蹟のように木漏れ日が射し込んでゆくような円かで深い心の平静を聴いた後で対応するにふさわしい躍動がある。


第3楽章はメヌエットと称しているけれど、これはもう既にスケルツォである。各小節の1拍目にアクセントが来ることによって前に出る爪先を想像させる優雅なメヌエットの舞踏性よりも、もっと早く自由で、骨っぽい。これで踊ったらお相手がスカートのすそを踏むかも…
「これはメヌエットではない」とか言われそうだけれど、意に介さないんだろうね。、多分。

第4楽章は左手が三連符を刻む中で音楽が雄坤さと歌謡性を織り交ぜてベートーヴェンの後の作品の原形が様々な形で見え隠れする。
忙しくも若々しく、しかし、したたかな作曲家としての意思的な音楽。

で、ちょっと録音は古いのだけれど、この曲についてはボクはグルダの演奏を好んで聴いている。

グールドもおもしろい。
彼は積み木のように音楽を扱っていて普段聞けない音が聴けることには楽しみがある。
でも、ベートーヴェンに常に感じる匂いが抜け落ちてしまっている。
確信的に弾いているのだろうけど、音楽から情緒が抜けてしまった。感性がこの作品にとって現代的に過ぎるかなあ。
でも、凄くクセになる。
グルダは不思議とベートーヴェンでは真面目だね。
ベートーヴェンの協奏曲でボクが一番好きな第4協奏曲をグルダで聴きたいと思っていたけれど、よく知られているホルスト・シュタインがウィーンフィルを振った協奏曲ではピアノの録音にクセがあって好きにはなれなかった。
それでも、最近古い演奏だけれど、ライブでいいのを見つけてうきうきしております。

エー、横道に逸れましたが、ここはグルダの全曲演奏で。

古生物を中心に動物(想像上のもの)を含め、現代動物までを描くイラストレーターです。
露出度が少ない世界なので、自作の展示と趣味として行っている地元中心の石ころの展示を中心に始めようかと思っています。
海と川が身近にある生活なので気分転換の散歩コースには自然が豊富です。その分地震があれば根こそぎ持っていかれそうなので自分の作品だけは残そうかとAdobe stockを利用し、実益も図りつつ、引退後の生活を送っております。
追加ですが、
古いものつながりで、音楽についてもLabを交えてCD音源の部屋をつくっています。娘の聴いてるような音楽にも惹かれるものがありますが、ここではクラッシックから近代。現代音楽に散漫なコレクションを雑多に並べていきながら整理していこうかと思っております。走り出してから考える方なので、整理するのに一苦労です。

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