Konica Lens Adapter (Konica F to AR)への道
初版 2021/08/13 06:45
改訂 2022/11/20 15:47
Konica FマウントレンズをARマウントボディに装着する小西六純正のKonica Lens Adapterはとてもレアモノだという話を以下に書きました。
これを入手するまでの遠い道のりを少し書き留めておきたいと思います。ひょっとすると同じものを探している人(そんな人がいるのか?)の役に立つかもしれないので。
コニカFマウントレンズの何が問題かというと,絞り羽根が常に開放状態になっていて,マウント面についている小さな爪を外側から押さないと絞り込めない,というところなのです。M42レンズのマウント面に飛び出している絞り連動ピンと同じ役割をするのがこの爪です。この爪は本来はカメラと連動するためについているのですが,マウントアダプタに取り付けて絞り込んで撮影するためには,この爪を押し込む機構が必要です。コニカFマウントレンズのなかでもプリセット絞りのものなら絞り込みは手動でやるだけなので何も問題はありませんが,なまじ絞り連動機構が付いているために絞り込むための仕組みがどうしても必要になります。小西六純正マウントアダプタや接写リングには絞りを手動で閉じるためのレバーがついています。ちょっとわかりにくいですが,下の2枚の写真は絞りが解放時と絞り込み時を表しています。一番上にあるレバーが動いていることがわかると思います。
そこで,マウントアダプタが入手できないならば,次善の策として接写リングを使ってはどうか,と考えました。コニカFマウント用の接写リングをライカスクリュー(L39)マウントに変換する方法です。接写リングはレンズ側は当然コニカFマウントですが,ボディ側は55mm径0.75mmピッチのオスネジになっています。したがって,39mmから55mmへのステップアップリングを接写リングのボディ側に取り付ければL39用のマウントアダプタを使ってカメラに取り付けることができそうです。フランジバックの違いはL39 → L-M変換リング → Leica Mレンズ用ヘリコイドアダプタと繋ぐことでヘリコイドを適当に繰り出して無限遠が調整できるだろう,という目論見です。
コニカFマウントレンズ用の純正接写リングのセットは豊富ではありませんが,気長に探せばヤフオクで見つかりますし,欲しい人もたぶん全然いないので価格もたいしたことはありません。ARマウント用の接写リングとの違いが分かりにくくて紛らわしいことに注意すれば入手できないものではありません。実際,ヤフオクで接写リングを調達してたしかにコニカFマウントの52mm F1.4に装着できることを確認しました。
接写リングのボディ側にステップアップリングの55mm径側をねじ込むところまでは良かったのです。しかし,ステップアップリングのボディ側,すなわち39mm径のオスネジにL-M変換リングを装着しようとして重大な間違いに気がつきました。ライカのL39マウントのネジのピッチはM42と同様1mmピッチだったのです(厳密には違いますが実用上は1mmピッチのネジが適合します)。フィルタ枠のネジは0.75mmピッチなので当然ステップアップリングとL-M変換リングは噛み合わないのです。そんなことはわかっているはずなのに,ねじ込んでみるまで気がつかなかった私はかなりの愚か者です。自分で旋盤でネジ切りをできるなら,55mm径0.75mmピッチのメスネジと39mm径1mmピッチのオスネジを切れば問題は解決します。このとき52 → 39mmの変換リングの長さを調節すればライカのレンジファインダカメラでも使えるマウントアダプタが実現できます。
しかし,残念ながら,私にはそのための道具とスキルがないためこの作戦は諦めるしかありませんでした。
諦めきれない私は,ある日,ヤフオクをパトロールしていて,Konishiroku Hexanon 135mm F3.5に目がとまりました。
このレンズはコニカFマウントレンズとしては数が多く,ヤフオクには常にいくつか出品されていますので珍しくもなんともありません。しかし,この個体に目がとまったのは,コニカFレンズをARマウントカメラに取り付けるための小西六純正のマウントアダプタがくっついていたからです。どんなに探しても見つからない幻のマウントアダプタがくっついていたのです。
Konica Lens Adapterというそのまんまの商品名の小西六純正のコニカF → ARのマウントアダプタを単体で発見することは不可能だと諦めかけていました。しかし,あるwebサイトに「探し方はあるもので,そのつもりで探せば意外に見つかるものだ」とだけ書かれていました。意味がよくわからなかったのですが,別の人が自らのwebに「52mm F1.8とともに入手した」と書いておられるのを読むに及んでようやく鈍い私も理解した,というわけです。実際,そのつもりで探した結果,幻のマウントアダプタを運良く見つけることができて,まんまと入手できたという次第です。
これでついに念願かなって,コニカFマウントレンズはARマウントレンズに変換されました。あとは巷に溢れているARレンズ用マウントアダプタを使えば種々のカメラに装着できる,と思ったのです。しかし,世の中そんなに甘くはありませんでした。
ARマウントレンズ用のマウントアダプタにこの純正アダプタを装着することができないという新たなワナが待ち受けていたのです。ARマウント用のアダプタはいくつか手元にあったので試したところ,いずれもダメでした。アダプタのレンズマウント面をよぉっっっっく見てみると,ARマウントのカメラのマウント部分とはマウントの形状が異なっています。
マウント内周部(レンズがハマる穴の外周部)にリング状に立ち上がっているフランジの幅が異なっているのです。国内でもよく見かける中国製のマウントアダプタはフランジの幅が広く,Konica Lens Adapterを装着することができませんでした。色々探すと,コニカのARマウントカメラと同様の形状と思しきレンズマウント面をもつアダプタがあることがわかり,これを取り寄せてみました。
写真ではわかりにくいですが,左側がフランジの幅が狭いもの,右が広いものです。ネジ頭がフランジの低い面にあるか高い面にあるか,でその幅の違いがわかると思います。
新たに取り寄せたアダプタにKonica Lens Adapterを取り付けたところ,きちんと装着することができました。これで,ようやくミラーレス一眼で写真が撮れる様になりました。ただ,残念ながら,このメーカーはARレンズをライカMマウントに変換するアダプタを作っていないようで,ライカMマウントのカメラでは依然としてコニカFマウントレンズを使うことができません。
ちなみに,M42をARに変換する純正アダプタを見かけたお店でお願いしてAR → NEXアダプタに取り付けさせてもらったのですが,これはフランジの幅が広いアダプタにも取り付けができました。どうやら,コニカF → ARアダプタがかなり際どい設計になっているということのようです。
マウントアダプタなんて物理形状とフランジバックをあわせればいいだけの単純なものだと思っていたのですが,意外にも「正しくない」形状のマウントアダプタが普通に出回っていて,かつ,多くの場合たいした支障もない,ということがわかりました。実に奥が深いです。
ここまで長い長い道のりを経て,とりあえずの目標(=カメラに装着すること)は達成したものの,ほとんど力尽きて本来の目的だったKonica Fマウントレンズを持って写真を取りに行く気力がなくなってしまってます。なんだかすっかり本末転倒です。写真はそのうちボチボチ撮りに行きたいとと思います。
最後までお読みくださった方,長文お付き合いありがとうございます。
MOR
カメラ道楽とオーディオ道楽の間を行ったり来たりしています。両方をいっぺんにやると破綻するのは目に見えているので,同時進行はしないことにしています。
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